(1)カーボンニュートラルの虚実を、まず科学的に捉えよ
- -まとめ
-令和3年2月26日に行った2件の一般質問のうちの1件目です。
-政府がカーボンニュートラルを推進しています。緑を増やすこと、エネルギーの無駄をなくすこと、資源の無駄遣いをなくしていくことは私も大賛成です。しかしカーボンニュートラルの考え方には大きな誤りがいくつも含まれています。これは私の知識や経験(リチウムイオン系畜電池の開発に携わり、太陽光や風力発電など再生可能エネルギーの技術営業もし、業界代表として国際規格化のリーダーも務めた経験)に基づいた見解です。
-多くの専門家が指摘しているにもかかわらず、これらの誤りは見過ごされてきました。これは政治的な理由が背景にあるからです。この誤りが放置されたままでは、国民の福祉が低下するだけでなく、取り返しのつかない環境破壊にもつながる恐れがあります。
-市議会議員の立場で国の政策を動かすことは困難です。今私にできることは、貴重な市の財源が、このような「ぱっと見は環境に良さそうだが、実は社会や環境の害となる」事業に投じられないよう、目を光らせることです。今回の一般質問では、カーボンニュートラルの考えがどう間違えているのかを説明し、それに対する市の姿勢を問いました。
-市は独自財源で年間500万円ほど太陽光パネルへ助成金を支給していますが、すぐに中止すべきです。その余裕があるなら教育費に回すべきです。
-質問 | 答弁 |
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市内太陽光発電の総量はどう計算している? | kWの単純合計 |
「実際に使える電力は使って測定しないと分からない」でよい? | 0.85くらい(答弁ずれ) |
そのうち発災時に自立して使える容量は? | 使えるものもある |
発災時にほかの人たちも使える? | (把握していない?→答弁漏れ) |
市の独自財源で太陽光発電に投じた総額は? | 約3.8億円 |
国や都の補助金はいつまで出ていた? | 資料が手元にない |
補助金が出なくなった理由は? | 資料が手元にない |
2030年までの補助目標4,000件のうち太陽光分は? | 太陽光だけの数は出してない |
市内太陽光発電での年間使用電気容量は? | 公共施設は約51万kWh |
市内太陽光発電での総売電額は? | 公共施設は昨年度約143万円 |
FIT制度は貧富の差を広げる働きがあるが? | (論点ずれ答弁) |
太陽光発電のCO2削減量はどう計算している? | 排出計数をかけたり、太陽光発電協会が示す基準値から計算 |
CO2排出量の計算に発電所のアイドリング分は含まれる? | (上記答弁の繰り返し) |
家庭用燃料電池のCO2削減量はどう計算している? | 燃料電池普及促進協会が示す基準値から計算 |
ペレットストーブの試験運用を行っては? | 課題があるので研究する |
ペレットストーブの市内設置状況を把握している? | していない |
CO2削減量はライフサイクルの視点で計算する? | 吸収量は含ませられない |
排出権取引のしくみはある? | あるが、その年ごとの換算になる |
通告書
- -主な質疑
- -正確な質疑内容は会議録をご参照ください。
-なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。
用語について
ここでは二酸化炭素をCO2と表記します。
なお、石油の由来については「生物の死骸由来」とする説(有機成因論/有機起源説)が主流です。一方で「地球内部の高温・高圧の条件下で生成される非生物由来」とする説(無機成因論/無機起源説)もあります。そのため「化石燃料」ではなく「炭化水素燃料」という表現を用いる向きもあるようです。ここでは化石燃料という表現を用いています。
質問する理由
菅総理が昨年10月『2050年カーボンニュートラル』脱炭素社会の実現を目指すと宣言し、それを踏まえ経産省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を同年12月に策定した。
一方、「CO2の人為的排出が地球温暖化や気候変動の主な原因」という説に懐疑的見解をもつ人々も多い。
たとえば一昨年の9月、世界中から900人以上の科学者や専門家の参加するグループが国連総長宛てに公開書簡“There is No Climate Emergency(気候は非常事態ではない)”を提出した。
「政策は科学的・経済的現実を尊重しなければならない」 と結ぶこの書簡には、江崎玲於奈氏とともにノーベル物理学賞を受賞したアイヴァー・ジェーバー氏など著名な科学者が名を連ねている。
またたとえばリベラル派の映画監督として知られるマイケル・ムーア氏が、昨年ドキュメンタリー映画『プラネット・オブ・ザ・ヒューマンズ』(後述)を公開した。この中では「太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、政治的目的や特定の人々の利益を実現するため多分に効果が誇張されており、実際は害となる(ことが多い)」といった趣旨の主張が行われている。
世界的な流れの中で、日本が脱炭素社会の宣言をせざるを得ない状況は(納得はできないが)一定の理解ができる。しかしそのような中で小平市が誤った方向に進むことを危惧している。
たとえば先日議決された小平市第四次長期総合計画基本構想には、「温室効果ガスの排出をゼロにする『脱炭素化』に向けて」という明らかに認識不足の一文が記載されたまま議会に上程された。
考え方によっては「実質ゼロ」にならできますが、排出をゼロにするのは不可能です。不可能なことが書かれた基本構想を誰が守るのでしょうか。
一般質問とは別の場で指摘もしたのですが、この基本的な間違いは直されないまま基本構想として確定してしまいました。
市が今後このような誤った認識に基づいて「パッと見は環境に良さそうだが、実は社会や環境の害となる」事業に貴重な市の財源を投じ続けることがないように質問する。
①CO2削減政策の欺瞞について
政策にするほどの科学的裏付けがない
人為的なCO2排出が温暖化や気候変動を引き起こしているという論は単なる仮説であり、政策立案の判断材料に用いてよいほどの科学的裏づけがない。
と主張する専門家がたくさんいる。合理的な根拠も示されている。
太陽光発電などの技術革新は重要
太陽光発電などの技術革新は、人類の営みとして重要なことだと私も考えている。
たとえば宇宙ステーションは方向を変えたり加速したりするとき以外はほとんど太陽光パネルからの電力で賄っている。宇宙は雲や雪がなく、太陽光発電には理想的な環境だ。
地球上でも電力網から隔離された場所(僻地や海上や砂漠地帯など)では太陽光発電が役に立つ。
震災などの発災時も、電力網が遮断されたものの太陽光パネルは異常なく使用できる環境なら役に立つだろう。
つまり太陽光発電がこの世に不要だとは思わない。
電力網が遮断されるほどの震災時は、太陽光パネル自体や、太陽光パネルを設置した家屋が損傷を受ける可能性も高くなります。漏電・感電リスクや消火活動中の感電リスクも忘れてはならないものです。
化石燃料の可能な限りの削減はよい
また化石燃料の使用量を減らしていくことにも私は賛成だ。
「地下で採掘したものを地上で燃やして大気に入れる」という発想に抵抗を感じるし、汚染物質が含まれていることもある。
また日本は石油や天然ガスがあまり出ない。石油は国内需要の約0.3%分、天然ガスも約2.3%分は出ているが、国内の使用量に全然足りていない。輸入に頼るしかないため、なるべく化石燃料の使用量を減らしていくのは、そういう観点ではよいこと。
しかし現在のCO2削減施策は間違い
しかし、
今は気候変動や温暖化で非常に危機的な状況なので、化石燃料の使用量をとにかく劇的に削減しましょう
という論理は人々の福祉に大きな弊害をもたらすものであり、間違えている。
昨日の伊藤議員が言っていたように、インフルエンザワクチンの問題とまったく同じ構造。特定の人々の利益が優先されるような仕組みの中でつくられている、と感じるところがある。
公開書簡について
公開書簡“There is No Climate Emergency”に記された6件の主張のうち、いくつかを紹介する。
主張1: 温暖化には自然要因と人為的要因の両方がある
地球の気候は寒冷期と温暖期の間で長い間変化してきた。私たちが温暖化の時期を経験しているのは、驚くべきことではない。
主張2: IPCCの将来予測モデルは現実との乖離が著しい
CO2削減推進の中心的存在である「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が出した将来予測モデルの予想値と比べると現在の気温は著しく低い。モデルの前提に欠陥がある。
そもそもIPCCモデルが前提にしているコンピュータシミュレーションは、学問的研究には有用だが、数年間や数十年間にわたる将来予測に使えるものではない、と言う科学者もいる。
CO2は植物にとってのご飯
主張3: CO2は植物にとってのご飯。地球上のすべての生命の基盤
CO2は汚染物質ではない。地球上のすべての生命にとって必要不可欠なもの。CO2が増えることは自然にとって好ましいことであり、地球の緑化につながる。大気中に増加したCO2は世界の植物バイオマスの成長を促進した。また農業にも利益をもたらし世界中の作物の収量を増加させている。
現在の大気中CO2濃度は約400ppm(大気中の0.04%)。50年前の300ppmからかなり上がっているとされるが、植物が陸上に進出した太古のシルル紀やデボン紀は現在の10倍以上のCO2濃度があったと考えられている。
多くの植物にとって今は「CO2濃度が薄過ぎる = 植物のご飯が足りていない」状況だと言う人もいる。CO2が150ppm以下になると多くの植物が死滅するとも言われている。
温室栽培には「CO2の施用」というのがある。土壌に十分に栄養を与え、水分も十分に与え、CO2濃度を750ppmや1,500ppm程度に高めると作物の収穫量が2から3割増加する。
地球上の緑の量は増加している
また2019年2月にボストン大学の研究者がNASAの地球観測衛星などを使い撮影した20年間の記録から調べると、2000年代初頭と比べて地球上の緑の量(葉の量)は5%増加している。これはアマゾンの熱帯雨林に匹敵するぐらいの面積だ。
グレタさんが「危機的状況で緑がない」ようなことを言っているのとはずいぶん違う。
ファクトチェックは根拠が薄い
この書簡に対して最近よくあるファクトチェックというものでIPCC側から反対意見が示されている。それらをひとつずつ確認したが、内容が薄く、根拠が薄い。科学的ではないという印象をもった。
このように「温暖化に関する学問的な裏づけ」の世界を少し調べると、どうも私がこれまで過ごしてきた科学的な世界とは別の、異質のことがまかり通っている。
IPCCモデルの欠陥
この公開書簡は500人以上の人が署名しており、日本人として署名しているのは2、3人。いずれもこのテーマに直接関係する学問の分野で第一人者の方々。
そのうちマサチューセッツ工科大学やNASAのJPLでも勤務していた気候専門の学者である中村元隆氏が「気候科学者の告白」という書籍を出している。アマゾンで99円なのでIPCCの見解を支持している方もちょっと読んでみるとよいと思う。私が言いたいこともここに書いてある。たとえば次のようなことも書かれている。
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- (太陽から地球に降り注ぐ)太陽エネルギーが地球表面の温度上昇に与える影響は非常に大きいが、IPCCのモデルはこの太陽エネルギーを「不変」として扱っている -
- シミュレーションの解像度が低過ぎる -
- シミュレーションは恣意的にパラメータを決められるので、結論に合わせて結果を得られる -
以上が、書簡の内容とその関連の人たちが主張していること。
プラネット・オブ・ザ・ヒューマンズ
次に、プラネット・オブ・ザ・ヒューマンズという映画について。
私はマイケル・ムーアのファンではないが、太陽光発電などを推進する立場にあったと思われる人物が、それを批判する映画をつくっていることは注目に値する。
正確ではない情報も含まれていると思うが、環境、CO2、環境保護活動の裏にある「実際のところ」が要点を絞って描かれていて、よい映画と思う。
この映画の中で、次のようなことが取り上げられている。
太陽光や風力は不安定な電源
まず、太陽光や風力は不安定な電源であるということ。
太陽光発電は、雲がかかったり、雪が降ったり、砂ぼこりがたまったり周囲の気温によっても発電量が変わる(そもそも夜はまったく発電できない)。風力発電は風がないとまったく発電しない。
停電させないためには、不足分を既存の電力網から供給しなくてはならない。既存の電力網がつながっている先は、既存の発電所だ。
不安定な電源をバックアップする既存の発電所
発電所(電源)にはいろいろある。
通称 | 機能・特徴 | 発電方式 |
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ベースロード電源 | 定常的な部分の電力を供給 | 原子力発電 石炭火力発電 |
ミドル電源 | ある程度需要に追従できる | 天然ガス火力発電 |
ピーク電源 | 電力負荷のピーク時に使用 | 石油火力発電 揚水式水力発電 |
バックアップ電源のアイドリングが必要
これらの電源はたとえば太陽光発電パネルに雲がかかったりして発電できなくなったり、負荷が急激に変動した際は、基本的にリアルタイムで出力を調整できない。変動に追従できない。ある程度は追従できてもリアルタイムにはできない。ということは、それだけの分を常に待機して動かしておく必要がある。
いってみればバックアップ電源としてのアイドリング。車がガソリンを吹かして待機しているような状態。アイドリングがある以上、「太陽光発電によってCO2を削減できる」という論理にはならない。太陽光発電で発電する分と同量のバックアップ電源を稼働しておく必要がある。
これは蓄電池を併用してもある程度は同じ。一般の家庭につけるような太陽光パネルの大きさでは家庭で必要な電力の1日分も賄えない。すると1日分の電力を仮に蓄電できても、次の日に天気が悪ければすぐに充電が空になる。バックアップ電源が必要という状況は変わらない。
そういったことが、この映画には概要として出てくる。
自然保護活動が金儲けになっている
そのほかにも自然保護活動の背景にはいろいろな金儲けの話があると指摘している。
アル・ゴア氏の話や、米国で著名な環境保護論者のビル・マッキベン氏が裏でゴールドマンサックスなどの金融業界と仲がよいといった話が出てくる。
市も、そういう裏の話や反対意見も踏まえた上で施策していただきたい。
たとえば、年に4、5回、市はソーラー発電に関して子どもたちに環境学習などをしているという。何を教えているのか。
裏にどんな電源のバックアップがあって、発電が止まったらどう補うのか、そういう話もしていただきたい。
②太陽光発電について
発電規模の計算方法は?
(仮称)小平市第三次環境基本計画(素案)に記載されている、令和元年度末の市内太陽光発電規模約5,347kWは、どう計算したか。
次の合計。
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- 市公共施設の発電出力:474kW -
- 市の助成制度を使用した市民・事業者の発電出力:4,797kW -
- 市民共同発電所の発電出力:76kW -
「実際の電力は使って測定しないと分からない」でよい?
これは供給側から見た理想的な値で、太陽光パネルの端子に「理想的な負荷が接続された際の、端子に現れる電力」かと。実際に使っている電力ではない。
公称の出力であるkWを合計しただけだと思うが、実際に供給できるのはもっと低い値。
太陽光発電協会(JPEA)のガイドラインにも「最大でも公称電力の70から80%しか出力できませんよというふうに、お客さんへ説明するようにしてください」といったことが書いてある。
日照条件・周辺の気温・劣化状況・ほこりが積もっているなどの状況により、実際の出力は理想的な値にはならない。
さらに使用する側では、パワーコントローラやインバータの損失や回路損失があり、入力電圧や負荷の状況によってずいぶん変動する。
つまり、「実際に使える電力は、使ってみて測定しないと分からない」という認識でよいか。
今議員から教えていただいたとおり、その0.85ぐらいが損失になる。今の答弁では掛け合わせておらず、電気容量として説明したもの。
損失になる分は0.85ではなく、0.15(15%)の間違いですね。
その0.85も実際はもっと下がると思う。0.85は理想的な条件をいくつか設定しての話なので、実際に使っている電力量のほうから見る必要がある。
太陽光パネルの国産・外国産の割合は?
合計5,347kWになった太陽光パネルのメーカーについて、国産と外国産の割合は。
それぞれの工事で発注し、仕様書にしたがって受注者が設置しているものだが、メーカーとしてはすべて国産。
再質問はしませんでしたが、メーカーは日本であったとしても下図のとおりパネルはほぼすべて外国産で、大半が中国産です。
(出所:Bloomberg NEF、提供:Statista)
発災時に使える容量は?
発災時にほかの人たちも使える?
5,347kWのうち、震災のときにも使える容量は。
また、その公共性として、その装置を所有している方だけではなく、周りに住むほかの人たちも使えるようになっているものはあるか。
蓄電池があるかということであれば、市の太陽光パネルの場合、ソーラーシステムの場合は蓄電池が設置してあるところはある。今資料が見つからないが、ほぼ蓄電池はついていない太陽光パネルとなっている。
また、電源に変換できるものとできないものについても両方ある。
震災のときに自立発電できるかとかということだが、そういったことは把握していないか。
震災のときにその家一軒だけで使えるのではあまり意味がない。周りの家庭も使えて、たとえば携帯電話の充電ができるとかということがあれば役に立つが、どうか。
自立発電として使えるものもある。
データを後でもらいたい。
蓄電池がついていれば、ある程度は意味が出てくる。太陽光パネルももっと広い面積になって蓄電池がついているならば、負荷平準化という考え方がある。
その考えの中ではある程度メリットがあるという話にはなる。蓄電池もついていないところでCO2の総排出量を考えても意味がない。
太陽光発電に投じた総額は?
市内太陽光発電規模約5,347kWの実現に市が投じた資金の総額は。
公共施設の建設/大規模改造工事と一体で太陽光発電設備の設置工事を実施した場合などもあるため、おおむねの額で、総額3億7,939万円。
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- 国や東京都等の補助金を除いて、市が投じた額:2億4,832万円 -
- 市の助成制度を使用した市民・事業者への助成額:1億3,107万円 -
市民共同発電所については、市が負担した額はない。
国や都の補助金はいつまで出ていた?
補助金が出なくなった理由は?
当初出ていた国や東京都からの補助金はいつごろまで出ていたか。また、補助金が出なくなった理由は。
全体の建築の中で補助金をもらう場合もあるので、そのあたりは案分して計算しているが、今でも国や東京都の補助はある。
それは公共施設等についての話。市民に補助している「1件上限額12万円まで」には、国や東京都からの補助金は充てられているのか。
そのモニター助成は市独自の補助・助成として行っている事業。
市民への助成金は、市から1件12万円まで。年間50件までの上限がある。掛け算すると年間600万円ぐらい。毎回上限まで申請があるという話だったので、年間600万円ぐらいが市の財源から出されているという認識でよいか。
今の現状では、太陽光発電の助成と家庭用燃料電池エネファームの助成を合わせて上限で1,000万円の予算の中で実施している。
補助金のこともそうですが、太陽光のことを聞いているのにエネファームのことを入れたり。焦点をぼかして違う結論に誘導されると課題が明らかになりません。始めからきちんと個別具体に答えてもらえれば時間の節約にもなります。
そのうち太陽光発電の助成はいくらか。
市民への助成金に関しても、国からの補助金がかつては出ていたと思うが、それで正しいか。今は市独自で出しているが、かつて出ていたのか。それがいつまで出て、その補助金が止められることになった理由は。
国の助成については、いつまでというのは今資料が手元にないが、以前あった太陽光発電システムに対する助成はなくなり、それとは別に蓄電池の助成があると記憶している。
また、東京都も同じように太陽光発電システムと蓄電池を一緒につけた場合、蓄電池にのみ助成があると記憶している。
2030年までの補助目標4,000件のうち太陽光発電は何件を予定?
小平市第三次環境基本計画にある「今後2030年までの補助目標を4,000件に」のうち、太陽光発電システムは何件予定しているか。
これまでの環境基本計画の中では、太陽光発電システムの助成ということで当初目標にしていた。今回はエネファームや、今後ニーズのある別の、より効率的な環境によい機器を助成として検討していかなければいけないということで、太陽光発電システムのみの目標件数はうたっていない。
年間の総使用(総消費)電気容量は?
市内太陽光発電による年間の総実績使用電気容量(Wh)は。
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- 昨年度の公共施設の実績:50万8,312kWh -
- 市の助成制度を使用した市民・事業者の実績:把握していない -
市民共同発電所も把握していないが、発電量のほとんどを売電していると聞いている。
CO2の削減効果の話をするなら、使っている分を測定しないと意味がない。なぜなら、発電していても全然使っていないときはCO2の削減効果はゼロだから。むしろ太陽光発電装置の製造コストがあるのでCO2は増える換算になる。
なので本来、総実績使用電気容量から換算してCO2をどれだけ削減した、という計算をしなくてはならない。
私たちが普段使っている電力は実際の使用量で請求が来る。太陽光発電についても使用量を見なくてはならない。そういったことはしているか。
50万8,312kWhの測定はどうやっているか。パワーコンディショナーから出てきている値を使っているのか。
各公共施設に計測器を設けており、実際の計測値を集計している。
計測値にもいろいろある。本当に使われている電気量なのか疑問。
本来「実際に使用した使用電力量 ÷ 年間で発電可能な電力量」の比を数年間測定し、平均値を使うなどして本来の太陽光発電による効能をちゃんと計算する必要がある。
年間の総売電額は?
市内太陽光発電のうち、年間の総売電額は。
昨年度の売電額は、
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- 公共施設:約142万7,000円 -
- 市の助成制度を使用した市民・事業者及び市民共同発電所:把握していない -
負の遺産・固定価格買取制度
2011年にソフトバンクの孫正義氏がメガソーラー事業への参入を表明し、当時の菅直人総理と会食した。その後、今では『負の遺産』とも呼ばれている『固定価格買取制度(FIT)』が始まった。
孫氏が「40円を下回ると非常に厳しい」と言ったことで、当初1kWh当たり42円で開始された。
固定価格買取制度が貧富の差を広げる
では、その売電の分のお金を誰が払うのかというと、私たち国民だ。
太陽光発電を使っていなくても、貧しい家庭であっても、広く徴収される。消費税増税はかなり騒がれるが、なぜかこちら(再生エネルギー賦課金)はあまり騒がれていない。
平均的な1世帯当たり現状で月1,000円ぐらいかかっている。うちの場合1月分は800円だった。これは所得に関係なくかかる。ということは貧富の差を広げる働きがある。
市の矛盾した行為にどう整合性つける?
市に「ふるさと納税をなぜ活用しないか」と聞くと「他市の財源を奪うからあまりやりたくない」という話だった。
しかしこの固定価格買取制度の再生エネルギー賦課金、これはお金のない人々から奪っていることなのではないか。そういったことに市がお金を出してよいのか。
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- ふるさと納税は他市から財源を奪うからやらないと言っている -
- お金がない人たちからも奪うような仕組みに市がお金を投じている -
両者の整合性をどう取ればよいか。
ふるさと納税で他市の財源を奪うから市としてやっていかないということは言っていない。これはあくまでも、例の上水南町のおそらく寄附物件の話かと思うが、それは全然別の話。あれは特殊な寄附。ふるさと納税には適していないと判断している。
この質問と直接関係はありませんが、ここで「ふるさと納税に適していない」とされた上水南町の寄附物件の件は、津嶋部長が辞められてすぐ後に私たちの活動が奏功して、ふるさと納税が活用されることとなりました。そして小平市の歴史に残る金額の寄附を集めることに成功しました!😁
詳細はこちらにまとめています。
私の認識と違うところ。水かけ論になるので(言ったことと違うという論議をここでは)やらないが。
もしそういう前提がなかったとしても、特定の人々の利益のために全国の人々からお金を集める。しかも発電所のアイドリングで消費している分等を考えれば、CO2の削減にも大してつながっていない。そんなことをしていてよいのか。
CO2削減量はどう計算している?
太陽光発電によるCO2削減量は、どう計算しているか。
公共施設及び市民共同発電所のCO2削減量は、第二次エコダイラ・オフィス計画で使用しているCO2排出係数を使い次で算出。
年間の発電量 × 0.374
市の助成制度を使用した市民・事業者の方は、一般社団法人太陽光発電協会のホームページに掲載されている結晶系シリコン太陽光電池による1kW当たりのCO2削減効果に、市の助成制度から導き出した一般家庭の平均出力及び助成件数を掛け合わせて算出。
計算式も分かるところはあるが、先ほどから言っているように(太陽光)発電がストップした際にバックアップするための発電所のアイドリング分も考える必要がある。それは考慮に入っていないということでよいか。
こちらの計算は排出係数を掛け合わせて算出したり、太陽光発電協会のホームページに記載されている1kW当たりのCO2の削減効果の基準値を基に算出したりしている。
③家庭用燃料電池について
CO2削減量はどう計算している?
家庭用燃料電池によるCO2削減量は、どう計算しているか。
一般社団法人燃料電池普及促進協会のホームページに掲載されている一般家庭の年間のCO2削減量に、市の助成制度を使用した市民・事業者への助成件数を掛けて算出。
太陽光発電協会のサイトも見たが、どこに書いてあるのか。以前書いてあったのに今は書いていない。実際はアイドリング分も考えなくてはならない。
④CO2削減ならペレットストーブ推進を
ペレットストーブを試験運用しては?
暖房のエネルギー消費量は非常に大きい。ペレットストーブや暖炉の活用により、CO2の総排出量を大きく減らすことができる。市内で伐採した樹木や剪定枝をペレットにし、市内公共施設等でペレットストーブの試験的運用をしてはどうか。
ペレットストーブは環境に優しいストーブである一方で、ペレットの保管、火災の危険性、臭いや煙の発生などの課題があるので、他市の事例を参考に今後研究していく。
ペレットストーブの市内設置状況を把握している?
市内でペレットストーブや暖炉を設置している家屋数や利用状況を把握しているか。
把握していない。
命ある植物に対して不適切な表現だが、植物は世界で最も理想的な太陽エネルギーの蓄エネ装置。
太陽光を受け、光合成で空気中のCO2を吸収し、水や窒素など栄養素を地面から吸い取り、自分でどんどん育っていく。
それを燃やしたときに出る熱は、もともとはすべて太陽のエネルギー。木を燃やすときに排出されるCO2は、育つときに吸収した分だけ。トータルで考えるとCO2は一切増えていない。CO2削減をするなら、そういうライフサイクルにわたって考えなくてはならない。
特にペレットストーブというのは需要に追従できる。寒いときには火を入れて、不要になったら消せばよい。太陽光発電のように、バックアップ電源をアイドリングしておくような無駄もない。
⑤ライフサイクルを考えた総量での排出削減が市には求められているのか?
国から2050年カーボンニュートラルとかCO2削減という話の中で、このようにライフサイクルを考えてのトータルでの排出削減ということが市には求められているのか。それとも排出の分だけを見て削減してくださいという話になっているのか。
まず、計画の中で求められているものとしては排出量を出すことになっている。それとは別に、吸収量についても提示はできる。
ただその排出量から吸収量を引いて出すということは今できない。公表する数値としては、市でいうと地域エネルギービジョンの排出量については、別に吸収量を示すことはできる。しかし小平市は地方と違い、あまり雑木林とかの面積も大きくない。また計算等のやり方等が難しいことから出していないが、26市でも吸収を出しているところはない状況。
『ふれあいの森』や市内雑木林の活用を
小平町との『ふれあいの森林(もり)』事業や、市内にある雑木林の存在は、カーボンニュートラルという観点から、市に恩恵をもたらす可能性はあるか。
ふれあいの森林づくり事業は、昭和59年当時の林野庁が進める『分収造林制度』の適用を受けるもので、姉妹都市である北海道小平町の国有地に植林した樹木を成木後に販売し、国と植林者で収益を分配する事業。
一般的に森林としてCO2を吸収する機能は有するものの、カーボンニュートラルの観点から、市に直接恩恵をもたらすものではない。
市内の雑木林はCO2の吸収源として地方の森林と比べて面積が少なくカーボンニュートラルの観点からの恩恵は少ない。しかし緑を確保することは人々に潤いや安らぎを与え、生物多様性の保全に寄与するなど、さまざまな恩恵をもたらす。
排出権取引ができる仕組みなのか?
地方の公共団体の間で、排出権取引のような、こっちでは吸収分があるからといった、そういうやり取りができるような仕組みはあるか。
そのような取引は実際あり、たとえば府中市だと、地方の森林の植林の費用を出し、その分、吸収量を購入しているような形は取っている。ただ、それが一度たとえば続けて何年間にもわたってその植林の分の費用を払った場合には、その年の分のCO2削減量、吸収量しか計上できないので、続けてやるような必要があると認識している。
そこは問題がある。排出量だけを見て、減らしていこうという話になると、製造時の問題や、トータルのライフサイクルコストの中でのCO2削減量という問題は考えられなくなってしまう。
また、先ほどから言っているアイドリング電源というところもやはり考慮に入れてもらわないと困る。
そういう前提に立って市の施策を考えていただきたい。
まとめ:市の太陽光発電への独自補助は時期尚早、原発推進につながる懸念も
まとめると、太陽光発電の補助は、私としてはまだまだ時期が早いと考えている。
現状は、
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- アイドリングを解消できるようなことがない -
- 小平市では蓄電池が一緒についている太陽光発電が非常に少ない -
- 蓄電池がついていたとしてもその問題は大きく変わらない -
そのため、小平市が行っている約633万円の補助金は単にメーカーへ助成しているのと同じであり、小平市が今率先してやることではない。そのあたりをもう一度見直していただき、施策につなげていってほしい。
では、いつどういうタイミングで太陽光発電を入れていけばよいか。
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- 太陽光発電のシステムや蓄電池の性能が十分に上がる -
- 製造時の環境負荷が十分に下がる -
- 需要にリアルタイムで追従できる発電所が生まれる -
- 発電所のアイドリングをなくせる技術が生まれる(たとえば、蓄電池と発電所をオンラインでつなぎ、これだけ発電量が減りそうだから出力を上げていこうといった技術ができる) -
- それを実現するのが『小型原子力発電所』という手段ではない -
- 震災時にも公共性がある -
- 応益者負担という観点から問題がない -
- 再エネ賦課金のような貧富の格差を拡大してしまう要因がない法整備になる -
そういった条件が整ってからやるべきことだと私は考えている。
以上