(4)行政不服審査会の利益相反と言える問題はどうなったか
まとめ
令和5年9月8日に行った4件の一般質問のうちの4件目です。
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質問 | 答弁概要(クリックで詳細) |
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① 行政不服審査会の委員長・副委員長の利益相反問題はどうなっている? | 多摩26市で市の顧問弁護士が行政不服審査会委員を兼務しているのは小平市だけだった。委員の入替えを検討している。 |
② 市の顧問弁護士と、行政不服審査会の会長職、兼職の経歴は? | 顧問弁護士歴が約18年と約10年。行政不服審査会の会長とその代理が7年5か月。 |
③ これまでの行政不服審査請求の状況は? | 審査請求件数は5年間の累計で31件。再検討から諮問までの期間は11日~37日など。 |
④ やはり利益相反の状況だが? | ただちに利益相反の問題が生じるものではないと認識している。 |
⑤ 行政不服審査請求の後に訴えられた事例はあった? | 事例はない。 |
通告書
主な質疑
正確な質疑内容は会議録をご参照ください。
なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。
また、分かりやすくするために、ここではすべて一問一答に見えるよう順番を並べ替えています。実際は、初回質疑は一括質問・一括答弁方式です。
質問する理由
本年3月定例会での一般質問と同3月の一般会計予算特別委員会等で、市の行政不服審査会の委員長と副委員長が市の顧問弁護士を務めていることは利益相反に当たり、公平中立な審査ができないとの趣旨で質問した。
それに対して、一般会計予算特別委員会で
請求者の目線からすると、そういった疑念を抱かれる可能性があるのだろうと思いますので、その点に関しては他市の状況なども少し確認させていただきたい
という答弁があった。その後の状況について質問する。
① 行政不服審査会の委員長・副委員長の利益相反問題はどうなっている?
市の行政不服審査会の委員長と副委員長は市の顧問弁護士であるため、利益相反で公平中立な審査ができないとの趣旨で指摘したが、これについて、その後どう検討し、どう対応したか。
多摩26市の状況を確認したところ、市の顧問弁護士が行政不服審査会委員を兼務しているのは小平市のみであることを確認した。
そのことをもってただちに利益相反の問題が生じるとは考えていないが、他市の調査結果を踏まえ、現在の任期の満了に合わせて委員の入替えを行うことを検討している。
② 市の顧問弁護士と、行政不服審査会の会長職、兼職の経歴は?
市の顧問弁護士2人それぞれについて、市の顧問弁護士を務められた経歴(何年から何年・年数)及び行政不服審査会の委員長と副委員長を務められた経歴(何年から何年・年数)は。
(五月女 五郎 氏)
小平市の顧問弁護士 | 小平市行政不服審査会 会長 | |
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委託開始 | 平成17年4月 | 平成28年4月 |
現在までの就任期間 | 18年5か月 | 7年5か月 |
(木内 昭二 氏)
小平市の顧問弁護士 | 小平市行政不服審査会 会長職務代理 | |
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委託開始 | 平成25年5月 | 平成28年4月 |
現在までの就任期間 | 10年4か月 | 7年5か月 |
木内氏は小平市との関係が深い
調べた限りですが、木内氏は次の委員や委員長を務められていました。また、元小平市の職員 です。小平市と関係が深いと言えます。
- 平成13年1月から平成24年12月まで小平市固定資産評価審査委員会委員
- 小平市男女共同参画推進委員会副委員長(?)
- 平成24年から、小平市情報公開審査委員会委員
- 小平市入札等監視委員会委員
③ これまでの行政不服審査請求の状況は?
令和4年度までの5年間で、各年度の次の数値を簡潔に(用語も含めて簡潔に)教えていただきたい。
- 行政不服審査法の規定に基づく不服申立てによる審査請求の請求件数
- 主管課(処分庁)における再検討開始から諮問するまでの期間(平均日数、最短日数、最長日数)
- 再検討の結果、却下され審査会に諮問しなかった件数
- 再検討の結果、公開決定等を取消し、または変更し、当該審査請求に係る公文書の全部を公開した件数。
- 2で諮問されたときから審査会に諮問されて、その回答が請求者に伝えられるまでの期間(平均日数、最短日数、最長日数)。なお、たとえば2で求めている諮問するまでの期間など、内部で違う期日のデータを所有している場合はそれでもよく、その旨の説明を求める。
審理員手続のない情報公開請求及び個人情報開示請求に係るもので言うと、次のとおり。
年度→ | H30 | R元 | R2 | R3 | R4 |
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1. 行政不服審査の 審査請求件数 | 0 | 0 | 27 | 1 | 3 |
2. 主管課の再検討開始 から諮問までの期間 | - | - | 14日~19日 平均14.9日 | 6日 | 11日~37日 平均21.6日 |
- 却下され審査会に諮問しなかった件数はゼロ。
- 再検討の結果、当該審査請求に係る公文書の全部を公開した件数はゼロ。
- 審査結果が請求者に伝えられるまでの期間は、令和4年度までの5年間で行政不服審査会に諮問した審査請求は現在のところすべて審議中。
④ やはり利益相反の状況だが?
令和5年3月7日の一般会計予算特別委員会で、
市の顧問弁護士2人が行政不服審査会の役員(や委員)を務めていることについては、状況によっては利益相反が生じる場合があり得るため、利害関係が生じる場合には調査審議には関与しないようにしている
と答弁している。
しかし行政不服審査請求に対して、市を守る立場の顧問弁護士が「なるべく市が訴えられないよう、または訴えられても敗訴しないよう」等の対応をすると考えるのは自然なことだ。これは利益相反の状況にあるのではないか。市の見解は。
市が顧問弁護士の方にお願いしている業務は、法律その他の相談、契約締結、往復文書等の重要文書の作成に関する相談等に関し、法律上の助言をいただいているものであり、争訟における訴訟代理人とは異なり、行政不服審査会委員を兼務していることをもって、ただちに利益相反の問題が生じるものではないと認識している。
また、顧問弁護士として関与した事件について、その後に、行政不服審査会に諮問されるような場合には、調査審議に関与しない、あるいは逆に、行政不服審査会に諮問された事件について、その後に訴訟が提起された場合には、訴訟代理人を依頼しないといった配慮をしているので、利益相反の問題が生じることはないと認識している。
利益相反となることが防げないケースの一例
市が訴えられる可能性のある何らかの事案を考える。
たとえば上司のパワーハラスメントに耐えかねて上司のハンコを買って稟議書に押してしまったというような公文書偽造の疑いのあるケースが起きてしまったと。
それに対し、市が合法的に訴えられないようにするための法律上のアドバイスを顧問弁護士にもらう。
その後、誰か市民の方がその事実を知り、公文書公開請求を行うこともある。しかし、そこでは非開示になる。それを見て、市民の方が不服を申し立て、不服審査請求する。
ここで不服審査会の委員長や副委員長が関与しないようにするということは、できないはず。
そして、不服審査会では、顧問弁護士である委員長、副委員長の意向で訴えが棄却される ということは十分にあり得ること。
この場合、市民の利益は、公文書偽造を疑われる事案が起きたことについての情報が開示されること。
不服審査会はそのために働かなくてはならないのに、顧問弁護士として市から報酬を得て、市に対して行った法律のアドバイスというのは、法的に問題がない状態で事実を隠蔽するためのもの。
これは明らかに利益相反の事例になる。そういった事態は省けないよね、ということを言って、おしまいにします(ここで質問の制限時間でした)。
⑤ 行政不服審査請求の後に訴えられた事例はあった?
これまでに行政不服審査請求がなされた後に市が訴えられる事例はあったか。
現在のところ、そのような事例はない。
以上