(1)ディスレクシアの子どもをひとりも見過ごさず成長できる環境整備を、いますぐに
+(1)ディスレクシアの子どもをひとりも見過ごさず成長できる環境整備を、いますぐに
📄会議録まとめ
令和2年2月26日に行った2件の一般質問のうちの2件目です。
保護者の方からご相談をいただいたことからディスレクシアに関して網羅的に質問しました。確率上、小平市立の小・中学校に在学する子どものうち約330人が潜在的に読み書きに著しい困難さを抱えています。しかし判明しているのは56人のみ。この困難さは自分も周囲も気付きにくく、不登校や鬱につながる可能性もあり、早急な対応が必要です。質問に先立って確認したところ、市職員の部課長レベルであっても、障害のことや問題があることを把握している人は少ない状況でした。そこで今回は職員や議員への周知をひとつの目的に質問しました。以降の一般質問でも続けて2回(①、②)取り上げています。また、その過程で学んできたことをこちらのページにまとめています。
残念ながら答弁は的を得ていませんでした。障害の発見を教員の気付きだけに頼ろうとする(よくない)方針があることも分かりました。一方で目的のひとつだった周知はある程度達成できたと思います。この一般質問の後、職員の研修に読み書き障害のことを組み込んでもらえることにもなりました。またこれ以降2回続けての一般質問やそれ以外の場面でもテーマとして取り上げているうちに徐々に市側の答弁も変わって来るのを感じています。保護者の方が特別支援推教育進委員会の委員として参加され、積極的に問題を指摘されていることもあり、職員の認識や意識も変わってきているようです。歴史を見ると継続性が重要なことは明らかですので、今後も継続して取り組みます。
-質問 | 答弁 |
---|---|
市立小・中学校在籍のディスレクシアの児童・生徒数推計は? | 一定数あると認識 |
実際にディスレクシアと診断された児童・生徒数は? | 把握していない |
読み書き困難な児童・生徒数は? | 特別支援教室利用児童48人 巡回相談で報告の児童・生徒が8人 |
潜在的な児童・生徒数の見積もりは? | 割合は5.0%や10%など一定数あると認識 |
保護者達と特別支援教育のガイドラインを作っては? | 研究課題にする →その後ガイドブックができました |
ディスレクシアの児童・生徒を見過ごさないアセスメントは? | 統一したアセスメントは未実施 |
統一したアセスメント未実施の理由は? | 気付きの中でチェックし巡回相談に |
小平市に統一したアセスメントを実施している学校はあるか? | 把握していない |
統一したアセスメントの計画もない? | 教員の気づきをもとにアセスメントにつなぐ |
特別支援申請時に行うアセスメントだけでは足りないが? | 教員の気づきの分析コードや質を高める |
稲垣先生に協力を仰ぎ統一アセスメント構築チームをつくっては? | 特別支援教育推進に向けた検討進める |
教育現場でディスレクシアの周知徹底はどう実施? | 発達障害や学習支援の研修で |
研修内容を市のサイトにアップロードし共有しては? | eラーニングがあり、教員の分析コードを深める |
ディスレクシアへ合理的配慮の現状は? | プリント工夫、タブレット使う学校も |
デイジー教科書の再生装置は無償提供される解釈か? | 物的配慮は進める必要ある |
研修資料作成に当事者含めては? | 機会捉え、内容等見直しの際さまざまな声を聞く |
質問 | 答弁 |
---|---|
市立小・中学校在籍のディスレクシアの児童・生徒数推計は? | 一定数あると認識 |
実際にディスレクシアと診断された児童・生徒数は? | 把握していない |
読み書き困難な児童・生徒数は? | 特別支援教室利用児童48人 巡回相談で報告の児童・生徒が8人 |
潜在的な児童・生徒数の見積もりは? | 割合は5.0%や10%など一定数あると認識 |
保護者の方々と特別支援教育のガイドラインを作っては? | 研究課題にする →その後ガイドブックができました |
ディスレクシアの児童・生徒を見過ごさないアセスメントは? | 統一したアセスメントは未実施 |
統一したアセスメント未実施の理由は? | 気付きの中でチェックし巡回相談に |
小平市に統一したアセスメントを実施している学校はあるか? | 把握していない |
統一したアセスメントの計画もない? | 教員の気づきをもとにアセスメントにつなぐ |
特別支援申請時に行うアセスメントだけでは足りないが? | 教員の気づきの分析コードや質を高める |
稲垣先生に協力を仰ぎ統一アセスメント構築チームをつくっては? | 特別支援教育推進に向けた検討進める |
教育現場でディスレクシアの周知徹底はどう実施? | 発達障害や学習支援の研修で |
研修内容を市のサイトにアップロードし共有しては? | eラーニングがあり、教員の分析コードを深める |
ディスレクシアへ合理的配慮の現状は? | プリント工夫、タブレット使う学校も |
デイジー教科書の再生装置は無償提供される解釈か? | 物的配慮は進める必要ある |
研修資料作成に当事者含めては? | 機会捉え、内容等見直しの際さまざまな声を聞く |
通告書
主な質疑
-正確な質疑内容は会議録をご参照ください。
+
正確な質疑内容は会議録をご参照ください。
なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。
①質問する理由
ディスレクシアは周知不足
見えない障害と言われるディスレクシアは、読みと書きの学習に大きな困難を抱える学習障害の一つ。この障害について十分に周知されているとはいえず、実態も適切に把握されていない。
当事者の子どもたちは「自分は頑張っても勉強ができない」と誤解したり、周りから「勉強が足りない」と誤解を受けて苦しみ、不登校や鬱病に至る場合もある。
文部科学省の調査によると「読む」または「書く」に著しい困難を示す子どもの割合は平成14年時点で2.5%、平成24年時点で2.4%。
例えば小平市立小学校の令和元年5月時点での通常学級児童数9,731人で計算すると、200人以上が苦しんでいる可能性がある。しかし問題は表明化していない。
授業でのタブレット使用状況(この時はGIGAスクール構想はまだ実現していませんでした)などから考えれば、適切なアセスメント(客観的評価とそのプロセス)が行われていないために見過ごされ、人知れず学校が嫌いになっている子どもが多数存在する可能性が高い。
実態の把握はもちろんのこと、ゆとりのある環境整備と、少なくとも教育現場における周知徹底が早急に必要。
🏫 中学生も含めると約330人
小平市立中学生の潜在数も含めると、確率上は約330人が困難さを抱えていることになります。これより1年後の時点では(児童・生徒数が増えたため)約340人になります(後述)。
見えない障害である学習障害は、ほかにも「聞く」、「話す」、「計算する」、「推論する」に困難さを感じるケースもあるが、今回は論点を集中させるためディスレクシアに限定する。
またディスレクシアという用語には広義の意味があるため、ここでは読み書きに障害があると診断された、もしくは診断を得ていなくとも著しい困難を感じている状態または人とする。
ディスレクシアに関してはこれまでも議会で何度かデイジー教科書との関連で取り上げられている。しかし(市職員のうち)管理職においてもピンとくる方はまだ少ないようだ。
障害の状況
読み書き障害の状況は人によってさまざま。通常文字を見るとその読みが自動的に頭に浮かぶ(音韻処理という)が、読むことが困難な方の場合はそれが自動化されず、例えば次のような状況がみられる。
-
+
- 一文字を読むのに時間がかかる
- 文字を読み間違える
- 読むだけで疲れてしまい、意味を理解できない @@ -39,7 +44,7 @@
- 巡回相談員
- 臨床心理士 @@ -54,7 +59,7 @@
- 特別支援教育支援員
- 特別支援教育コーディネーター
- 医師 -
こういうプレーヤーがどれだけいるか、それぞれの役割は何で、誰に報告され、その結果どうなる、といったことを保護者にわかりやすく示す必要がある。
- 読書活動の充実
- 「春休みの生活と学習」の充実
- 個々人の判断力や認知能力等に依存し、網羅せず、一貫性、再現性がない
- 教員の負担が増える
- 何が大変なのか
- どうすればそういう障害を見つけることができるのか
- 見つかったとしても、どう対応すれば学習を助けられるのか -
- 個々のニーズに応じた配慮をきめ細かく実施するためのアセスメントをさらに充実すること
- 合理的配慮を実施するための環境を整備すること
- 教職員への研修、理解啓発のための資料を提供するなどして、読み書きに困難がある児童・生徒への合意的配慮の理解を深めること -
- 黒板の板書をノートに書く場面
- テストの問題を読む場面
- 作文や記述式の解答など字を書く場面 -
- 小学校においては教科書を使用しなければならない
- 必要な方にはデジタル教科書を教科用図書にかえて使用できる
- 小・中学校の教科書は無償で提供する -
①質問する理由
ディスレクシアは周知不足
見えない障害と言われるディスレクシアは、読みと書きの学習に大きな困難を抱える学習障害の一つ。この障害について十分に周知されているとはいえず、実態も適切に把握されていない。
当事者の子どもたちは「自分は頑張っても勉強ができない」と誤解したり、周りから「勉強が足りない」と誤解を受けて苦しみ、不登校や鬱病に至る場合もある。
文部科学省の調査によると「読む」または「書く」に著しい困難を示す子どもの割合は平成14年時点で2.5%、平成24年時点で2.4%。
例えば小平市立小学校の令和元年5月時点での通常学級児童数9,731人で計算すると、200人以上が苦しんでいる可能性がある。しかし問題は表明化していない。
授業でのタブレット使用状況(この時はGIGAスクール構想はまだ実現していませんでした)などから考えれば、適切なアセスメント(客観的評価とそのプロセス)が行われていないために見過ごされ、人知れず学校が嫌いになっている子どもが多数存在する可能性が高い。
実態の把握はもちろんのこと、ゆとりのある環境整備と、少なくとも教育現場における周知徹底が早急に必要。
🏫 中学生も含めると約330人
小平市立中学生の潜在数も含めると、確率上は約330人が困難さを抱えていることになります。これより1年後の時点では(児童・生徒数が増えたため)約340人になります(後述)。
見えない障害である学習障害は、ほかにも「聞く」、「話す」、「計算する」、「推論する」に困難さを感じるケースもあるが、今回は論点を集中させるためディスレクシアに限定する。
またディスレクシアという用語には広義の意味があるため、ここでは読み書きに障害があると診断された、もしくは診断を得ていなくとも著しい困難を感じている状態または人とする。
ディスレクシアに関してはこれまでも議会で何度かデイジー教科書との関連で取り上げられている。しかし(市職員のうち)管理職においてもピンとくる方はまだ少ないようだ。
障害の状況
読み書き障害の状況は人によってさまざま。通常文字を見るとその読みが自動的に頭に浮かぶ(音韻処理という)が、読むことが困難な方の場合はそれが自動化されず、例えば次のような状況がみられる。
しかしなかなかそれが表面化しない。理由のひとつとして、ディスレクシアの子どもは知的に障害がなく、記憶力が優れているか鍛えられている場合がある。また小学校に入学して最初のころの授業は、先生の話を聞いていればどうにかなってしまうことがある。
そのため自分も周りも障害があることになかなか気付かない。しかし、読めない、書けないことから、本人は無意識にストレスを感じ、読み書き自体を避けるようになる。
すると周りからは「この子は怠けている」とか、「勉強する気がない」などと見なされてしまい、やる気をなくしていく。
つまりこれは周りから気付かれにくいものの、けっして一人も見過ごしてはいけない。
迅速に対応する必要がある
今回、小平市の学校に通うディスレクシアであるお子さんをお持ちの保護者の方からご相談を受けたことがきっかけで質問している。
その方にたくさん教えていただいた。私も具体的なことはまったく知らなかった。調べていくうちに、これは個人の問題だけではなく、小平市全体の問題であり、主に次の2つの理由から、とにかく早く対処しなくてはならないことが分かった。
理由1:多くの子が取り残されている
まず潜在的な人数の多さ(に着目する必要がある)。通告書に書いた「文部科学省の調査」とは、平成14年と平成24年に行われた『通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査』のこと。
つまり18年前と8年前の2回、文科省が大規模な調査を行っている。調査対象は公立小・中学校の児童・生徒で、それぞれ人数は約4万人と5万人であり、統計的にも十分な母数の調査であった。
この調査の結果、「読む」または「書く」に著しい困難を示す子どもの割合は、10年経ってもほぼまったく同じ割合で、2.4%~2.5%であった。2.4%を使って計算すると、小平市立の小・中学校では合計約330人になる。
| --- | --- | | 平成14年調査 | 2.5% | | 平成24年調査 | 2.4% | -[「読む」または「書く」に著しい困難を示す子どもの割合]
🏫 令和2年5月時点では約340人
児童・生徒数が増えたため、令和2年5月1日時点では約340人になります。
小平市立小学校10,072人 + 小平市立中学校4,083人 = 14,155人
14,155 × 2.4% = 339.72人
330人は結構な人数。潜在的人数がこんなに多いのに問題が表面化していないのはなぜか。「人知れず不登校になっている子どもたちがいる」のではないか。
理由2:二次障害が未来を奪う
一般に「二次障害」と言われる問題がある。先ほども触れたが、ディスレクシアの子どもたちは知的にはほかの子どもたちと変わらない。
しかし、読み書きができないことで、「自分は勉強ができない」と誤解したり、周りから「なぜ怠けるのか」「頑張っていない」などの誤解を受け、自信を失ってしまう。
モチベーションを失い、学校が楽しい場所ではなくなり、場合によっては不登校になり、鬱になる。これを二次障害ということがある。
逆に考えると、不登校の子どもやひきこもりの人たちの中には、かなりの数でディスレクシアの人が隠れているのではないだろうか。
見過ごさず迅速に対応を
つまりこれは絶対に見過ごしてはいけない問題で、対応を急ぐ必要がある。子どもにとっての1年間はとても大事だ。たった1年の(対応の)遅れが、子どもにとっては大きなダメージになることがある。大人の時間感覚で考えてはいけない。
2.5%は最低限の数値
まず市として潜在数を把握することが非常に重要。2.4%から2.5%という数値も最低限として捉えたほうがよい。
文科省の調査結果報告書にも「この調査では全数把握できない」という趣旨のことが書かれている。実際は、2.4%から2.5%よりもっと多い児童・生徒が困難さを抱えている可能性が高い。
②ディスレクシアの可能性がある児童・生徒の人数を見積もっているか?
小平市立小・中学校におけるディスレクシアの児童・生徒について潜在数をどう見積もっているか。そのうち実際に障害と診断された、もしくは困難さがあると把握している人数は。
文部科学省の調査結果の示すとおり、一定数あると認識している。ディスレクシアと診断を受けた児童・生徒の実人数は把握していないが、読み書きに困難さを抱えている児童・生徒数としては、特別支援教室の利用児童が48人、また、巡回相談を通して学校から読み書きに困難さがあると報告のあった児童・生徒が8人。
確率からすると判明人数があまりに少ない
潜在数330人から、判明している56人(48人 + 8人)を差し引くと、270人くらいはまだ知られていないという計算になります。
市としてどれくらいの潜在数を見込んでいるか。
文科省の調査もあるが、研究者によると、日本におけるディスレクシアの潜在割合は5.0%、欧米では10%という数字もある。一定数はあるものと認識している。
5%や10%であればもっと深刻。なぜ見積り数値を決め打ちで言えないのか。
はっきりした診断が出ていることではなく正確な数は言えないが、一定数あると認識している。
ディスレクシアの診断がなくても読み書きに著しい困難を示すことは同じ。文科省もその前提で調査している。また実際に診断を得るのはハードルが非常に高い。
内部で潜在数を見積もっているはずだと思う。公表してほしい。
現行の巡回相談では見つけきれない
『小平市特別支援教育総合推進計画・後期計画』の平成30年度実績には、巡回相談員は11人で1校当たり年間5~7回巡回していると書いてある。それぞれの職種の方(臨床発達心理士、言語聴覚士、作業療法士)が学校に滞在する頻度と時間帯は。その際、特定の子どもが観察の対象になるのか。
それぞれの割合は手持ちの数がないためここでは回答できない。言語聴覚士については、学校の要請に応じて行っており、昨年度は巡回した。ディスレクシアについては言語聴覚士が一番専門性が高く、アセスメントに近いことやコンサルテーションができると考えている。
一回当たりの滞在時間は?
年に19回ということだが、1回当たりどれぐらいの滞在時間か。
平均での時間は、今回答できない。実際に授業を見て、子どもの状態像をつかみ、そのうえで、この子どもにはこういう支援が必要だというコンサルテーションも含めるので、1時間や2時間ではないと認識している。
詳細がわかったら後で教えていただきたい。小学校で305クラス、中学校で115クラスあり、19回では全然足りない。すべてのクラスも回れていないだろう。しかも一日中いるわけでもない。時間的な経過を見るのも難しいと思う。
行動観察の結果を説明しているか?
巡回相談員が行動観察した結果は、保護者や本人に説明があるか。
巡回相談員の巡回結果は、基本的には、学校に対して指導や支援のあり方等をコンサルテーションするため、保護者等に説明があるものではない。しかし、求めがあれば、できる。
巡回している現場の方は頑張られている。しかし、母数が330人ぐらいいて把握できたのが8人というのは非常に少ない。1年間で言語聴覚士が19回しか回れていない状況なら当たり前だ。
そこで、2問目の「全校で統一したアセスメント」が重要になる。
サポート体制を協働作業で分かりやすく
脇道にそれるが「子どもに対して、どれだけのプレイヤーが、どれだけのサポートを提供しているか」が保護者には非常にわかりづらい。せっかくサービスを構築しても、それが利用者に知られず、十分活用できなければ最大の効果は発揮されない。
子どもをサポートするプレイヤーは、例えば次のような方々だ。
-
+[「読む」または「書く」に著しい困難を示す子どもの割合]
🏫 令和2年5月時点では約340人
児童・生徒数が増えたため、令和2年5月1日時点では約340人になります。
小平市立小学校10,072人 + 小平市立中学校4,083人 = 14,155人
14,155 × 2.4% = 339.72人
330人は結構な人数。潜在的人数がこんなに多いのに問題が表面化していないのはなぜか。「人知れず不登校になっている子どもたちがいる」のではないか。
理由2:二次障害が未来を奪う
一般に「二次障害」と言われる問題がある。先ほども触れたが、ディスレクシアの子どもたちは知的にはほかの子どもたちと変わらない。
しかし、読み書きができないことで、「自分は勉強ができない」と誤解したり、周りから「なぜ怠けるのか」「頑張っていない」などの誤解を受け、自信を失ってしまう。
モチベーションを失い、学校が楽しい場所ではなくなり、場合によっては不登校になり、鬱になる。これを二次障害ということがある。
逆に考えると、不登校の子どもやひきこもりの人たちの中には、かなりの数でディスレクシアの人が隠れているのではないだろうか。
見過ごさず迅速に対応を
つまりこれは絶対に見過ごしてはいけない問題で、対応を急ぐ必要がある。子どもにとっての1年間はとても大事だ。たった1年の(対応の)遅れが、子どもにとっては大きなダメージになることがある。大人の時間感覚で考えてはいけない。
2.5%は最低限の数値
まず市として潜在数を把握することが非常に重要。2.4%から2.5%という数値も最低限として捉えたほうがよい。
文科省の調査結果報告書にも「この調査では全数把握できない」という趣旨のことが書かれている。実際は、2.4%から2.5%よりもっと多い児童・生徒が困難さを抱えている可能性が高い。
②ディスレクシアの可能性がある児童・生徒の人数を見積もっているか?
小平市立小・中学校におけるディスレクシアの児童・生徒について潜在数をどう見積もっているか。そのうち実際に障害と診断された、もしくは困難さがあると把握している人数は。
文部科学省の調査結果の示すとおり、一定数あると認識している。ディスレクシアと診断を受けた児童・生徒の実人数は把握していないが、読み書きに困難さを抱えている児童・生徒数としては、特別支援教室の利用児童が48人、また、巡回相談を通して学校から読み書きに困難さがあると報告のあった児童・生徒が8人。
確率からすると判明人数があまりに少ない
潜在数330人から、判明している56人(48人 + 8人)を差し引くと、270人くらいはまだ知られていないという計算になります。
市としてどれくらいの潜在数を見込んでいるか。
文科省の調査もあるが、研究者によると、日本におけるディスレクシアの潜在割合は5.0%、欧米では10%という数字もある。一定数はあるものと認識している。
5%や10%であればもっと深刻。なぜ見積り数値を決め打ちで言えないのか。
はっきりした診断が出ていることではなく正確な数は言えないが、一定数あると認識している。
ディスレクシアの診断がなくても読み書きに著しい困難を示すことは同じ。文科省もその前提で調査している。また実際に診断を得るのはハードルが非常に高い。
内部で潜在数を見積もっているはずだと思う。公表してほしい。
現行の巡回相談では見つけきれない
『小平市特別支援教育総合推進計画・後期計画』の平成30年度実績には、巡回相談員は11人で1校当たり年間5~7回巡回していると書いてある。それぞれの職種の方(臨床発達心理士、言語聴覚士、作業療法士)が学校に滞在する頻度と時間帯は。その際、特定の子どもが観察の対象になるのか。
それぞれの割合は手持ちの数がないためここでは回答できない。言語聴覚士については、学校の要請に応じて行っており、昨年度は巡回した。ディスレクシアについては言語聴覚士が一番専門性が高く、アセスメントに近いことやコンサルテーションができると考えている。
一回当たりの滞在時間は?
年に19回ということだが、1回当たりどれぐらいの滞在時間か。
平均での時間は、今回答できない。実際に授業を見て、子どもの状態像をつかみ、そのうえで、この子どもにはこういう支援が必要だというコンサルテーションも含めるので、1時間や2時間ではないと認識している。
詳細がわかったら後で教えていただきたい。小学校で305クラス、中学校で115クラスあり、19回では全然足りない。すべてのクラスも回れていないだろう。しかも一日中いるわけでもない。時間的な経過を見るのも難しいと思う。
行動観察の結果を説明しているか?
巡回相談員が行動観察した結果は、保護者や本人に説明があるか。
巡回相談員の巡回結果は、基本的には、学校に対して指導や支援のあり方等をコンサルテーションするため、保護者等に説明があるものではない。しかし、求めがあれば、できる。
巡回している現場の方は頑張られている。しかし、母数が330人ぐらいいて把握できたのが8人というのは非常に少ない。1年間で言語聴覚士が19回しか回れていない状況なら当たり前だ。
そこで、2問目の「全校で統一したアセスメント」が重要になる。
サポート体制を協働作業で分かりやすく
脇道にそれるが「子どもに対して、どれだけのプレイヤーが、どれだけのサポートを提供しているか」が保護者には非常にわかりづらい。せっかくサービスを構築しても、それが利用者に知られず、十分活用できなければ最大の効果は発揮されない。
子どもをサポートするプレイヤーは、例えば次のような方々だ。
先週行われた小平市特別支援教育専門家委員会でも、「保護者にコーディネーターのことが伝わっていない」という意見が相談員から出ていた。「校長先生に相談しているとき、隣に先生が来たが、この人が一体何の役割をしているのかわからなかった」と。これは一歩間違えれば、不信感を招いたり威圧的に感じられたりする可能性がある。
ガイドライン等をつくっては?
そこで提案だが、対象となる保護者の方々にワーキングチームに参加していただき、「市は子どもにどういったサポートを提供しているのか」についてわかりやすい冊子を作成したり、校長先生と相談している場面でコーディネーターの方がきたら、「この人はどういう人ですよ」「この人がいることで、情報はどういうふうに回っていきますよ」といったことをちゃんと説明するようなこと(気を付けるべきこと)が記載されたガイドラインを作成してはどうか。
困り感のある子どもを支援するのは、たしかに学校だけではなく、さまざまな方がいる。保護者とも協力していくことが重要。今のご提案は、どういった形ができるか、今後の研究課題にする。
ぜひお願いする。職員の方々は日々の仕事で手いっぱいだろう。保護者の立場に立って資料を作成するのも、想像力を使う難しい作業だ。だからこそ、なるべく、市の製作物を作る際には、外部の、(事情をよく知っている)方々に主体的に参加してもらう(のがよい)。「市民との協働」と市長はよく言うが、働き方改革も含め、そういう(実効的な)ことをしていかなければならないと思う。
市のほうで報酬を出すなりして、期間限定もしくは不定期でも、本当に詳しい市民の方に、協力員のような形で市の仕事に参加してもらうという仕組みはできないのか。
学校教育では、会議等もそうだが、専門家や公募市民の方に入っていただいている。こういう機会をより広く行うことも重要と考える。現在は専門家に入っていただくことで、施策等についての評価や改善方法などを提言してもらっている。市民の方にどのような機会に入ってもらうかや、入っていただいてどういったことが今後のよりよい特別支援教育につながるのかは、研究していきたい。
✨こだいらこどもの発達支援ガイドブックができました!
令和5年12月に、保護者の方々が企画に参加されて「こだいらこどもの発達支援ガイドブック」ができました。
③アセスメントはどう行っているか?
小平市立小・中学校においてディスレクシアの児童・生徒を見過ごさないためのアセスメントをどう行っているか。また成果は。
現在、市で全児童・生徒を対象とした統一したアセスメントは行っていないが、学校を定期的に訪問する言語聴覚士を含む巡回相談員の行動観察等や、特別支援教室および通級指導での指導を申し込んだ際に受ける就学・転学相談における発達検査や行動観察等で、児童・生徒の抱えている読み書きの困難さを把握している。
成果としては、把握した困難さについて、さらにアセスメントを進めるために、各種検査の実施や支援体制を検討できるとともに、実際に個別指導に活用できること。
全体アセスメントを行わない理由は?
アセスメントの材料は豊富に提供されている。例えば東京都教育委員会は、DVDつきで小・中学校向けの丁寧で網羅的なアセスメントマニュアルを提供している。
アセスメント後の個別指導についても、具体事例も含めた理論と実践の冊子や、保護者に対する説明用の書式までも用意し、非常に行き届いた材料を提供している。
📚 都教委が提供している資料
そういった豊富な材料を前にしても小平市が全児童・生徒を対象としたアセスメントを現在行っていない理由は何か。
私どもが捉えているアセスメントは、評価、診断等々、中身をより具体的に詳細に深く見ていくというところ。
子どもたちの困り感に気付いていくことに関しては東京都教育委員会の資料もそうだし、私ども教育委員会から「通常の学級における特別支援教育の推進」ということで、環境調整における「こだいらこれだけは」というふうなあり方、それから、気付きの中で、学習面や行動について、文字をよく聞き間違える等々のチェックリストがあり、こういったことから気付いていき、その後、巡回相談につないでいく、といったことは取り組んでいる。
市教委が言うところのアセスメント
答弁で言及された2つの取組みは次のとおりであり、いずれも適切なアセスメントとは言えません。
(1)こだいらこれだけは
「こだいらこれだけは」は、小平市が平成24年度からすべての小・中学校で「小・中連携教育」というものを展開している中で5つ挙げられている視点のうち「特別支援教育」に対応するプログラムのことです。
視点 | プログラム名 | 内容 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
学力向上 | 学力アップチャレンジ |
こういうプレーヤーがどれだけいるか、それぞれの役割は何で、誰に報告され、その結果どうなる、といったことを保護者にわかりやすく示す必要がある。 先週行われた小平市特別支援教育専門家委員会でも、「保護者にコーディネーターのことが伝わっていない」という意見が相談員から出ていた。「校長先生に相談しているとき、隣に先生が来たが、この人が一体何の役割をしているのかわからなかった」と。これは一歩間違えれば、不信感を招いたり威圧的に感じられたりする可能性がある。 ガイドライン等をつくっては?そこで提案だが、対象となる保護者の方々にワーキングチームに参加していただき、「市は子どもにどういったサポートを提供しているのか」についてわかりやすい冊子を作成したり、校長先生と相談している場面でコーディネーターの方がきたら、「この人はどういう人ですよ」「この人がいることで、情報はどういうふうに回っていきますよ」といったことをちゃんと説明するようなこと(気を付けるべきこと)が記載されたガイドラインを作成してはどうか。 困り感のある子どもを支援するのは、たしかに学校だけではなく、さまざまな方がいる。保護者とも協力していくことが重要。今のご提案は、どういった形ができるか、今後の研究課題にする。 ぜひお願いする。職員の方々は日々の仕事で手いっぱいだろう。保護者の立場に立って資料を作成するのも、想像力を使う難しい作業だ。だからこそ、なるべく、市の製作物を作る際には、外部の、(事情をよく知っている)方々に主体的に参加してもらう(のがよい)。「市民との協働」と市長はよく言うが、働き方改革も含め、そういう(実効的な)ことをしていかなければならないと思う。 市のほうで報酬を出すなりして、期間限定もしくは不定期でも、本当に詳しい市民の方に、協力員のような形で市の仕事に参加してもらうという仕組みはできないのか。 学校教育では、会議等もそうだが、専門家や公募市民の方に入っていただいている。こういう機会をより広く行うことも重要と考える。現在は専門家に入っていただくことで、施策等についての評価や改善方法などを提言してもらっている。市民の方にどのような機会に入ってもらうかや、入っていただいてどういったことが今後のよりよい特別支援教育につながるのかは、研究していきたい。 ✨こだいらこどもの発達支援ガイドブックができました!令和5年12月に、保護者の方々が企画に参加されて「こだいらこどもの発達支援ガイドブック」ができました。 ③アセスメントはどう行っているか?小平市立小・中学校においてディスレクシアの児童・生徒を見過ごさないためのアセスメントをどう行っているか。また成果は。 現在、市で全児童・生徒を対象とした統一したアセスメントは行っていないが、学校を定期的に訪問する言語聴覚士を含む巡回相談員の行動観察等や、特別支援教室および通級指導での指導を申し込んだ際に受ける就学・転学相談における発達検査や行動観察等で、児童・生徒の抱えている読み書きの困難さを把握している。 成果としては、把握した困難さについて、さらにアセスメントを進めるために、各種検査の実施や支援体制を検討できるとともに、実際に個別指導に活用できること。 全体アセスメントを行わない理由は?アセスメントの材料は豊富に提供されている。例えば東京都教育委員会は、DVDつきで小・中学校向けの丁寧で網羅的なアセスメントマニュアルを提供している。 アセスメント後の個別指導についても、具体事例も含めた理論と実践の冊子や、保護者に対する説明用の書式までも用意し、非常に行き届いた材料を提供している。 📚 都教委が提供している資料そういった豊富な材料を前にしても小平市が全児童・生徒を対象としたアセスメントを現在行っていない理由は何か。 私どもが捉えているアセスメントは、評価、診断等々、中身をより具体的に詳細に深く見ていくというところ。 子どもたちの困り感に気付いていくことに関しては東京都教育委員会の資料もそうだし、私ども教育委員会から「通常の学級における特別支援教育の推進」ということで、環境調整における「こだいらこれだけは」というふうなあり方、それから、気付きの中で、学習面や行動について、文字をよく聞き間違える等々のチェックリストがあり、こういったことから気付いていき、その後、巡回相談につないでいく、といったことは取り組んでいる。 市教委が言うところのアセスメント答弁で言及された2つの取組みは次のとおりであり、いずれも適切なアセスメントとは言えません。 (1)こだいらこれだけは「こだいらこれだけは」は、小平市が平成24年度からすべての小・中学校で「小・中連携教育」というものを展開している中で5つ挙げられている視点のうち「特別支援教育」に対応するプログラムのことです。
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