(2)いじめ重大事態の調査組織構成はどう適切に判断しているか
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令和5年12月1日に行った5件の一般質問のうちの2件目です。
いじめ重大事態の調査を行う組織について、文科省ガイドラインには「第三者のみで構成する調査組織とするか、学校や設置者の職員を中心とした組織に第三者を加える体制とするかなど、調査組織の構成についても適切に判断すること。」と書かれています。
しかし小平市では、被害側家族からの再三なる指摘があるにもかかわらず、客観的に第三者性の低い組織構成が続いています。ガイドラインにある「調査組織の構成についても適切に判断する」が満たされていません。そこで、問題を明らかにし、対応改善を求めるため質問しました。
答弁で市教委として問題は認識していることは分かりました。しかし これまで放置され蓄積した負の遺産的な運営の仕方 を改めるためには、人、金、時間の問題を解く必要があります。その問題解決がうまくできていない(か、着手すらしていない)ため、被害者側家族に負担を強いている構造になっています。
全庁的に人を集めて迅速に対応すべき問題なのに市長は再三の訴えを受けても関心を示さず、多忙な教育委員会に丸投げしています。市長のやる気のなさが、市民ばかりではなく職員も苦しめていると感じます。
なお複数の有識者が「調査対象の教育委員会が、調査報告書の原案を作成したり、(被害者側から指摘があるのに)調査委員会の場に出席し続けている小平市は異常である」と指摘しています。小平市以外の多摩25市に確認したところ、その指摘を裏付ける結果も得られています。
異常な状況が放置されているということは、第三者委員会(小平市教育委員会いじめ問題対策委員会)の適性にも大きな疑いを持ちざるを得ません。それ以外のすべての主要な関係者も同様です。支援するはずの人たちが小平市の異常な状況を放置していることは、言ってみればいじめの傍観者がいじめを助長する構図と同じ であり、そういう意味でも主要な関係者の適性を疑わざるを得ません。
次回3月定例会でも追求する予定です。
質問 | 答弁 |
---|---|
いじめ重大事態の調査組織構成を適切に判断するタイミングは? | 学校から重大事態発生の報告を受けたとき |
組織構成を判断するのはその1回だけ? | 保護者等から心配の声があれば、それも踏まえて考える必要がある |
対策委員会になぜ市教委職員が多数出席? | 庶務を担うため |
それで第三者性が低下することについては? | 委員ではないため人数により第三者性が低下することはない |
庶務としての参加は1名でよいのでは? | 庶務が多岐にわたるので一定の人数は必要 |
他市では教委が出席しない等の事例があるが? | 26市すべてで庶務は指導課(室)が担当 |
他市でも第三者委員会に市教委の職員が複数参加している? | 確認していない |
他市がどうあれ第三者性を高めるのが進むべき道では? | うまく機能している地区の事例等を研究して考えていきたい |
正面から向き合わないと、しっかりしたいじめ対応できないのでは? | これまでの対応も含め反省すべき点はあった |
通告書
主な質疑
正確な質疑内容は会議録をご参照ください。
なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。
①質問する理由
小平市教育委員会いじめ問題対策委員会(以下、対策委員会と呼ぶ)は、いじめ防止対策推進法に基づく常設の組織である。
小平市いじめ問題対策連絡協議会等条例 第11条(設置)
法第14条第3項の規定に基づき、教育委員会の附属機関として小平市教育委員会いじめ問題対策委員会(略)を置く。
設置目的はいじめ防止対策推進法の条文にある。
いじめ防止対策推進法 第14条(いじめ問題対策連絡協議会)
3 教育委員会といじめ問題対策連絡協議会との円滑な連携の下に、地方いじめ防止基本方針に基づく地域におけるいじめの防止等のための対策を実効的に行うようにする。
小平市の場合、いじめ重大事態の調査をする際もこの対策委員会が担うことになっている。
一方、文部科学省による平成29年3月版のいじめの重大事態の調査に関するガイドライン(以下、ガイドラインと呼ぶ)には、次のとおり書かれている。
いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(平成29年3月版) 第4 調査組織の設置
(調査組織の種類)重大事態の調査主体は、学校が主体となるか、学校の設置者(教育委員会等)が主体となるかの判断を学校の設置者として行うこと。また、その際、第三者のみで構成する調査組織とするか、学校や設置者の職員を中心とした組織に第三者を加える体制とするかなど、調査組織の構成についても適切に判断すること。
①学校の設置者が主体
a 公立学校の場合
- 法第14条第3項の教育委員会に設置される附属機関(第三者により構成される組織)において実施する場合。
- 個々のいじめ事案について調査を行うための附属機関(第三者により構成される組織。いじめに限らず体罰や学校事故等、学校において発生した事案を調査対象とする附属機関も考えられる。)において実施する場合。
これまでも指摘してきたように、またガイドラインにもわざわざ括弧書きで「第三者により構成される組織」と書かれているように、いじめ重大事態の調査において第三者性は非常に重要。
しかし市がその重要性を認識しているとは思えない。
今回はガイドラインに示された調査組織の構成について「適切に判断」をどう行っているか確認するため質問する。
②いじめ重大事態調査組織の構成を適切に判断するタイミングは?
ガイドラインにある「いじめ重大事態調査組織の構成を適切に判断する時期(タイミング)」は、いつか。
つまりいじめ重大事態が発生するたびに行っているか、それとも過去どこかの時点で一度判断したことがすべての重大事態に適用されているか。
後者なら最後に適切な判断をしたのはいつか。
小平市いじめ防止基本方針において、学校から重大事態発生の報告を受け、教育委員、市長及び小平市教育委員会いじめ問題対策委員会への報告を経て、調査主体を決定することとしている。
調査主体は原則として、専門的知識を有する委員から構成された小平市教育委員会いじめ問題対策委員会が担うこととしている。
答弁漏れ。
今の答弁では、質問(通告書)に明記されている、どこの時点で適切に判断しているかの答えが全く分からない。きちんと答弁を。
判断する時期は、学校から重大事態発生の報告を受け…
受けたときということか。それなら「報告を受けたとき」と言ってもらわないと。答弁の修正を。
学校から重大事態発生の報告を受けたとき、教育委員、市長及び小平市教育委員会いじめ問題対策委員会への報告を経て、調査主体を決定することとしている。
適切に判断するのはその1度だけ?
適切に判断するタイミングはその1度だけか。
つまり、いじめ重大事態の対応が始まる最初の時点だけで適切に判断し、それ以降は被害保護者の要望があっても「適切に判断して組織構成を見直すこと」はできないのか。
今取り扱っている事案については、発生の報告を受け、調査主体を判断している。
ただ保護者等からいろいろ心配のお声があった場合は、それらも踏まえて考えていく必要はあると考えている。
実際に保護者から心配の声というより強い要望が上がっています。
しかし第三者性を客観的に担保する形での調査組織構成の見直しはなされていません。
③対策委員会になぜ市教委職員が多数出席?第三者性が低下するよね?
8名の委員で構成される対策委員会に、委員ではない市教育委員会の職員が多数(6人ほど)出席している理由は。
また、それにより客観的に第三者性が低下することへの見解は。
小平市いじめ問題対策連絡協議会等条例第17条において、当該委員会の庶務は、教育部において処理することとされていることから、当該委員会の庶務を担うため出席している。
庶務を担うために出席している職員は当該委員会の委員ではないため、その人数により当該委員会の第三者性が低下することはない。
対応も被害者視点に立たないと
対策委員会に市教委の職員が6人も出席していれば、被害側は「第三者性が担保されていない」とみるのは自然なこと。
いじめ重大事態に限らず、いじめの対応は「教育委員会がどう考えるか」ではなく「被害者とその家族がどう考えるか」に視点を置かなければならない。
いじめも同じ。いじめた側ではなく、いじめられた側がどんな気持ちになっているかを中心に考える。
なぜか小平市はいじめ対応において、被害者側の視点が足りていない。
結局、被害者側から様々要望が出されたときに「さすがにすべての要望は満たせない」といった判断を教育委員会内部でしているのではないか。
例えば費用の問題、時間の問題、人員の問題等ある。であればそういったことをなるべく正直に伝えることが重要。「これこれこういう理由で時間がかかります、もしそういう対応をするならこれだけ費用がかかります、予算要望が必要になるのでこれだけの時間がかかります」と。
保護者の方々も「そういう事情なら分かりました、ではこういうやり方があるでしょう」という提案につながっていったり、建設なやり取りができる。
そういうことを続けることで信頼関係ができるのではないか。
正面から向き合わなければ、しっかりしたいじめ対応できないのでは?
「説明せず渋々受け入れてもらう対応をしたほうが総合的によい」と判断している部分があるのではないか。
コミュニケーションでの解決を一部あきらめている部分があって、教育委員会で決めたやり方を押しつけるような対応、つまり正面から向き合わないような対応を続けているところがあると感じる。
正面から向き合わず対応している方々が、いじめの対応をしっかりできるわけがないと思うがどうか。
事務局職員は事務を担うため参加しており、決して第三者性に影響を与える対応はしていない。
ただ保護者にそういう疑念を抱かせてしまっている関係性にあることは認識している。
疑念を払拭できるよう対応しているが、なかなか関係改善に至っていない状況にあると認識している。
被害者の視点が不足しているという指摘は、なるべくお声は伺っていると考えている。
議員から提案のように、条件を満たせないときは予算や時間のことも伝えるべきではということだが、そこまで被害の保護者に伝えるべきかの判断はこちらでもしており、具体ではない言い方で「ちょっと御要望にはお応えできかねます」という形でのお伝えになってしまっているところが、また分かりづらさを生んでいるとも認識している。
信頼関係やコミュニケーションについても、こちらは事務局としては、よい関係で、なにより被害に遭われている保護者の方なので、お子さんのことを本当に御心配されているというところには寄り添うべきと考えており、被害者の保護が最優先ということで、事務局職員もこれまで対応には当たってきているが、そこがいい関係性が築けていないということについては、これまでのこちらの対応も含め、反省すべき点はあったかと認識している。
対応に誤りがあればすぐに改めるべきではないでしょうか。
教育委員会や学校は子ども達にそう教えているはずです。
④庶務としての参加は1名でよいのでは?
対策委員会において庶務の参加は1人でよく、その庶務は教育委員会とは別の部署が担えばよいと考えるが、見解は。
第2点目で答弁した通り、小平市いじめ問題対策連絡協議会条例において、当該委員会の庶務は、教育部において処理することとされている。
出席する人数については、庶務の内容が多岐にわたることから、一定数の人数は必要と認識している。
ほかの市でできていることが小平市ではできていない。なぜ小平市はやってくれないのか。
例えば、小平市では調査報告書の原案を市教委の職員が作っている。
または、第三者委員会の委員長が何年にもわたり『小平市教育委員会事務の点検及び評価報告書』に学識経験者の意見を寄せ市から報酬を得ている。 つまり第三者委員会と市のつながりが深く、公平、中立な立場での調査ができていないという疑念が生じる。
他市では教委が出席しない事例や、庶務を他部署が担当している事例があるが?
他市では第三者委員会には教育委員会等が出席しないという事例もある。庶務も教育委員会事務局が担当するのではなく、ほかの部署、総務課とかそういったところが担当している事例もあるが、どう考えるか。
庶務をどこが担っているかは、以前も指摘があったので、こちらとしても可能な範囲で26市のほうには確認したところ、26市すべてが、担当は指導課、指導室ということで回答を得ている。
全国的に見ると、そうではない地区というのもあると思うが、ほかの地区も、担当としては、やはり学校に一番近い担当課が担当している状況かと思う。
🔍他市では庶務であっても第三者性を重んじているようです
その後調査したところ、小平市を除く多摩25市に調査したところ次のような結果でした(次の3月定例会で指摘する予定です)。
- 第三者委員会の会議に教育委員会は出席しない
- 第三者委員会の指示があれば教育委員会は会議に出席しない
小平市の対応は異常と思います。第三者委員会も機能していないと言わざるを得ません。
他市でも第三者委員会に市教委の職員が複数参加しているのか?
他市も第三者委員会に例えば教育委員会指導課の職員が複数参加している状況なのか。
委員会の中に事務局職員が入っているかどうかまでは確認していないが、担当しているのは指導課ということでの確認をした。
担当しているという情報だけでは実際にどんなやり方をしているのか分からない。
私が知っている(ほかの自治体で)第三者委員会の委員の方々は「私が担当したところではそんなことはしていない。そんなことがあったら第三者委員会の中で問題にされる。 」と。
他市がどうあれ第三者性を高めるのが進むべき道では?
ほかの25市が、万が一本当に指導課から6人とか複数人第三者委員会に参加している状況だったとしても、小平市はそれをまねして「ほかの市がやっているからよい」という話ではない。
できるだけ理想的な、第三者性を高めていく方向で動いたほうがよいが、どうか。
私どもも、先進的な事例や、うまく機能している地区の事例等を研究して考えていきたい。
せっかくいじめ防止基本方針が先進的にできている。そういう対応のほうも先進的にしてもらい、ほかの市から「参考になる、目指すような形ですね」 と言われるようなやり方を目指してほしい。
以上