(2)事務の点検及び評価や学識経験者の意見は何のためにあるか
まとめ
令和5年9月8日に行った4件の一般質問のうちの2件目です。
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質問 | 答弁概要(クリックで詳細) |
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① いじめ発生後の対応も点検・評価すべきでは? | いじめ防止推進の取組の一つとして点検・評価している。 |
教育振興基本計画にあるいじめ「防止」の観点でしか点検・評価できない? | いじめ防止基本方針に基づくいじめ防止推進の中で、いじめの関係も踏まえてひとつの評価、点検としている。 |
第二次教育振興基本計画にも、防止ではなく「発生後」の観点で書く必要があるのでは? | 意見は分かるが現段階で修正する考えはない。板橋区などの事例を研究したい。 |
② 服務事故はなぜ「発生防止」ではなく「再発防止」? | 過去に重大な教員の服務事故が発生し、報告書をまとめたことを契機に、再発防止としている。 |
③ なぜ服務事故「発生件数」の記載がない? | 服務事故の防止を目的とした研修についての評価だから。 |
そのほかの取組みには数字があるが? | 件数を載せることは研究していきたい。 |
④ 服務事故の対応も点検・評価すべきでは? | 発生した際やその後の対応も含め点検・評価の取組としている。個別事案を具体的に取り上げることはなじまない。 |
⑤ 点検・評価対象の事業を限定することは、法的に許される? | 法にある具体的手法については国の解釈や指針はなく、各教委の判断に委ねられている。 |
⑥ 学識経験者からの意見は何のために記載している? | 法に「学識経験者の知見活用を図る」とあり、公表することで客観性を確保している。 |
学識経験者への報酬額は? | 今、手元に資料がない。 |
⑦ 学識経験者からの意見にいじめ重大事態についての言及が一切ないのは、教委の意向? | 発言に係る教委からの申し入れや取決め等はない。 |
⑧ 今の学識経験者は教委とつながりが深いため指摘できていないのでは? | 指摘のような事実はないと認識している。 |
通告書
主な質疑
正確な質疑内容は会議録をご参照ください。なお実際は理事者側の答弁すべてが敬語表現でなされています。ここでは簡略化のため敬語表現を省いています。また、分かりやすくするために、ここではすべて一問一答に見えるよう順番を並べ替えています。実際は、初回質疑は一括質問・一括答弁方式です。
質問する理由
令和4年度の点検・評価も意義を満たしていない部分がある
本年8月の教育委員会定例会において、小平市教育委員会事務の点検及び評価(以下、「点検評価」と呼ぶ。)報告書(令和4年度版)の案が示され、可決した。
以前も述べたとおり、この「点検評価」の冒頭で、点検・評価の意義を次のように2つ定めている。
小平市教育委員会事務の点検及び評価-令和4年度分-報告書 実施の趣旨
- 毎年度、自らの権限に属する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価を行い、課題や取組の方向性を明らかにすることにより、効果的な教育行政の一層の推進を図る。
- 点検及び評価の結果に関する報告書を作成し、これを小平市議会に提出するとともに、公表することにより、市民への説明責任を果たし、市民に信頼される教育行政を推進する。
これまでと同様、今回の点検評価もこの2点が満たされていない部分がある。
教育委員会内で非常に重要な課題となっている(はずの)、いじめ重大事態に関する取扱いにおける課題や、服務事故の対応について市民から指摘がなされているのに、この点検評価には一切書かれていない。
いじめ対応の良し悪し。服務事故は発生したか。どう対応したのか。そういったことがまったく書かれていない。
いじめ被害や体罰被害を受けた方々やご家族はこれを読むと「ふざけるな」となる。私たちが指摘したことは一体どうなっているのか、と。
「防止する取り組み」だからよしとするのか
点検評価には1と2の目的がある。さらにこれだけ指摘されている。被害家族の尊厳を傷つけることになるのに、なぜそんな重要なことについて、かたくなに点検・評価をしないのかと考えた。
よく読んで分かったのは、いじめと服務事故については防止する取組という観点で書かれている。
つまり「防止のための取組ができたからよい」としている。いじめ重大事態のことも今回から書いてもらっているが、そこを読むと「重大事態の周知を進める取組ができたのでよし」と書いてある。
いじめ防止の取組や服務事故再発防止の取組をした結果、効果があったのか、なかったのか。防止対策に意味があったのか、意味がなかったのかの評価はしていない。
どうすれば点検評価の対象になるのか
もちろん防止のための取組は必要。しかしそれ以上に、現在喫緊の改善しなければならない課題がある。
さきほどの答弁からすると、具体的にどんな課題があるかも抽出し検討していない。
実際にいじめや服務事故が起きた際どう対応していくかについて、点検と評価の項目がない。これを加える必要がある。
なぜ対象になっていないのか、どうしたら対象にしてもらえるのかを見いだすために質問している。
① いじめ発生後の対応も点検・評価すべきでは?
いじめ重大事態の扱いには大きな課題があり、その改善への取組は(1)と(2)を達成するために重要だ。
そのため、いじめ防止の観点から、いじめ重大事態を点検・評価するだけでは(足りない)。
防止策がかなわず、いじめ重大事態が発生した際の対応についても点検・評価し、課題・対応・今後の方向性を示すべきと考えるが見解は。
いじめ重大事態に係る取組は、発生した際の対応も含め、点検及び評価対象事業であるいじめ防止基本方針に基づくいじめ防止の推進の取組のひとつとして、点検及び評価している。
いじめ重大事態が発生し、発生した課題はどうだったかとかというのはまったく書いていない。
インターネットで調べると、板橋区などの例が出る。たとえば板橋区の場合は次のように書かれている。
令和5年度(令和4年度分)教育委員会が行う点検・評価 各学校園における「学校いじめ未然防止等基本方針」による取組 【教育委員会評価】
児童・生徒や教職員のいじめに関する意識は非常に向上しており、順調に取組は進められていると評価できる。しかし、重大事態における対応など、課題は多々あるため、重大事態を長期化させないため対応策を検討していく。
これでも内容が少ないと思うが、少なくともこういうことをなぜ書けないのか。もう少し具体的に改善ができるよう書いてほしい。
教育振興基本計画にあるいじめ「防止」の観点でしか点検・評価できない?
話を聞くと「教育振興基本計画に、いじめ防止の観点でしか話がないから、点検・評価でもいじめ防止の観点からしか話がない」と聞こえる。そういう理解でよいか。
いじめ防止基本方針に基づくいじめ防止の推進という中で、いじめの関係も踏まえてひとつの評価、点検としている。
第二次教育振興基本計画にも、防止ではなく「発生後」の観点で書く必要があるのでは?
第二次教育振興基本計画にも、同様にいじめ防止の観点からのことしか書かれていない。
いじめ重大事態や体罰が発生したときもどうしていくかという観点のことも書く必要がある。修正が必要と思うがどうか。
議員の意見は分かるが、現段階で私たちの方で修正する考えはない。
ただ、板橋区などの事例について、どのような形でするかというのを我々のほうでも少し研究したい。
しっかり記載してもらいたい。
② 服務事故はなぜ「発生防止」ではなく「再発防止」?
服務事故再発防止の取組について、「発生防止」ではなくなぜ「再発防止」という表現を使っているのか。
小平市立学校において、過去に重大な教員の服務事故が発生したことから、服務事故再発防止プロジェクトチームを設置し、報告書をまとめた。
これを契機として、服務事故再発防止の取組を実施している。
③ なぜ服務事故「発生件数」の記載がない?
服務事故再発防止の取組について、評価の重要な指標である服務事故の発生件数が記載されていない理由は。
点検・評価では、服務事故の防止を目的とした研修について評価していることから、具体的な発生件数は記載していない。
そのほかの取組みには数字があるが?
では、どうやって防止の取組に効果があったことを測るのか。
いじめのほうは、いじめ防止なのになぜか解消率だが、いじめの解消率や登校できるようになった児童・生徒数が書かれている。
また「確かな学力の向上」には、学力や学習状況の調査、平均正答率で評価が書かれている。
しかし、服務事故の発生件数については、なぜ同様に数字が書かれていないのか。
件数が載せてあるほうがよりよい資料になるのかどうかを含めて、研究していきたい。
④ 服務事故の対応も点検・評価すべきでは?
令和4年度に少なくとも1件の不適切な指導があり、服務事故が発生している。令和4年度以前にも不適切な指導があったという相談を数件受けている。教育委員会も認識している。
つまり研修だけでは、服務事故は防ぎ切れない。
相談いただいているケースでは、事故発生後の対応が大きな課題となっている。
そのため、研修という観点だけから服務事故防止を点検・評価するのではなく、研修をしても発生してしまった服務事故のその後の対応についても点検・評価し、課題・対応・今後の方向性を示すべきと考えるが見解は。
発生した際やその後の対応も含め、点検及び評価の取組としている。しかし、服務事故の様態は個々の状況で異なることから、個別事案を具体的に取り上げることはなじまないと考えている。
簡単に調べてもらうと分かる。たとえばつくばみらい市では、いじめ・体罰解消サポート事業をやっている。それについての詳細が書かれていて、コストも書かれている。
問題点や課題もしっかり書いてあるので、そういったところを見習って小平市もしっかり書いてもらいたい。
⑤ 点検・評価対象の事業を限定することは、法的に許される?
そもそも地方教育行政の組織及び運営に関する法律で、次のように定められている。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律 第二十六条
教育委員会は、毎年、その権限に属する事務(略)の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、これを議会に提出するとともに、公表しなければならない。
趣旨からすると「権限に属する事務全般が点検・評価の対象」と読める。
小平市は事業を絞って点検・評価の対象としているが、これは法的に許されるのか。許されるとしたら、どんな根拠に基づいているか。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第26条において、具体的な手法等について国の解釈や指針は示されておらず、各教育委員会の判断に委ねられている。
そのため、教育委員会が推進する方向性に沿った、より効果的な点検及び評価を行うことができるよう、小平市教育委員会の権限に属する事務の点検及び評価の実施方針に基づき、小平市教育振興基本計画に掲げた基本的施策の年次ごとの具体的な事業となる小平市教育振興基本計画の基本的な方向及び主な取組に掲げた事業と、教育委員会が特に重要と認める事業を対象としている。
根拠がないということが分かった。つまり上記で指摘したことは含められるはず。ぜひ含めてもらいたい。
⑥ 学識経験者からの意見は何のために記載している?
学識経験者からの意見は何のために記載しているか。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第26条に次のとおりある。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律 第二十六条
2 教育委員会は、前項の点検及び評価を行うに当たつては、教育に関し学識経験を有する者の知見の活用を図るものとする。
学識経験者からいただいた意見を公表することにより、点検及び評価の客観性を確保するため、掲載している。
学識経験者への報酬額は?
知見の活用を図るというところだが、報酬はそれぞれいくら払っているか。
学識経験者からの意見の原稿の作成、「点検及び評価」に関する有識者会議の出席が1回いくらか。
大変申し訳ない。今、手元に資料がないので答えられない。
では、のちほどもらいたい。有識者会議が7月5日と7月14日の両日あったようだ。
報酬及び費用弁償の条例に記載がないので、のちほどデータをもらいたい。
⑦ 学識経験者からの意見にいじめ重大事態についての言及が一切ないのは、教委の意向?
学識経験者からの意見に、いじめ重大事態はもとより、いじめや体罰についての言及が一切ない。
令和4年度中にいじめ重大事態の発生報告が2件あり、その対応の問題が指摘され、また服務事項も発生し、体罰を訴える訴訟の判決も出ている中で一切の言及がないことには強い違和感がある。
市教育委員会は学識経験者に対し、それらについては意見いただかないよう伝えているのか。それとも意見してはいけないルールがあるのか。
発言に係る教育委員会からの申入れや取決め等はない。
⑧ 今の学識経験者は教委とつながりが深いため指摘できていないのでは?
意見をいただいている学識経験者は、いじめ重大事態調査の第三者委員会の委員長も務められており、いじめ重大事態の対応に関する市の課題を詳しく把握されているはずだ。
しかし、意見ではこれら課題に一切触れられていない。教育委員会と関係が深いため指摘できていないのではというふうにも見える。市の見解は。
教育委員会事務の点検及び評価については、教育委員会が行う事務全体を俯瞰し、よりよい教育行政の推進のために、意見をもらうもの。
小平市教育委員会いじめ問題対策委員会の所掌事務とは異なるものであり、指摘のような状況はないと認識している。
以上