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(2)いじめ重大事態の調査について

まとめ

令和5年3月3日に行った4件の一般質問のうちの2件目です。

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小平市ではいじめ重大事態調査の事務局を、調査対象となりうる教育委員会が担っています。

客観的に第三者性を担保するためには、少なくとも実際に調査対象となった場合、教育委員会事務局が調査や報告書の作成作業に関わってはいけません。

いじめ重大事態の調査に関して、主に次の点を改善してもらうため質問しました。

  • 調査に当たり第三者性を担保すること
  • 調査を迅速化すること
  • 聞き取り調査を正確に行うこと(ガイドラインを設けること)
  • 指導課のリソース配分の問題について

いつものとおりの、改善の意思がほとんど感じられない答弁でした。

質問答弁概要(クリックで詳細)
① 教委が事務局では第三者性は担保できないが?指導課は日頃から学校と連絡のやり取りがあるため円滑な事務執行ができる。
なぜ総務部総務課ではダメなのか?日々のさまざまなことも情報として入る指導課がよりふさわしい。
保護者から指導課を外す要望があることは、反省すべき点は反省して進めたい。
② 教育長はいじめ重大事態の調査対象にならない?調査対象は被害者保護者の要望を踏まえながら小平市教育委員会いじめ問題対策委員会が判断する。
調査対象になるか否かは明文化されている?されていない。
③ 報告書完成までの工程表をつくっている?調査開始前におおよその調査時期や期間を示している。
④ 迅速な調査のための工夫は?保護者意見の反映や日程調整を円滑にするため指導課が事務局として入っている。
⑤ 聞き取り調査の報告書は聞き取り対象者に確認している?必要に応じて対象者に示している。
自分の証言がねじ曲げられているという声があるが?状況等に応じて必要があるか要望があれば示している。
⑥ 加害者が聞き取り調査を妨害する可能性への対策は?調査に支障を来す行為が認められたら行為を控えるよう関係者へ伝える。
聞き取り調査のガイドラインはある?ガイドラインに聞き取りの手順や方法が示されていることはない。
⑦ 指導課の人的リソースは限界で、組織的見直しが必要では?(教育長)指導課を充てることで円滑に事務執行できる。
(市長)適正な人員配置をしている。今後も円滑に事務執行できる体制を構築していく。

通告書

主な質疑

以下の質疑は要約です

正確な質疑内容は会議録をご参照ください。
なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。
また、分かりやすくするために、ここではすべて一問一答に見えるよう順番を並べ替えています。実際は、初回質疑は一括質問・一括答弁方式です。

質問する理由

いじめ問題の調査や対応については、学校、市教育委員会もしくは調査のための第三者委員会ですら、事実を改ざんしたり隠蔽したり、問題を深掘りしないまま終わらせる可能性があるものと私は捉えている。

いじめ防止対策推進法が成立する誘因となった大津市いじめ自殺事件の第三者委員会による調査報告書には次のようなことが書かれている。

(大津市の)教育委員会、学校は事実関係の究明を途中で放棄し、あるいは、(保護者による)虐待(が原因)というフィクションに寄り掛かろうとした。

また被害者に関する重要な情報を削除するなど、大津市の教育委員会が「隠蔽的行為と非難されても弁解の余地がない」行為をしてきたことも詳細に示されている。

いじめ防止対策推進法が成立するまでの国会審議の会議録を読むと、この法律自体、教育委員会や学校が事実を隠蔽する可能性があることを前提につくられていることが分かる。

いじめ問題対策連絡協議会やいじめ問題対策委員会といった第三者委員会を設ける理由のひとつは、これらの隠蔽を防ぐことにあると明言されている。

これまで一般質問でも指摘してきたように、小平市でも隠蔽体質を疑われる事態が起きている。

これらの問題は「放っておけばそうなってしまう」類いのものと捉え、いじめの調査や対応を始める前に、まず調査主体である自らの在り方に問題がないかを深掘りして確認し、対応しておかなければならない。

問題の本質は、たとえば教育委員会がその職務権限である事務の管理と執行に集中するあまり、近視眼的な対応となってしまうこと。教育関係者が近視眼的な保身の態度を優先してしまうことにあるものと捉えている。

これら動機面での改善は現状で困難なため、仕組みのほうで対応し改善することが効率的と考える。

以上の理由から、いじめ重大事態の調査の在り方について問う。

① 教委が事務局では第三者性は担保できないが?

いじめ重大事態の調査において、事務局は重要な文書の作成を担うなど第三者委員会の運営に大きく関わっている。

調査の公平性、中立性を担保するためには、学校、指導課や教育総務課が事務局を務めるのではなく、たとえば総務部総務課など第三者性の高い組織が事務局を務めなければならないと考える。また特にいじめ被害者本人やその家族から要望があればなおさらだ。見解は。

小平市教育委員会いじめ問題対策委員会は、いじめ防止対策推進法第14条第3項に基づき教育委員会の附属機関として設置している。

また当該委員会の事務局に、日頃から学校と連絡のやり取りのある指導課を充てることで、円滑な事務執行ができるものと考えている。

なぜ総務部総務課ではダメなのか?

なぜ総務部総務課では難しいのか。具体的にどういった理由で難しいのか。

やはり日頃から学校とやり取りをしているのが指導課。日々のさまざまなことも情報として入っているので、指導課が事務局を担当するのが適当と考えている。

総務部総務課ではできないのか。

できるできないということではなく、よりふさわしいのが指導課であるという認識。

保護者の方々からも指導課が事務局を務めるのはおかしい、外してほしいという意見があったにもかかわらず指導課が適切という話になると、先ほどから言っている当該事案への対処ができなくなる。

結局調査報告書をつくっても意味がなくなってしまう可能性があると思うが、それでも指導課がふさわしいと考えているのか。

保護者の方から、指導課に担当してほしくないと言われるような事態になっていることについては、非常に反省すべき点は反省して進めていきたいと考えている。

ただし委員会というのは合議制。専門性のある各委員が審議をする体制なので、そのあたりは理解いただきたい。

そう答えるしかないのだろうと思うが…。次の質問に行く。

② 教育長はいじめ重大事態の調査対象にならない?

いじめ重大事態の調査において、仮に教育委員会の判断ミスなどによりいじめの対処が遅れ、そのために重大事態が起きたり、いじめの解決が遅れたりした可能性がある場合、教育委員会の最終的な意思決定者である教育長が調査対象になることは自然な流れだ。

しかし過去のいじめ問題対策委員会の委員長発言で「被害者本人やその家族から要望があっても教育長は調査対象にならない」ということが述べられている。

教育長がいじめ重大事態の調査対象にならないというのは正しいか。正しければどんな根拠に基づいているか。

調査対象については、被害児童・生徒保護者の要望を踏まえながらも、個々の事案の内容や対応経過に基づいて、小平市教育委員会いじめ問題対策委員会が判断する。

調査対象になるか否かは明文化されている?

つまり教育長が調査対象にならないと言ったことは間違いだというふうに受け止めてよいのかなと思う。

いじめ重大事態の調査の調査対象になる、ならないというのは、どこかに明文化されて定められているのか。

そのようなことはないと認識している。

つまり、教育長が調査対象にならないと言ったところは間違いだったということ。

③ 報告書完成までの工程表をつくっている?

いじめ重大事態の調査に際し、報告書完成までの期間を含んだ工程表を事前に設定しているか。

調査の開始前に、被害児童・生徒保護者に調査方針について確認をいただく際、おおよその調査時期や期間を示している。

④ 迅速な調査のための工夫は?

いじめ重大事態の調査が迅速に進むよう、どのような工夫をしているか。

調査方針に対する保護者からのご意見の反映や会議等の日程調整などを円滑に行うため、保護者や委員等の関係者の間に指導課が事務局として入り、事務をしている。

⑤ 聞き取り調査の報告書は聞き取り対象者に確認している?

いじめ重大事態の調査における当事者への聞き取り調査に関し、証言がねじ曲げられて報告されたり、証言したのに報告されていなかったという声がある。

対策委員会に提示される聞き取り調査の報告書は、その内容に間違いや漏れがないか、すべての聞き取り対象者に確認しているか。

調査対象者から聴取した内容については、必要に応じて当該対象者に示したうえで、小平市教育委員会いじめ問題対策委員会に資料として提出している。

自分の証言がねじ曲げられているという声があるが?

必要に応じてということは、聞き取りをした対象者には「どんな資料を(委員会に)提出していますよ」といったことを常には示していないという理解でよいか。

実際に自分の証言したことがちゃんと報告されていないとか、ねじ曲げられているといったような声があると聞いているが、そのあたりはどうか。

その状況等に応じて、当該の児童・生徒や保護者の方と話をする中で、必要であれば示しているということ。

必要に応じてというのはどんな状況か。保護者や証言してくれたお子さんから要望があれば、といったことか。

要望をいただいたら、示している。

⑥ 加害者が聞き取り調査を妨害する可能性への対策は?

加害者側が聞き取り調査の対象者を脅迫するなど証言を妨害する可能性があるが、どのように対策しているか。

関係者から調査に支障を来す行為が認められた場合には、当該の行為を控えるように関係者に伝える。

聞き取り調査のガイドラインはある?

聞き取りすること自体がほかの児童・生徒に見られたり分かったりするようにすると、それを妨害するような行為に出る子もいる。

聞き取りが行われていること自体が分からないよう最大限配慮しなくてはならない。

そういったことは情報共有をきちんとしているか。「聞き取りに際してはこういう形で聞き取ってください」といったことは、文書化されたりガイドライン化されているのか。

子どもたちへの聞き取りについては、最大限の配慮をすることが大切と認識している。

ただその事案の内容や状況によって、個別に聞き取りを行うのか複数に聞き取りを行うのかなど変わってくることもある。

ガイドラインにその手順、方法が示されていることはない。

いろいろ紙面が整っていない。

やはりこういうところは重要。きちんとした証言を取るには、証言を取る人たちはさまざまですから、その人たちが読んで、こういうことかと理解できるようなガイドライン等をつくっていく必要があると考える。

⑦ 指導課の人的リソースは限界で、組織的見直しが必要では?

偶発するいじめに対応して人的リソースをいかに確保するかは重要な課題だ。

現在、教育委員会指導課は、自閉症・情緒障害特別支援学級の開級に向けた準備も進めながら、いじめ重大事態の事務局も担っており、すでに人的リソースは限界に来ているものと感じる。

実際にそういう趣旨の回答を受けた保護者もいる。そういう観点からも、教育委員会の内部だけではなく市長部局も含めた組織的対応の見直しが必要と考えるが、市長の見解は。

調査の事務局といたしましては、指導課を充てることで円滑な事務執行ができるものと考えている。

市としては、各職場において職務の内容や責任に応じた適正な人員配置をしている。今後も引き続き円滑な事務執行ができる体制を構築していく。

以上