(1)いじめ重大事態の第三者委員会について
まとめ
令和5年3月3日に行った4件の一般質問のうちの1件目です。
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通告書
主な質疑
正確な質疑内容は会議録をご参照ください。
なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。
質問する理由
いじめ重大事態の調査目的を忘れるな
いじめ重大事態の調査をする目的は、文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」に記載されているとおり、学校と教育委員会が事実に向き合うことにより、
- いじめの事実の全容の解明
- 当該事案への対処
- 同種事案の発生防止
を図ること。
そのためには、たとえ学校や教育委員会に不都合なことであっても真摯に事実と向き合わなければならない。またその目的が果たせるよう、市は環境を整える必要がある。
学校、教育委員会、もしくは調査を担う第三者委員会が、何らかの理由によって事実を改ざん、隠蔽、問題の深掘りをしないなど、事実と向き合うことから逃げる姿勢でいれば上記3つの目的は果たせない。
目的を果たせなければどうなるか。
- 被害者本人やその家族の尊厳がさらに傷つけられるという二次被害が生じる
- 学校環境は改善されないままとなり、同種事案の発生も防げなくなる
- (関係する)子どもたちも心の整理がつかない
- 市には時間的、経済的損失が生じ、信用も損なわれる
- 心ある教職員の士気も低下する
総じて住民福祉の増進に逆行する事態となり、地方公共団体としての小平市の存在意義が低下する。
このような事態を避けるため、まず大前提として、いじめやいじめ重大事態の調査体制を客観的に、特に被害者本人やその家族から見て公平性、中立性に疑念が生まれない形に整えることが不可欠だ。
そこで、第三者委員会である小平市のいじめ問題対策連絡協議会及びいじめ問題対策委員会の在り方について問う。
まず冷たいコミュニケーションの見直しを
いじめ被害、特に重大事態となるようないじめ被害に遭った本人とその家族は大変なショックを受け心理的に大きなダメージを受けている。
考えてほしい。楽しく学校に通っているはずのかわいい我が子が学校で度重なるいじめ被害に遭う。教室に入りたくない、学校に行きたくないと言い、家に帰ると泣いている。そんなことになるなら学校へ通わせのじゃなかったと。何のために学校へ行かせていたのかと。
こういうことを教育委員会の方々や先生方は私なんかよりも(本来は)ずっとよく認識されているはず。いじめ対応はそこを基点に考えなくては。
教育委員会や先生方が管理している学校で、(子どもの)心に大きなダメージを受けるようなことが起きてしまっている。そのあたりの認識がしっかりできていないのではないか。
相談いただいた方々と一緒に教育委員会と話をしていると、(教育委員会は)ともすると「仕事を増やさないで」といった意識でいるのではと邪推できるようなコミュニケーションをしている。
私は相談いただく方々と比べれば教育委員会と長い付き合いなので、そういう(意図)はないだろうと(思って)いるが、相談の場に同席すると(教育委員会の)冷たい壁を感じることがある。
コミュニケーションを取る最初の時点から、ともすると訴訟になることを恐れているのではと感じる。言葉尻を捉えられないようになど常に注意し、訴訟になることをびくびくしながら相談を受けても信頼関係は築きにくい。
まずは本人と家族が心理的に大きな傷を負われているという前提に立ち、何とか一緒にそれを解消していこうという気持ちで考えてほしい。そのために密なコミュニケーションが必要。一生懸命頑張っている姿が見えれば、保護者の方々も心が軽くなる部分もあり、信頼関係が築ける。すると言葉尻を捉えられる恐れもなくなってくる。
もしそこまでやって最終的に訴訟になってしまうならそれは仕方がない。
だから堂々と対応してもらいたい。
①いじめ問題対策協議会やいじめ問題対策委員会の名簿を積極的に公開していない理由は?
令和4年6月定例会の私の一般質問に対する市の答弁で「協議会や対策委員会の名簿は積極的な公開をしていない」と述べている。では公開しているのはどういう場合で、なぜその場合には公開しているのか。
委員会等の目的に応じて各所管が公開の可否を判断している。
②委員名簿を公開するとなぜ公平中立な議論ができない?
協議会や対策委員会の名簿を積極的に公開していない理由として、(以前)「協議会等において忌憚のない意見をいただくとともに、個人に関わる内容に関して公平、中立に慎重な議論を行っていただくため」と答弁した。積極的に公開するとなぜこれらができなくなるのか。具体例も交えた分かりやすい説明を。
個人の機微に触れる情報について、平穏な環境の下に議論をいただく必要があるため、必要最小限の公開としている。
求めがあれば公開する?
のちほども同様の質問をするが、協議会や対策委員会の名簿も非公開情報ではないはずなので、求めに応じて公開するということでよいか。
名簿を公開するかは、会議の目的に応じ、教育長答弁と同様になるが、市民から多様な意見を取り入れるために設けられた会議においては名簿を公表して差し支えないとなっている。
個人のプライバシーや権利、義務等を取り扱う会議においては、公にすることにより率直な意見の交換もしくは中立性が不当に損なわれる恐れがあるため積極的に公表することのリスクは高く考えられる、としているが、この後の質問と同様、公表できるということにはなっている。
ただ、積極的な公表はしていないというところ。
いじめ加害者も名簿を得られる?
結局、いじめの加害者側であっても、情報公開請求を出せば委員名簿を得られるという理解でよいか。
議員指摘のとおり。
名簿を公開しないとどういう問題が発生するのか考えた。
協議会や対策委員会の委員が誰かからの圧力で自由に発言できなくなることを懸念しているのではないか。
では誰が圧力をかけるか。いじめ加害側が圧力をかける可能性を考えているのではないか。または被害側、もしくはまったく関係のない第三者が圧力をかける可能性もある。
ただ、いじめの加害側であっても名簿を請求できるなら、やろうと思えば名簿を公開請求して委員の住所等を調べて圧力をかけることもできるわけで、積極的に公開していない理由がなくなる。
まったく関係のない外野の人たちが義憤にかられて名簿の委員名をSNS等でさらし炎上するなども考えられる。しかし誰でも名簿が公開できるなら、第三者が名簿を入手することも容易。それで炎上してしまうなら、結局積極的に公開していない理由がまったく分からない。
徹底的に透明性を高めることについては?
委員人選もスムーズになるはずだが?
私がなぜ名簿を公開した方がよいという趣旨で今回質問しているか。
さまざまなケースがあるが、重大事態になったということは、いじめの対応が迅速に行われていなかった可能性が高い。
すると、被害者やその家族は、学校や教育委員会に対して強い不信感を持っている。なぜ早く対応してくれなかったのかと。
実は最初は「自分たちがいけないんじゃないか」というふうに考えてしまうようだ。しかしよく調べると、うちの子はぜんぜん悪くなかった。学校や教育委員会が早く対応してくれていなかったことが問題だということがだんだん明らかになり、どんどん学校や教育委員会に対して不信感がわいてくる。
そのとき「いじめの対策がどう行われるのだろう?」と思って(市の)ホームページを見ても、いじめ問題対策委員会の委員名簿がない。すると「この人たちは隠しているんじゃないか」となる。情報を隠蔽しているのではないかというふうに発想する。
だからなるべく出せる情報は、とにかく表に出しておいたほうがよい。 誰でも請求すれば得られる情報なら最初から出しておいたほうがお互いによい。
こちらとしてはわざわざ請求して情報公開しなくてはならない。市民としては、情報がもとから出ていたほうが信頼できる。「この人たちは隠す意図がない」と。「ちゃんと透明性を確保してくれる人たちなんだ」という意識になる。
ぼんやりした抽象的なリスクを懸念しているのだと思うが、よく分からない圧力を懸念しているのなら、情報をちょこちょこ隠すより、徹底的に透明性を高めていく方向に発想を切り替えたほうがよい。
そうするとすべてがよくなっていく。被害者の家族の方々は「ここは信用できる」「隠す意図はないんだな」となる。そういった細かいところは非常に重要。
もうひとつは、それぞれの委員が名前と所属を堂々と公開すること。それをいじめ被害者の家族の方々が見て「この委員は教育委員会とつながりが深過ぎるので外してほしい」とあれば「では替えましょう」と、委員がすぐ替われるような状況や環境を整えることも必要なことだと思う。
これらの意見に対して見解は。
いじめ問題という個人の心情に深く関わる内容を議論していただくために、ホームページなどで積極的に名簿を公開するものではない、という認識でいる。
また公開することで委員について人選を意見できるというところだが、委員の人選については個別具体の対応になってくるので、当事者とよく話をしながら考えていきたい。
東京都のいじめ問題対策委員会は名簿をホームページで公開している。公開する意味は「私たちは透明性を高めてやっていくんですよ」という姿勢が表れること。検討して変えてほしい。
どうしても公開できないような話があれば、それぞれの委員に「ホームページで情報公開してもよいか」を聞いてもよい。とにかく透明性を高め、隠蔽していると捉えられないよう、一つ一つの細かいことを対応してほしい。
③委員の名簿をネットで公開したら条例違反?
協議会や対策委員会の名簿など、市が積極的に公開していない名簿について、公文書の公開請求などにより名簿を得た議員や市民がそれをインターネット等で公開した場合、条例や法律の違反になるか。
情報開示請求等で開示した情報がどのような形でインターネット等へ公開されるか分からないため、条例や法律に違反するか否かの判断はできない。
特にコメント等は一切書かず「委員はこういう方々です」と名簿をホームページに張りつけるだけであれば、条例や法律の違反にはならないか。
開示請求する場合はその理由を問わず請求者に何らかの目的があって請求する。開示を受けた文書を公にすることでただちに法律違反や条例違反となるわけではない。
たとえばそれが誹謗や中傷を含む場合など、状況によっては違反となることもあるが、現状は、ただちに法律違反、条例違反となるものではない。
結局、名簿の情報を得た人がホームページに載せてもまったく問題ないということ。
要はそれを市が先に公開したほうがよいのではないか。そうしたほうが「ここは隠蔽していないんだな」という感じで捉えられるので。
市民が名簿を公開したからという理由で非開示情報になる可能性は?
積極的に公開していない情報を誰かが入手してホームページで公開したとする。そのように公開されたことを理由に、次から非開示情報にするといった判断をすることはあり得るか。
非開示情報については条例等で定められているので、それにもとづいて対応するものと考えている。
④なぜ会議録で発言者の名前を隠している?
なぜ委員長と副委員長の名前は出ている?
対策委員会の会議録を情報開示請求すると、委員長と副委員長以外は、発言者が誰だか分からない形で提示される。その理由として先ほど示したような(忌憚ない意見をもらい、公平、中立に慎重な議論をしてもらうため)理由が示されているが、これについてもなぜか。
またそれならなぜ委員長と副委員長の発言は分かるようになっているのか。
会議録はあくまでも議論された内容が重要であり、委員の個人名ではなく肩書のみを公開している。
また委員長は会議の進行や議論を整理するなどの役割があり、副委員長は委員長を補佐する役割があることから表記している。
不適性を見るため、誰が何を発言したか分かるように
誰か悪意のある人が、会議録にある発言の一部分だけを切り取ってSNS等でさらして炎上するようなことがあるから、会議録で誰が何をしゃべったというのを隠しているのではないかと思う。
しかし、公平、中立の立場ではない発言をする委員がいるなら、その委員については調査から外れてもらわなくてはならない。さもなければ被害側が納得のできない調査報告書ができあがる。
すると通告書にある「(2)当該事案への対処」ができないことになる。
そのため、たとえ誰が発言したか分からなくても、被害者側から見て、その委員をきちんと外せるようにしておく必要がある。
委員にとっても誰が何を発言したか公開される方がよい
誰が何を発言したかは、審議している委員の方々にとっても公開されたほうがよいのではないか。
そのほうが委員の方々も真剣味が増す。
私たち議員もこの発言が全部公開されている。だからこそ真面目に発言している部分もある。
そういう委員の方々も、自分がどういう発言をしたかというところが、委員としての誇りになる部分もあるのではないか。
これを質問しても似たような答弁が返ってくるから聞かないが。
結局、委員名簿や発言したことは徹底的に透明性を高め、不信感につながるようなことはなるべく避けなければいけない。
委員の方々も、ちゃんと名前を公開し堂々と議論してもらった方がよいと私は思う。
市教委は情報を出した方が楽になるはず
小平市の教育委員会は、なるべく情報を隠そうというか、情報を出さないという方向で考えている。しかし全体的に考えてなるべく情報を出したほうが楽になると思う。
私たちはすべての情報を出すと。そうすれば市民の方々は「信頼できる組織なんだな」ということで、コミュニケーションもとりやすくなる。
それで最終的に訴訟になるようなことが起きたとしても、それはしょうがない。透明性を高めた上で訴訟になるなら、そこは堂々と対応すればよい。
発想を本当に転換してもらいたい。
⑤委員をどう選定している?職能団体から選定することへの見解は?
令和5年3月末で任期が切れる協議会と対策委員会の新委員の選定状況と、それぞれの委員をどう選定しているか。
公平性、中立性を担保するために職能団体の推薦により委員を選定してほしいという保護者の要望をどう受け止め、どう反映しているか。
会議に影響を与える恐れがあるため示すことはできないが、文部科学省のガイドライン等に基づき適正に選任しており、引き続き、中立性、公平性、専門性の観点から選任していく。
もう少し具体的に、なぜ示せないのか。
教育長答弁で申し上げたとおり。
職能団体からの推薦は難しいのか?
そんなことでよいのか。
保護者の方がこの委員は外してくださいといったとき、すぐに交代の委員を入れてもらう必要がある。そのためにも常に委員の候補を厚く確保しておくことが必要。
文部科学省のガイドラインにもちゃんとそういうことが書いてある。
職能団体からの推薦は難しいのか。職能団体の推薦で委員を選定する際の課題は何か。
今議員が話されたとおり、職能団体からの推薦も含めてガイドラインにのっとった人選となるよう努めている。
ただ難しさがあるかと問われると、なかなか難しいところも実際にはある。それぞれ専門の職を持った方たちなので、そういったところでの折り合いというところは、少し課題にはなっている。
このような答弁では議論の深めようがありません。
⑥教員経験者が第三者委員だと公平中立性が担保できないが?
教育委員会の出身者や公立学校の教員経験者が協議会の役員や対策委員会の役員や委員を務めれば、いじめやいじめ重大事態の調査における客観的な公平性、中立性が担保できなくなると考える。
実際、いじめ被害者の家族から指摘されていることであるが、これをどう受け止め、どう対応していくか。
学識経験者を始め、心理や法律等の専門性を有している方などさまざまな経験や立場の方が審議に加わることで小平市教育委員会いじめ問題対策委員会としての公平性や中立性は担保できるものと考えているが、保護者からの指摘を踏まえ他自治体の状況等を研究していく。
公平性、中立性が担保できないと疑われる人たちは最初から委員にしない
教育委員会の出身者や公立学校の教育経験者の方々は、やはり特殊な感覚を持たれている。それがよい悪いの話ではないが。
客観的に見て、育委員会寄り、学校寄りの発想になってしまうところがある。なぜなら、教育委員会寄り、学校寄りの発言等をしなければ、その業界からはじかれる可能性があるからだ。
自分の仕事を今後失ってしまう可能性がある。そういう状況で公平性、中立性を担保したまま働くことができるなんていっても、そんなことは誰も信じない。
被害者側の家族も当然そういうふうに受け止める。「この人たちは教育委員会寄り、学校寄りの発想になってしまうのではないか」と。
だから役員から外していくことが重要。
それについてどう思うかを聞いても「そうではない」と言い張るかもしれないが、とにかくよく考えてほしい。
当該事案への対処をするつもりなら、このあたりをよく考え、公平性、中立性が担保できないと疑われるような人たちは最初から委員にしない、そういうことがすごく重要。
当該事案への対処ができないのであれば、調査したとしても意味がないことになってしまう。よく考えてほしい。
以上