(3)ワクチン接種・非接種での差別は人権侵害である
まとめ
令和3年9月10日に行った3件の一般質問のうちの3件目です。
新型コロナウイルスワクチンの接種は強制ではありません。にもかかわらず、職場などで、本人が望まないのに実質的に接種を強制させられているという声を多く耳にします。また、未接種者に対する差別も行われている状況です。
私は、これほど明確で、大規模な人権侵害が見過ごされていることに驚きを隠せません。普段から、人権の大切さや多様性の大切さを説いている小平市が、これらの問題に対しほぼ何の対策も行っていないことにも驚きます。
人権や多様性を尊重するという意味が分かっていないのではないかと思い、本質的なところを問いました。
全体的に残念な答弁でした。継続して訴えていきます。
質問 | 答弁概要(クリックで詳細) |
---|---|
人権とは | 幸福な人生のための将来にわたり保障されるべき生まれながらの権利 |
ワクチン非接種者は接種者のリスクになると考えるか | 判断できない |
差別や分断を招かぬよう、啓発の推進や相談窓口の設置を | 既存の方法で努める |
通告書
主な質疑
正確な質疑内容は会議録をご参照ください。
なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。
質問する理由
ワクチン接種が実質的に強制されている
(すべての)ワクチン接種は、厚生労働省も指摘するように強制ではない。しかし職場などでは、同調圧力の下、望まないのに新型コロナウイルスワクチンの接種をせざるを得ないという声を多く耳にする。
「未接種者が感染を広げている」という根拠のない話も喧伝されている
またワクチン未接種者が感染を広げているといった根拠のない話もさまざまなメディアを通じて喧伝されている。それにより「接種しないのはおかしい」という展開にもなっている。
逆に「接種者が感染を広げている」説も
一方「ワクチン接種者が感染を広げている」という説もある。
つまり感染防止効果がなく症状を抑えるようなワクチンであれば、その接種者は感染してもそうとは気付かず通常の活動をすることになり、知らず知らずのうちに周りの人にうつす状況となっている、という説だ。
ワクチン接種の広がりに合わせて家庭内感染も広がっている理由もこれで説明できるという論もある。
だから○○がおかしいとするのは人権侵害
いずれにしろこのような接種者、非接種者に対する評価は、すぐに「だから◯◯がおかしい」といった差別につながる。これは重大な人権侵害だ。
歴史から明らかなように人々の恐怖に根差した差別は放置すればすぐ拡大する可能性がある。
魔女狩りにつながる危険な流れ
特に、
- ほかの人にうつさないため
- 高齢者のため
- 社会によいことをなすため
といった「善の意識」を背景に「だから接種できるのに、しない人はおかしい」という流れができることは非常に危険だ。
たとえば今後、仮に致死率が高いと言われるようなウイルスが出現し、世の中がパニックになると科学的事実や合理的判断はまったく忘れ去られてしまい、中世の魔女狩りのような状況になる可能性もある。
人権侵害を防ぐため市は一層の対策を
人権に関する事業を常に行い人権擁護を推進している市としては、できる限りそのような状況にならないよう今この時点でより一層の対策を講じるべきだと考える。そのため質問する。
①市が考える人権とは?
市が考える人権とは。
人が幸福な人生を送るため生まれながらにして持っている権利であり、将来にわたって保障されるべきものと認識している。
人権は誰もが自由意志で生きられる権利
人権というのは、個人の自由意思で生きられるということ。
自分の自由意思に基づかず、
- 暴行を受けない
- 生命を脅かされない
- 行動を制限されない
とかそういったこと。
人権という考え方は「対国家権力」に由来していると言う人もいる。有名なのはフランスの人権宣言など。
つまり国家というのは人々の自由を制限したり弾圧したりするということが往々にしてある。それに対して人間の自然的な欲求から出てきているもの、それがベースになっている。
今まさにその人権が侵害されている。ワクチンパスポートなどは最たるもので国民を差別する思想だ。こういった典型的な人権侵害が起きている、もしくは起きつつあるという状況。
感染防止効果がないのにどこをどう考えればワクチンパスポートという発想になるのか。本当にまったく分からないし私は大反対だ。
ママエンジェルスからいただいた人権侵害のさまざまな事例
ママエンジェルスというグループの方々から内閣官房に渡された資料をいただいたので、そこから事例紹介したい。
- 医療職の方が、上司から、新型コロナワクチンの接種に関し「医療職なのに打たないって考えられない、辞めたほうがよいね」と言われた
- 休日に上司から電話があり「職場で何かあったとき、あなただけ受けていないと疑われるよね」と検査を強要された
- 誰もが目にできるところへ貼ってあるワクチン接種表の、自分の名前の横に「拒否」と書かれた
- 看護師が接種拒否したら「もし施設で新型コロナウイルス感染症が出たらワクチン接種してなかった人の責任だ」と言われた
またたとえば次のようなことも報道されている。
- 飲食チェーン店で、社員のネームプレートに、ワクチン接種またはPCR検査したことの表示を検討している
こういった行為はすべて「ワクチン接種しなければここでは働いていけない」という空気をつくる。職を失うかもしれないという脅しを与え、または、実際に強要する行為だ。
自由意志を無視し医療行為や身体にリスクのあることをさせるのは暴行罪
そういった脅しや強要の下、つまり自由意思ではない状況で
- 注射針を刺すなどの医療行為をさせること
- 副反応が出たり、後遺症が残ったりするリスク、最悪の場合死亡する可能性があることをさせること
などをさせるのは暴行罪ではないか。
皆なんとなく雰囲気でやっていると思うが、こういったことを許していると、なし崩し的にほかの多くのことについても人権の壁というものがどんどん崩壊していってしまう。私は、これは人権の危機だと考えている。
②ワクチンを接種できないのはどういう人たち?
新型コロナウイルスワクチンを接種しないのではなく、接種できないのは具体的にどういう人たちか。
- 明らかに発熱している方
- 重い急性疾患にかかっている方
- ワクチンの成分に対し、アナフィラキシーなど重度の過敏症の既往歴のある方等
また予防接種を受けるに当たり注意が必要な方として、
- 抗凝固療法を受けている方
- 血小板減少症または凝固障害のある方
- 過去に免疫不全の診断を受けた方
- 近親者に先天性免疫不全症の方がいる方
- 心臓、腎臓、肝臓、血液疾患や発育障害などの基礎疾患のある方
- 過去に予防接種を受けて接種後2日以内に発熱や全身性の発疹などのアレルギーが疑われる症状の出た方
- 過去にけいれんを起こしたことがある方
- ワクチンの成分に対してアレルギーが起こるおそれのある方
なおアストラゼネカ社のワクチンの場合は、上記に加え、
- ワクチン接種後に血小板減少症を伴う静脈もしくは動脈の血栓症を起こしたことがある方
- 毛細血管漏出症候群の既往歴のある方
も接種できない。
ワクチン接種しないのではない、できない人たち、こういう立場の弱い人たちのことを一番に考え事業を行わなければならない。
③ワクチン非接種者が同接種者のリスクに?
新型コロナウイルスワクチン非接種者がワクチン接種者のリスクになると市は考えるか。
日本で接種が行われている新型コロナウイルスワクチンは、新型コロナウイルス感染症の発症を予防する高い効果があり、また、重症化を予防する効果が期待されている。
新型コロナウイルス感染症の感染を予防する効果があるかどうかについては、承認前の臨床試験では確認されていないが、現在、多くの国や地域でワクチン接種が進められることでデータが蓄積されてきていると承知している。
これらデータの蓄積を受けて、今後、国から新型コロナウイルスワクチンのさまざまな効果が示されると認識しているので、ワクチン非接種者がワクチン接種者のリスクになるかどうかについては、市では判断できないものと捉えている。
さまざまな効果が喧伝され、多くの議員も根拠のない発言を議会でも繰り返しています。しかし、市の答弁が示すように、次のことが事実です。留意する必要があります。
- 重症化を予防する効果は確認されていない
- 感染予防効果は確認されていない
- さまざまな効果があることは現時点で示されていない
人にうつさないために新型コロナウイルスワクチンを接種するという認識は(危険な)誤り
結局、新型コロナウイルスワクチンを接種するのは 人にうつさないためではない。自分の重症化を抑えるために接種するもの*。(保険担当部長も)うなずいているので、その認識でよい、ということ。
(*さらに重症化を予防する効果についても、市の答弁によれば効果が確認されているものではなく「効果が期待されている」ものです)。
④接種者と非接種者の差別や分断を招かぬよう啓発を推進し人権相談窓口を設けるべきでは?
市はワクチン接種者と非接種者の差別や分断を招かぬよう、より積極的で具体的な啓発を推進したり、市の相談窓口を設け、人権についての相談も受けることを明記したりすべきではないか。
新型コロナウイルスワクチンの接種に関する差別や偏見、分断等はあってはならないものと考えている。市では、接種券に同封した案内通知や市報、市ホームページにおいて、差別等に関する内容を掲載しており、今後も啓発に努めていく。
またワクチン接種に関する人権についての相談窓口については、国においてさまざまな形での相談窓口を設置しており、市ホームページでは、法務省の新型コロナウイルス感染症に関連した差別などの悩みを相談できる窓口を案内している。
市としては、引き続き必要な方に適切に案内ができるよう努めていく。
小平市は啓発が足りない。他市の事例としてよい例が埼玉県のホームページに載っている情報。これもママエンジェルスに教えていただいた。
無意識にこんな行動していませんか、こうした行動はすべてワクチン差別ですよと。
- 回覧などの方法で、接種の有無が第三者に分かるように調査する
- 接種を受けない場合は○○といったルールをつくるなどにより、受けなければならない雰囲気をつくる
- アレルギー症状の診断書を提出させるなど、ワクチン接種をしない理由の提出を求める
- 退職、職場や事業からの退出を求める、参加させないなど、非接種のみを理由として不当な取扱いをする
分かりやすく具体的。こういった啓発をしてほしい。
ほかにも今日は時間がないので紹介し切れないが、さまざまな市でこういう取組を行っている。小平市もぜひやってほしい。
今対策しないなら、普段やっている「人権の啓発活動」は無意味
もし今こういうことをしないなら、普段やっているような人権の啓発活動や講演会というのは一体何なのか。今後そういったことをしても、信憑性がなく、形骸化していくだろうと思う。
⑤マスク着用の勧奨など子どもの判断が差別につながるルールづくりはやめるべきでは?
市教育委員会は、特に社会の成り立ちや人権に関する意識がまだ育っていない状況の小・中学校などでは、マスク着用の勧奨など個人の判断が差別につながるようなルールづくりをやめるべきではないか。
たとえば発達障害の子どもなどはマスクができない状況もあり、そういった子どもたちにも大きなストレスになる。
新型コロナウイルス感染症予防のために、適切なマスクの着用、正しい方法と適切なタイミングでの手洗い、身体的距離の確保の3つを基本として、児童・生徒への指導を継続していく。
一方でさまざまな事情によりマスクをしていない人への差別や偏見が生じる可能性があることから、市立学校では、新型コロナウイルス感染症に対する不安から陥りやすい偏見や差別意識を解消するための指導を継続していく。
多様性や人権をないがしろにしないためには、まず見過ごさないこと
時間がないのでまとめる。キャッシュレスポイント事業のところでも述べたように、弱者が排除される働きのあるところもそうだが、多様性や人権の尊重の本当の意味を考え、これらがないがしろにされないように事業を行ってもらいたい。
ではどうすればよいかというとすごく簡単。見過ごさないということ。特に弱い立場にある方々のことを見過ごさないだけでよい。それだけでさまざまなことが解決に向かう。
なおSDGsの「誰一人取り残さない」という言葉があるが、私はこの言葉があまり好きではない。温かみを感じない。
英語で言うとNo one will be left behind。Left behindというところに、分断の思想があると感じる。BehindとFront、もしくはBehindとAhead。区別がある。
日本語で言えば「取り残される場所」と「そうじゃない場所」、そういう区別をする思想を背景に感じる。
だから私はこの言葉を一切使わないようにしている。むしろ「誰も見過ごさない」。この精神が最も大切だと思う。
以上