土地取引、土地利用における条例軽視は、まちづくりの根幹を揺るがす大問題
📄会議録まとめ
令和元年9月6日に行った1件の一般質問です。
回田町の宅地開発に関して周辺住民からのご相談を受け、数ヵ月に渡って複数の議員で調査を行いました。私たちの 会派に相談いただいた時は時すでに遅しのタイミングでしたが、今後市の開発のあり方を見直す必要があることが分かりました。ほかの議員もこの件で質問しました。私の質問では、条例違反が起きていたことや理念が守られていないことなどを指摘し、市の姿勢を確認しました。旧佐川邸公園の件もそうですが、市は市内公園の扱いに関し課題を抱えています。市長にも期待できないところがありますので、私たち市民が実現可能な発想を持ち込み、提案していく必要があるようです。
質問 | 答弁 |
---|---|
元の土地所有者が条例違反行為をしたということでよい? | よい |
仲介人の農協が土地元所有者に説明しなかったのか? | 市として説明したと認識 |
条例違反に罰則は? | 罰則はなく勧告はあるが、悪意なしとみてそこまでいかない |
条例違反があったのに罰則がなく農協にも調査しない、条例軽視では? | 罰則は設けない |
条例の解釈に理念を反映させるのは市長の仕事では? | その姿勢でやっている |
小さな公園つくりたくないのでは? | 効率的維持管理は悩み。不必要とは考えてない |
通告書
主な質疑
正確な質疑内容は会議録をご参照ください。
なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。
①質問する理由
まちづくりの根幹が崩れる
回田町218番地周辺で行われている宅地開発に関し、大規模な開発にもかかわらず公園が設置されないことや、一連の取引、開発に関する説明が十分になされていないことなどから、周辺住民の間で市に対する不信、不満の声が上がっている。特に、若い家族世帯が多く移り住んでいる状況で、子どもたちが遊ぶ公園が近隣にないことや、緑が減ることについて心配する声が大きい。
この土地は、もとの所有者が平成28年7月1日に全体で約8,000㎡の土地を3つに分割し、それぞれ3,000㎡未満の契約として3社へ売却したもの。この3社との取引(以下、当取引と呼ぶ)は、同一の者が行う合計面積5,000㎡以上の土地取引行為であったにもかかわらず、小平市開発事業における手続及び基準等に関する条例(以下、条例と呼ぶ)で定められた届け出が期間内にされていない。
また、大規模な土地利用を小平市の都市計画マスタープランの方針等に照らし合わせるために規定されている小平市土地利用審議会での審査や、市長の助言プロセスも行われていない。さらには、事業面積が5,000㎡以上の開発事業で同一の事業者が開発を行う場合に必要とされる大規模開発事業のプロセスや、同様に3,000㎡以上の開発で必要とされる中規模開発事業のプロセスも踏まれておらず、先述したように、都市計画法の規定に基づいて3,000㎡以上の開発において整備すべき公園等も設置されていない。
5,000㎡を超 える大規模土地取引および大規模土地開発に際し、複数業者との間で土地を分割して売買するなどの手法によって個々の土地面積を減らすことで、法や条例に定めた事項を回避できてしまうのであれば、小平市のまちづくりの根幹が崩れることになり、非常に大きな問題だ。
そこで、当取引に関する市の対応の再検証と、東京都への働きかけも含めた条例等見直しの要望を念頭に質問する。
②大規模土地取引の届け出に関する条例違反について
経緯、原因、対処、再発防止策は?
大規模土地取引の届け出は取引契約の3ヵ月前に行われなければならないが、当取引は契約締結後1ヵ月での届け出と遅れたことについて、その経緯、原因、市としての対処、再発防止策は。
平成28年1月に、市は、土地所有者の仲介人から生産緑地であった土地について売買の相談があったため、大規模土地取引行為の届け出や大規模開発事業に関する公 共施設の設置等について説明を行った。
その後、同年7月に、土地を3つに分割し、取得した3社から、国土利用計画法に基づく土地取引の届け出があった。当該土地につきましては、すでに土地売買が行われていたことから、市から大規模土地取引行為についての届け出を促し、同年8月に提出された。
本来ならば、大規模土地取引行為を行う前に市長の助言等を行う必要があるが、すでに契約が締結されていたことから、もとの土地所有者に対し、良好なまちづくりへの協力を取得した3社に伝えていただくようお願いした。届け出がおくれた原因としては、3つに分割して売却したそれぞれの土地面積が5,000㎡未満であったことから、もとの土地所有者が、大規模土地取引行為の届け出は不要であると自ら解釈をしたもの。
今後の対応としては、大規模土地取引行為の届け出について、現在、市のホームページや窓口のチラシ等で周知をしているが、譲渡人や譲受人が届け出を行うことが原則となることから、生産緑地の買い取り申し出があった際や事業者が窓口に相談に来た際に、必要となる手続について、より一層丁寧な説明を行っていく。
条例違反があった、でよい?
5,000㎡以上の土地を売却する際、売り主は売却契約の3ヵ月前に届け出をしなければならないと条例で決められている。しかしこのケースでは届け出が期限内になされなかった。つまりもとの土地所有者による条例違反の行為が行われたということでよいか。
ご披瀝のとおり、大規模土地取引行為は契約の3ヵ月前までに市に届け出ることが条例で義務づけられている。それが出ていなかった。条例は守られていなかった。
届け出がおくれた理由は、分割売却したそれぞれの土地面積が5,000㎡未満だったので、もとの土地所有者が届け出は不要であると解釈した、という答弁だった。条例を読めば分かるが、ここは分割売却は関係のない話。
📘大規模土地取引行為の届け出は分割売却でも必要
条例と施行規則に次のように書かれています。今回は、売る側が同一であり、規則で定める期間(1年間)以内の売却なので、大規模土地取引行為の届け出が必要となります。逆に言えば、1年間を超えて分割売却すれば、大規模土地取引行為の届け出が不要になってしまいます。
5,000平方メートル未満の土地取引行為であっても、一団の土地及び隣接した土地において、同一の者又は規則で定める関連性が認められる者が規則で定める期間に2以上の土地取引行為を行うときは、これらの土地取引行為は一の土地取引行為とみなし、その合計面積が5,000平方メートル以上となる場合は、前項の規定を適用する。ただし、市長が適当でないと認めるときは、この限りでない。
条例第6条第2項の規則で定める関連性が認められる者は、次の各号のいずれかに該当する者とする。ただし、市長が適当でないと認めるときは、この限りでない。
(1) それぞれが親会社等(略)、子会社等(略)又は関連会社等(略)の関係にある者
(2) それぞれが親会社等を同一とするグループ会社の関係にある者
(3) それぞれの役員(略)の全部又は一部が重複している者
(4) 前3号に掲げるものに準ずる関係にあると市長が認める者
条例第6条第2項の規則で定める期間は、先行する土地取引行為の完了日(略・登記を行った日をいう。)前又は完了日の翌日から起算して1年以内とする。
土地を売る側が出す届け出なので、購入側で複数に分割されていようとまったく関係ない。この認識でよいか。また、市長が適当でないと認めたのか。
その認識でよい。事前相談があったとき、市として、今後、大規模土地取引行為の届け出が必要になると指摘していた。その後、勘違いされ、分割してすでに契約してしまった。
市もそのことについては注意し、その後、要望書として出している。なお、市長が特に認めたということではない。
農協から経緯は聞いている?
平成28年1月に生産緑地買い取りの申請があった際、仲介人の農協に説明している。ただ、それがもとの土地所有者の方にはちゃんと伝わっていなかった。
生産緑地の買い取り申請からだいたい半年たってから突然、国土利用計画法に基づいて、土地を買ったという届け出が3社から出た。そこで初めて市は大規模な土地の売却が行われたということを知った。
ということは、仲介人の農協が、ちゃんともとの土地所有者に説明していなかったということになる。そのあたりの経緯は聞いているか。
市はそこまではタッチしていない。あくまでも事前相談のとき、今後必要になると、きちんと説明したと市は認識している。
その後、契約が行われ、国土利用計画法に基づいての届け出がなされた。そこで市は初めて知った。市は、督促ではないが連絡し、至急出してほしいということで、結果、大規模土地取引行為届出書が出された。
条例違反に罰則は?
この条例違反に対し、罰則はあるか。
罰則はない。条例の中で大規模に関する事項については勧告という行為がある。しかし、今回、遅れてはいるが、勘違いされ、出されているので、悪意はないと思い、勧告まではいかないと考えている。