From 5bc1e63756cae6974430f1e6cf1a4d5e88f5b9cc Mon Sep 17 00:00:00 2001 From: Yasutake Yohei <61961825+yasutakeyohei@users.noreply.github.com> Date: Thu, 18 Jun 2026 23:19:10 +0900 Subject: Initial commit --- src/content/docs/about-dyslexia/assessment.mdx | 45 ++++ src/content/docs/about-dyslexia/celebrities.mdx | 235 +++++++++++++++++++ .../docs/about-dyslexia/daisy-and-onsei.mdx | 68 ++++++ .../about-dyslexia/emotional-support-class.mdx | 206 +++++++++++++++++ .../docs/about-dyslexia/high-school-options.mdx | 131 +++++++++++ src/content/docs/about-dyslexia/index.mdx | 77 +++++++ src/content/docs/about-dyslexia/kodaira.mdx | 65 ++++++ .../docs/about-dyslexia/potential-number.mdx | 60 +++++ .../about-dyslexia/reasonable-accommodation.mdx | 83 +++++++ .../docs/about-dyslexia/school-consultation.mdx | 156 +++++++++++++ .../docs/about-dyslexia/support-resources.mdx | 123 ++++++++++ src/content/docs/about-dyslexia/support-sheet.mdx | 23 ++ src/content/docs/about-dyslexia/voices.mdx | 248 +++++++++++++++++++++ .../docs/about-dyslexia/what-is-dyslexia.mdx | 165 ++++++++++++++ 14 files changed, 1685 insertions(+) create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/assessment.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/celebrities.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/daisy-and-onsei.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/emotional-support-class.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/high-school-options.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/index.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/kodaira.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/potential-number.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/reasonable-accommodation.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/school-consultation.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/support-resources.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/support-sheet.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/voices.mdx create mode 100644 src/content/docs/about-dyslexia/what-is-dyslexia.mdx (limited to 'src/content/docs/about-dyslexia') diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/assessment.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/assessment.mdx new file mode 100644 index 0000000..15caea9 --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/assessment.mdx @@ -0,0 +1,45 @@ +--- +title: 誰も見過ごさないためのアセスメント +description: ディスレクシアの早期発見のためのアセスメント手法と、東京都や国が提供するツールを紹介します。 +--- + +## 「誰一人取り残さない」ではなく「見過ごさない」 + +教育委員会はSDGsの「誰一人取り残さない(no one left behind)」という言葉をよく使います。しかし私は「取り残される場所があり、そこに誰かがいる」という発想自体が差別的だと感じるため、「見過ごさない」という表現を使います。 + +いかにして「誰も見過ごさない」を実現するか——担当教員の裁量で発見する属人的な判断を主軸に据えるべきではありません。見落としの可能性が高いだけでなく、忙しい先生方の負担をさらに増やすことになります。**合理的な判断基準による、統一的かつ網羅的なアセスメント**が最適です。 + +## スクリーニングとアセスメントの違い + +- **スクリーニング**: 語源は screen(網)。広範囲のふるい分け +- **アセスメント**: 語源は assess(課税のために資産の量を決定すること)。一定の判断基準に基づく個別の評価 + +「誰も見過ごさないためには、統一的かつ網羅的なアセスメントによるスクリーニングが必要」ということになります。 + +## 東京都教育委員会のアセスメント + +東京都教育委員会は、小・中学校用に非常によいアセスメントのマニュアルを提供しています。 + +- [『読めた』『わかった』『できた』読み書きアセスメント 活用&支援マニュアル(小学校用)平成29年3月発行](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/special_needs_education/coming_plan.html) +- [『読めた』『わかった』『できた』読み書きアセスメント 活用&支援マニュアル(中学校版)平成30年3月発行](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/special_needs_education/coming_plan.html) +- 中学校版 個別指導事例編もあり + +> 小平市では現時点でこのマニュアルは活用されていません。 + +## その他のアセスメントツール + +- **URAWSS(読み書き評価)** — 読み書きに困難が疑われる小中学生の評価キット。読み書きの速度を評価。学校の先生・心理職・家族でも簡単に実施可能。改訂版 URAWSS II もあり +- **STRAW-R(標準読み書きスクリーニング検査 改訂版)** — 小1〜高3までの音読速度を調べる。ひらがな・カタカナ・漢字の3表記を比較できる日本で唯一の検査。高校・大学入試で試験時間延長を希望する際の客観的資料にも + +## シャイウェッツのディスレクシアスクリーン(Shaywitz DyslexiaScreen) + +イェール大学のシェイウィッツ氏(IDAのディスレクシア定義プロジェクトの主要メンバー)が考案したスクリーニングです。 + +2018年12月、米国の超党派刑事司法法案「ファーストステップ法(First Step Act)」に、ディスレクシアのスクリーニング方法として次のような規定が盛り込まれました。 + +> ディスレクシアスクリーニングプログラムとは、(A)有効性が証明された心理測定基準を備えたエビデンスに基づいたものであり、(B)効率的で低コストであり、(C)すぐに利用できるものであること + +## その他参考資料 + +- [鹿児島県総合教育センター 特別な教育的ニーズのある児童生徒に対するアセスメントに基づく学習指導の在り方に関する研究(平成23年度)](https://www.edu.pref.kagoshima.jp/) +- [ディスレクシアスクリーニングに関する4つの神話](https://dyslexiaida.org/) diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/celebrities.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/celebrities.mdx new file mode 100644 index 0000000..93bea40 --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/celebrities.mdx @@ -0,0 +1,235 @@ +--- +title: ディスレクシアの著名人 +description: ディスレクシアであることを公表している、またはその可能性がある国内外の著名人を紹介します。 +--- + +ディスレクシアであることを公表している著名人は多く、困難を抱えながらも多方面で活躍しています。インターネットで検索すると欧米人に多く見つかりますが、日本人やアジア人はほとんどヒットしません。文字の違いから欧米では判明しやすいこと、日本では障害を公表しようとしない傾向があることなどが理由として考えられます。 + +次にあげる方々は、ディスレクシアの診断を得ているか、本人の発言等から判断するに、その可能性が高い方々です。 + +## 日本人(氏名順) + +### 鏡味 仙成(かがみ せんなり)氏 + +日本の伝統文化である太神楽を演じる太神楽師。 + +> 両親は寄席に行くのが趣味で、小学4、5年生のころにはなんとなく太神楽師のことを知っていました。ただ、そのころは失読症のせいで文字をうまく読めず、学校の成績がほぼ全科目で最低評価。勉強を続けるのがあまりに苦痛で、「手に職をつけたい」と思い、中学2年生のときに太神楽師を目指そうと決めました。高校に行く選択肢はまったくなかったです。 +> +> — [bizSPA!「失読症を乗り越え天職に。23歳『太神楽師』がYoutuberになったわけ」](https://bizspa.jp/post-378645/) + +### 砂長 美ん(すななが びん)氏 + +一般社団法人 ありがとうショップの代表をされている方で、『DXな日々 美んちゃんの場合』という、日本で初めてディスレクシアに焦点を当てたドキュメンタリー映画の主人公でもあります。障害者手帳をLD(学習障害)で取られたのも、美んさんが日本人女性として初めてとのことです。 + +> ロンドン芸術大学在学中にディスレクシアを指摘される。帰国後も転職を12回繰り返すどん底のなか、ドキュメンタリー映画「DX(ディスレクシア)な日々」(2012年)の主役。全国4万件あるという障害者就労施設の商品を、お城、博物館、道の駅などの観光地で販売。また国会議員会館売店(衆議院・参議院、4店舗)でも新しい付加価値をつけて販売するスタイルを確立。現在は、ぜんち共済、VALT JAPAN、ミンナのミカタ、リンクライン、3社の宣伝顧問もつとめる。著書に「障がい福祉の学ぶ働く暮らすを変えた5人のビジネス」「企業と障がい福祉5人のSDGs的働き方改革」 +> +> — [ありがとうショップ](https://arigatoshop.jp/) + +🎬 映画「DX(ディスレクシア)な日々 美んちゃんの場合」は[東京都人権プラザの図書資料室](https://ilisod007.apsel.jp/tokyo-hrp-lib/)で無料レンタル可能。「ディスレクシア」で検索してください(東京都内に居住・通勤・通学の方が対象、1週間貸出)。 + +🎬 [YouTube: 「DXな日々 美んちゃんの場合」を検索](https://www.youtube.com/results?search_query=DX%E3%81%AA%E6%97%A5%E3%80%85+%E7%BE%8E%E3%82%93%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93+%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%82%A2) + +### 中竹 竜二 氏 + +日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクターを務められていました。 + +
+小さいときから考えてきたこと (新潮文庫 新潮文庫) [ 黒柳 徹子 ] +
+ +## 以上の方は、ほんの一例です + +上記のように、著名人であっても、かつてはディスレクシアであることを公表することにはためらいがあった(もしくは現状でもある)ようです。最近は日本でも周知が進んできたことから、自ら公表する方も増えているようです。しかしそれでも、世界的な存在割合からすると、氷山の一角でしょう。ディスレクシアであることを特に意識する必要なく、だれもが快適に暮らせる社会になってほしいと願います。 diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/daisy-and-onsei.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/daisy-and-onsei.mdx new file mode 100644 index 0000000..a377521 --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/daisy-and-onsei.mdx @@ -0,0 +1,68 @@ +--- +title: デイジー教科書と音声教材 +description: ディスレクシアの学習を支えるデイジー教科書や各種音声教材、GIGAスクール構想との関係をまとめています。 +--- + +## デイジー(DAISY)とは + +デイジー(DAISY: Digital Accessible Information SYstem)は、日本語では「アクセシブルな情報システム」と訳されている国際標準規格です。 + +- 視覚障害者やディスレクシア・学習障害者等のためのデジタル図書作成に使われる +- 音声、テキスト、画像などのデジタルコンテンツを含められる +- 音声やテキストは、読みたい場所からすぐ再生できるように構造化されている +- 音声・テキスト・画像を同時(同期的)に再生できる(テキストがハイライト表示される) +- 最新規格 DAISY 4.0(2012年承認)は EPUB3 に内包されている + +## デイジー図書の3種類 + +| 種類 | 構造化された録音音声 | 構造化されたテキスト | その他画像など | +|---|---|---|---| +| 音声デイジー図書 | ○ | × | × | +| テキストデイジー図書 | × | ○ | オプション | +| マルチメディアデイジー図書 | ○ | ○ | オプション | + +### マルチメディアデイジー教科書(デイジー教科書) + +通常の教科書をマルチメディアデイジー図書として作成したものです。ボランティア団体により作成され、(公財)日本障害者リハビリテーション協会のDAISY研究センターが中心となってとりまとめています。 + +**デイジー教科書の利点**:音と文字が一致していくため、音読の練習になる。2〜3回読むとスラスラ読めるようになる。読みの能力改善につながる可能性が、保護者の声から示唆されています。 + +### デイジー教科書の問題点 + +- 規格のバージョンが複数あり、再生機材・ソフトが対応していない場合がある +- マルチメディアデイジーは種類が少なく、絵本が多い。1つ500円程度で頻繁に購入できない +- 貸出CDの場合は再生用ドライブが必要 + +## デイジー教科書以外の音声教材 + +文部科学省の「音声教材の効率的な制作方法等の在り方に関する調査研究事業」に参加する6団体が、それぞれ独自の教材を**無償**で提供しています。 + +| 教材 | 媒体 | 音声 | 特徴 | +|---|---|---|---| +| **デイジー教科書** | ZIP/EPUB | 録音音声 | 全教科対応。音声とテキストが同期 | +| **AccessReading** | DOCX/EPUB | 合成音声 | MS Word+アドイン。読み上げながらハイライト | +| **BEAM** | 通常の教科書 | 録音合成音声 | MP3再生可能な機器なら何でもOK。国語等一部教科 | +| **ペンでタッチ** | 専用教科書 | 録音合成音声 | 音声ペン(1本5,000円)でタッチして再生。現在国語のみ | +| **e-Pat** | PDF/HTML | 合成音声 | iPhone/iPad対応。文字・画像付き | +| **UNLOCK** | テキスト/音声 | 録音音声 | Ex-Word推奨。英語・数学等 高校教材が多い | + +## 音声教材普及推進会議 + +文部科学省では、各教育委員会等の担当者に対し音声教材の周知を図るため、**音声教材普及推進会議**を開催しています。 + +出席対象:各都道府県・各市町村教育委員会の教科用特定図書等担当者、学校の教員、保護者等 + +## 現在の課題と今後 + +- **学校現場の理解不足** — 校長や教育委員会の理解がないと、タブレットやPCの教室持ち込みすら難しい +- **GIGAスクール構想への期待** — 1人1台端末により「授業中に使う普通のもの」になれば状況は改善する可能性が高い +- **学校による制限** — 「特定の授業でのみ使用許可」など制限が設けられる可能性もある +- **経済的格差** — 電子辞書、iPadなど家計負担が大きい。無償教材の重要性 +- **デジタル教科書への統合** — 今後はデジタル教科書にディスレクシア対応機能が標準搭載される可能性も + +## 参考リンク + +- [文部科学省 音声教材](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/1370277.htm) +- [日本障害者リハビリテーション協会 DAISY研究センター](https://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/) +- [NPO法人エッジ 音声教材BEAM](https://www.npo-edge.jp/) +- [東京大学先端科学技術研究センター AccessReading](https://accessreading.org/) diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/emotional-support-class.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/emotional-support-class.mdx new file mode 100644 index 0000000..adb1a92 --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/emotional-support-class.mdx @@ -0,0 +1,206 @@ +--- +title: 自閉症・情緒障害特別支援学級(情緒固定級)とは +description: 情緒固定級の法的根拠、自閉症と情緒障害の違い、全国・都内の設置状況、東京都の通級偏重問題などを詳しくまとめています。 +--- + +自閉症・情緒障害特別支援学級についての分かりやすい説明資料は、たとえば次のようなものがあります。 + +- [小学校の自閉症・情緒障害特別支援学級(東村山市・あじさい学級のご案内)](https://web.archive.org/web/20210802095600/https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/kosodate/gakko/tokubetusien/syuugakusoudann.files/4.zyoutyo.pdf) + +より詳しいことについて、自分なりに調べてざっくりとまとめてみました。 + +:::note +##### 小平市の現状 +小平市では令和5年度に第四小学校、令和7年4月に第二中学校に自閉症・情緒障害特別支援学級が開設されました。以下の統計や分析は主に令和2〜3年度(開設前)のものであり、「なぜ小平市に必要か」を訴えた当時の調査資料です。 +::: + +## 1. 法の裏付け + +自閉症・情緒障害特別支援学級の設置根拠となっている法律は次のとおりです。 + +学校教育法(と[学校教育法施行規則第137条](https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322M40000080011_20210226_503M60000080009#Mp-At_137))では、「特別支援学級は、原則として一から六の区分に該当するもののみ設置できる」とされています。自閉症・情緒障害特別支援学級は、このうち「六」の区分に該当します。 + +> 学校教育法(第8章・特別支援教育)第81条 +> +> **2** 小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校には、次の各号のいずれかに該当する児童及び生徒のために、特別支援学級を置くことができる。 +> +> 一 知的障害者 +> 二 肢体不自由者 +> 三 身体虚弱者 +> 四 弱視者 +> 五 難聴者 +> 六 その他障害のある者で、特別支援学級において教育を行うことが適当なもの + +また、学校教育法施行規則では、自閉症者と情緒障害者が明確に区分けされ、それぞれに特別の教育課程を設けることができることになっています。 + +> **[学校教育法施行規則(第8章・特別支援教育)第140条](https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322M40000080011_20210226_503M60000080009#Mp-At_140)** +> +> 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校又は中等教育学校において、次の各号のいずれかに該当する児童又は生徒(特別支援学級の児童及び生徒を除く。)のうち当該障害に応じた特別の指導を行う必要があるものを教育する場合には、文部科学大臣が別に定めるところにより、(略)、特別の教育課程によることができる。 +> +> 一 言語障害者 +> 二 自閉症者 +> 三 情緒障害者 +> 四 弱視者 +> 五 難聴者 +> 六 学習障害者 +> 七 注意欠陥多動性障害者 +> 八 その他障害のある者で、この条の規定により特別の教育課程による教育を行うことが適当なもの + +## 2. 自閉症と情緒障害の違い + +自閉症と情緒障害の違いについて、ざっと調べた限りでは、たとえば次のようなレポートが出てきます。 + +- [理数啓林2014年1月No.4 特別支援教育について-発達障害の質的違い-](https://shinko-keirin.co.jp/keirinkan/pr/risukeirin/data/no004_all.pdf) + +このレポートによると、 + +> 学校現場で問題となっている「発達障害」の多くが、「情緒的障害」であり、『自閉症』とは区別されるものである + +とされています。また、医学的な診断をつける際の基準となるICD-10では、次のように分類されている、としてます。 + +| ICD-10での分類 | 専門用語 | 通称など | +|---|---|---| +| F7 知的障害 | 精神発達遅滞 | 知的障害 | +| F8 心理的発達の障害 | 広汎性発達障害 | 自閉症、アスペルガーなど | +| ↑ | 学習障害 | — | +| F9 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害 | 愛着性障害や強迫性障害 | 情緒障害 | + +このうち、F8とF9の診断がつく児童・生徒が、自閉症・情緒障害特別支援学級での指導対象と判断される可能性があると思われます。 + +## 3. 知的障害は対象外 + +また、東京都教育委員会では、知的障害のある児童・生徒は、自閉症・情緒障害特別支援学級での指導対象ではないとしています。 + +> 東京都教育委員会は、⾃閉症・情緒障害特別⽀援学級の対象は知的障害のない⾃閉症等の児童・⽣徒としています。 +> +> — [自閉症・情緒障害特別支援学級の教育課程の在り方についてその1](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/special_needs_education/files/guideline/kyoikukateiarikata01.pdf) + +## 4. 全国の設置・通級状況(令和2年度・当時の調査) + +次に、全国でどれくらいの自治体が自閉症・情緒障害特別支援学級を設置していて、どれくらいの児童・生徒が実際に通っているかを見るため、都道府県別の「設置されている学級数の割合」と、「通っている児童・生徒数の割合」を調べました。 + +### 4-1. 小学校 + +**学級数の割合** + +各都道府県で「学級数の総数に対し、どれくらいの割合で自閉症・情緒障害特別支援学級が設置されているか」をプロットしてみます。 + +驚くべきことに、**東京都は全国で最低の0.5%**です。東京都以外のほとんどの自治体は、設置割合が約5%以上で、9%を超える自治体も11あります。 + +**児童数の割合** + +各都道府県で「自閉症・情緒障害特別支援学級に通う児童はどれくらいいるかの割合」をプロットしてみます。 + +なお、この割合が「同学級での指導対象となる児童の存在割合」に近いほど好ましい状況だと思います。 + +トップの岡山は4.1%です。**東京都は、ほかの自治体よりも1桁以上低い0.1%**です。 + +なお、[平成14年](https://web.archive.org/web/20060502195659/https:/www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/018/toushin/030301i.htm)と[平成24年](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/2012/12/10/1328729_01.pdf)に文部科学省が行った大規模な調査では、「学習面か行動面で著しい困難を示す児童・生徒の割合」は約6%でした(ただし、この調査方法には課題があるため、6%も最低値と捉えるべきものです)。この約6%が、ひとつの目標値になるのではないでしょうか。 + +**なぜ東京都は最低位なのか** + +なぜ東京都は、設置割合も通う児童数の割合も、全国で最低位なのでしょうか。考えられる原因として「知的障害特別支援学級に肩代わりをさせているのではないか」というものがあります。 + +しかし、知的障害特別支援学級に通う児童数の割合も東京都は低位にあります。ということは、「知的障害特別支援学級がすべて肩代わりをしているわけではない」と言えるようにも思います。ただし、さまざまな保護者からの声を伺うと、「知的な障害がないにもかかわらず、自閉症・情緒障害特別支援学級がないために、やむを得ず知的障害特別支援学級に通っている」という実態もあるようです。 + +次に考えられるのは、「東京都は、通級(特別支援教室)に、自閉症・情緒障害特別支援学級の役割を担わせているのではないか」ということです。通級に通う児童数の割合を見ると、東京都は2位の約4%となり、 **「東京都は、自閉症・情緒障害特別支援学級が担う役割を、通級(特別支援教室)に担わせているようだ」** ということになります。 + +小平市が、答弁で「特別支援教室の実施状況を踏まえつつ」としていることからも、その様子が伺えます。 + +全体として、東京だけ極端に「通級に偏っている」ことが分かります。 + +### 4-2. 中学校 + +中学校についても同じデータを見てみます。自閉症・情緒障害特別支援学級の設置割合と通う生徒の割合は、小学校と同様に最低位です。 + +中学校も、小学校と同様に「通級に偏っている」ことが分かります。 + +### 4-3. 東京都が通級に偏重している理由 + +東京都に自閉症・情緒障害特別支援学級が極端に少なく、通級に偏っている理由は、平成22年に立てられた『東京都特別支援教育推進計画・第三次実施計画』に記載されています。 + +> 現在、都における発達障害の児童・生徒に対する教育的な支援は、主として情緒障害等通級指導学級において行われており、自閉症・情緒障害学級(固定学級)の設置はあまり進んでいません。これは、都教育委員会が、関係法令改正以前の情緒障害者(当時)の教育については、「原則として通級指導によって対応する」という方針を従前より示してきたことによるものです。そのため、小・中学校における自閉症・情緒障害学級の教育課程についても、実践研究の積み重ねはいまだ十分とは言えません。 +> +> — [東京都特別支援教育推進計画 第三次実施計画](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/plan/special_needs_school/promotion_plan3.html)/[第3章・区市町村における特別支援教育推進体制の整備](https://web.archive.org/web/20210730094745/https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/plan/special_needs_school/files/promotion_plan3/09.pdf) + +この計画は10年以上前に立てられているわけですが、その時点で、すでに次のような指摘もなされています。 + +> 通級指導学級の場合、国の通知(「学校教育法施行規則の一部改正等について」平成18年3月31日付17文科初第1177号)により、指導時数は年間280単位時間(週8単位時間)までとすることが定められています。 +> +> しかしながら、発達障害の児童・生徒の中には、通級による指導では学習や生活上の困難の改善が難しいと思われる児童・生徒がおり、そうした児童・生徒がやむを得ず小・中学校の知的障害特別支援学級に入級したり、都立知的障害特別支援学校の小・中学部に就学するといった現状があることも報告されています。小・中学校の知的障害特別支援学級や都立知的障害特別支援学校の在籍者の増加には、こうした児童・生徒のための教育の場が十分に整備されていないことも影響しているものと推測されます。 +> +> こうした状況を踏まえ、「重層的な支援体制」の整備に当たっては、各区市町村が地域の実情に応じて、自閉症・情緒障害学級の計画的な設置を進めることにより、特別支援教室や通級指導学級では障害による学習又は生活上の困難の改善が難しいと思われる児童・生徒に対する教育的な支援の充実を図ります。 +> +> — [東京都特別支援教育推進計画 第三次実施計画](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/plan/special_needs_school/promotion_plan3.html)/[第3章・区市町村における特別支援教育推進体制の整備](https://web.archive.org/web/20210730094745/https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/plan/special_needs_school/files/promotion_plan3/09.pdf) + +10年以上も前に実施計画で問題が指摘されているにもかかわらず、いまだに東京都が特別支援教室に極端に偏っている状況には驚きます。 + +また、平成29年に立てられた、『東京都特別支援教育推進計画(第二期)第一次実施計画』にも、次のような記述があります。 + +> 通常の学級に在籍する発達障害のある児童・生徒の中には、情緒障害等通級指導学級による指導では、十分にその成果を上げることが困難な児童・生徒もいます。このような児童・生徒に対しては、自閉症・情緒障害特別支援学級(固定学級)において、適切な指導・支援を行うことが有効です。 +> +> — [東京都特別支援教育推進計画(第二期)第一次実施計画](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/plan/special_needs_school/practice_plan1.html)/[第2部第1章・特別支援学校における特別支援教育の充実](https://web.archive.org/web/20210730094745/https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/plan/special_needs_school/files/promotion_plan3/09.pdf) + +特に理由がないのであれば、東京都は、速やかに、ほかの自治体を参考にしながら、少なくとも同様の割合まで、自閉症・情緒障害特別支援学級の設置を進めることが望ましいのではないでしょうか。 + +## 5. 都内の状況を詳しくみる(令和3年度・当時の調査) + +### 学級数について:多摩26市の状況 + +多摩26市の、令和3年度における、自閉症・情緒障害支援学級の設置状況を、[東京都教育委員会のデータ集](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/statistics_and_research/academic_report/report2020.html)、自治体サイト、電話での聞き取りにより集め、プロットしました。間違いがあるかもしれませんので、正確な数値が必要な場合は直接教育委員会にお問い合わせください。 + +なお、ほとんどの自治体において「設置学校数はすぐには増減しない」ものの、「毎年ニーズに応じて(同じ学校内で)学級数を増減させる」としています。 + +**多摩26市では、7割超となる19の自治体が、小・中どちらか、もしくは両方に、すでに固定級を設置しています。** 設置していない市は、小平市、八王子市、武蔵野市、三鷹市、府中市、調布市、稲城市の7市です。このうち、三鷹市は、設置を前向きに検討すると議会で答弁しています。 + +次の表に、令和3年8月1日時点の、「今後の予定」をリストしました。すでに固定級が設置されているいくつかの市が、新設を予定しています。 + +| 市 | メモ | +|---|---| +| 三鷹市 | 現状設置0なものの、議会では、設置を前向きに検討と答弁。 | +| 町田市 | [令和4年4月、中学校に追加設置予定](https://www.city.machida.tokyo.jp/kodomo/kyoiku/kaigitou/kaigi/teireikairinjikai/kyoukai/2021kaigiroku/20211kaikaigiroku.files/13.pdf)。級数は未定。 | +| 東村山市 | [令和4年4月、中学校に新設予定](https://www.city.higashimurayama.tokyo.jp/shisei/keikaku/shingikai/kyoiku/kyoikushien20190917.html)。級数は未定。 | +| 清瀬市 | 小学校の学級を移設予定、最終的に学級数の増減予定なし。 | +| 羽村市 | [令和4年4月、中学校に新設予定](https://www.city.hamura.tokyo.jp/0000005778.html)。級数は未定。 | +| あきる野市 | [令和5年4月、小学校に新設置予定](https://www.city.hamura.tokyo.jp/0000005778.html)。級数は未定。 | +| 西東京市 | [令和4年4月、中学校に追加設置予定](http://www.city.nishitokyo.lg.jp/siseizyoho/sesaku_keikaku/shingikaikaigiroku/bunka/jh_tokubetushien_kondankai/tokubetsushiengakkyuukonndannkai.files/siryou3.pdf)。級数は未定。 | + +### 学級数について:東京23区の状況 + +次に、東京23区の状況です。東京23区は、多摩26市よりも設置が進んでおらず、4割に当たる9区だけが導入しています。 + +今後の予定は次のようになり、品川区と葛飾区が、追加で設置する予定です。「すでに設置している自治体が、設置学校数や学級数を増やしていく」様子が伺えます。 + +| 区 | メモ | +|---|---| +| 品川区 | [令和4年4月、2つの中学校に追加設置予定](https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/kodomo/kodomo-gakkou/kodomo-gakkou-nyugaku/R3hitorihitori.pdf)。級数は未定。 | +| 葛飾区 | [令和4年4月、小・中学校に追加設置予定](https://www.city.katsushika.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/026/163/030505go/515-5.pdf)。級数は未定。 | + +### 児童・生徒数について:多摩26市の状況 + +小学校では多摩市がトップで、中学校では青梅市がトップです。これらの自治体では、比較的情緒障害の子どもたちにとって手厚い(居場所がある)環境であることが伺えます。 + +なお、児童数・生徒数の規模によって、固定級や通級に通う子どもの割合(居場所の設置状況)が変わるかと思いましたが、特に関係はないようです。小平市より規模が小さい多摩市や青梅市の方が、手厚い環境となっています。 + +### 児童数について:東京23区の状況 + +東京23区では、世田谷区が最も規模(児童・生徒数)が大きい自治体です。令和2年度時点は、全体的に固定級の設置数が少ない状況です。通級に通う児童・生徒数も、多摩26市と比べると少ないです。 + +これらを見比べると、小平市は「23区寄り」のポジションにあるのかもしれません。 + +## 6. 小平市にも導入が必要(令和3年当時の主張) + +同級を必要とする人数の割合は、どの自治体でも大きく変わらないはずです。当時、小平市には自閉症・情緒障害特別支援学級が1校も設置されておらず、青梅市の設置率にならえば全児童・生徒数に対して2.6%程度の潜在的需要があると推計していました。 + +また、通級も含めて考えても、当時の小平市は手厚い市と比べてまだ足りていない状況でした。 + +すでに自閉症・情緒障害特別支援学級がどこかに設置されている自治体の場合、「学級数は、毎年のニーズに応じて増減させる」というのが通例です。そのため、「まず1校でも設置すること」が何より重要でした。 + +結果として、請願と継続的な議会質問により、令和5年度に第四小学校、令和7年度に第二中学校への設置が実現しました。今後は運用状況を見ながら、さらなる拡充が期待されます。 + +> [→ 情緒固定級の軌跡(実績ページ)](/joutyo-koteikyu/) + +:::note +##### 情報の更新について +本ページの統計データは主に令和2〜3年度時点のものです。小平市の情緒固定級設置以降、都内他自治体でも新設が進んでいる可能性があります。最新の情報は各自治体や東京都教育委員会の公式サイトをご確認ください。 +::: diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/high-school-options.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/high-school-options.mdx new file mode 100644 index 0000000..b496bdb --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/high-school-options.mdx @@ -0,0 +1,131 @@ +--- +title: チャレンジスクール・エンカレッジスクール +description: 発達障害の子どもの進学先として、チャレンジスクールとエンカレッジスクールの特徴や違いをまとめています。 +--- + +:::note +##### 本ページの情報は令和3年度時点のものです + +各校の最新の応募倍率や定員については、各校公式サイトをご確認ください。 +::: + +## チャレンジスクールとは + +チャレンジスクールとは、東京都が、中途退学問題に対応するため、平成9年9月に立てた「[都立高校改革推進計画](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/plan/reformation/plan_summry.html)」に基づいて、平成12年から順次これまでに5校、都内に設置した学校です。 + +チャレンジスクールについてまとまった資料が見あたりませんが、たとえば、平成24年の文部科学省・高等学校教育部会(第6回)で、東京都教職員研修センターの金子氏は次のように述べています([議事録アーカイブ](https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11293659/www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/gijiroku/1320233.htm)/[資料アーカイブ](https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11293659/www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/047/siryo/1318690.htm))。長くなるため要約して引用します。 + +> 簡単に言うと、チャレンジスクールとは、小・中学校での不登校や、高校での中途退学を経験しているという生徒が、もう一度チャレンジする学校。三部制の定時制、総合学科。 +> +> 大きな特色は、学力検査や調査書によらない入学者選抜を行っていること。具体的には、作文や面接を通し、学ぶ意欲を重視している。さらに総合学科の特色を生かし、さまざまな選択科目、あるいは学び直しの科目なども設置している。また三部制ということで、朝、昼、夜、子どもたちの生活のリズムに合わせた時間に授業が受けられるよう編成している。たとえば朝の第一部に通う子は、その後の二部、昼の授業が受けられたり、あるいは昼の生徒は夜の時間帯の授業も受けられるなど、柔軟に履修できる。また、カウンセリング機能、教育相談の機能が充実しており、人的にも配置をしており、複数の担任制などもしいている。 +> +> それぞれが所属する部の前後に、ほかの選択科目も履修できる。こういう単位履修により、3年間で卒業する生徒の割合が高い。 +> +> 具体的な特色のある取組については、たとえば、大江戸高校では、1年次必修履修の生活実践がある。マナー、あいさつ、礼儀、お客様をもてなす、おはしの持ち方などの授業を行い、2年生では生活とマナーなどの取組をしている。1、2年次は学級担任が2名で対応している。 +> +> またたとえば、桐ヶ丘高校は、教員全員担任制という特殊な教育相談機能を持たせている。これは、どの先生でも、誰でも、いつでも相談できる。 +> +> また、稔ヶ丘高校も特色があり、1年次に全員に履修させる「コーピング」という学校設定科目を設置。大きく2つのねらいがあり、ひとつはコミュニケーションスキル。早稲田大学と共同開発した認知行動療法に基づくプログラムを展開し、コミュニケーションスキルを学ばせる。もうひとつは、学習のスキル。たとえば、話したことを箇条書きにまとめさせるとか、こういう基本的な取組をしている。 +> +> (略) +> +> 課題は、卒業時に進路が決まらない生徒の割合が、全日制の普通科の平均に比べると高い。これらを解決するために、これまでは中途退学防止と学校から離さないということをねらう視点を持っていたが、今後は卒業後の進路の実現をさらに充実していく必要がある。 + +なお、この発言からすると「チャレンジスクールには、小・中学校での不登校や、高校での中途退学を経験している生徒でなければ入学できない」ように思えてしまいます。しかし、たとえば大江戸高校のサイトには次のように記載されており、小平市教育委員会の答弁どおり、「不登校や中途退学を経験した生徒に限定しているわけではない」ことが伺えます。 + +> 小・中学校時代に不登校を経験した生徒や、高等学校を中途退学した生徒を含め、これまでの教育の中では自己の能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒など、多様な生徒が学校生活を通じて自分の目標を見付け、それに向かってチャレンジする学校です。 +> +> — [東京都立大江戸高等学校・学校からのメッセージ](https://www.metro.ed.jp/oedo-he/our_school/message.html) + +### チャレンジスクール一覧 + +| 学校名 | 所在地 | 年次ごとの定員 | R1年度 応募倍率 | R2年度 応募倍率 | R3年度 応募倍率 | +|---|---|---|---|---|---| +| [六本木高等学校](https://www.metro.ed.jp/roppongi-he/) | 港区 | 180名 | 1.63 | 1.75 | 1.34 | +| [大江戸高等学校](https://www.metro.ed.jp/oedo-he/) | 江東区 | 180名 | 1.31 | 1.52 | 1.16 | +| [世田谷泉高等学校](https://www.metro.ed.jp/setagayaizumi-he/) | 世田谷区 | 180名 | 1.28 | 1.26 | 1.02 | +| [桐ヶ丘高等学校](https://www.metro.ed.jp/kirigaoka-he/) | 北区 | 180名 | 1.16 | 1.21 | 0.97 | +| [稔ヶ丘高等学校](https://www.metro.ed.jp/minorigaoka-he/) | 中野区 | 240名 | 1.48 | 1.31 | 1.27 | +| (立川地区) | 立川市 | 180名 | [令和7年開校予定](https://web.archive.org/web/20210727144732/https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/09/19/03.html) | — | — | + +それぞれ1クラスの定員は30名です。ただし稔ヶ丘高校では、自分でつくることができる時間割として「少人数習熟度別指導」というものがあり、そこでは平均15名から20名程度の授業が行われているようです。 + +### チャレンジ枠 + +また、東京都立八王子拓真高校には、チャレンジスクールではないものの、同じ流れを汲んだ「チャレンジ枠」という枠が用意されています([旧サイトのアーカイブ](https://web.archive.org/web/20210727144522/http://www.hachioji-takushin-h.metro.tokyo.jp/pc/index.html))。 + +| 学校名 | 所在地 | 年次ごとの定員 | R1年度 応募倍率 | R2年度 応募倍率 | R3年度 応募倍率 | +|---|---|---|---|---|---| +| 八王子拓真高等学校 | 八王子市 | 60名 | 1.27 | 1.53 | 1.16 | + +### チャレンジスクールとチャレンジ枠の違い + +| 項目 | チャレンジスクール | チャレンジ枠 | +|---|---|---| +| 入試 | 学力検査や出身校の調査書の提出が不要。志願申告書・作文・面接で行う | 同左 | +| 過程 | 三部制(昼夜間定時制) | 同左 | +| 方式 | 単位制(学年制なし)、原級留置がない | 同左 | +| 卒業までの期間 | 4年が基本。3年での卒業も可能 | 同左 | +| 定員 | 1クラス30名。稔ヶ丘高校は少人数習熟度別指導あり | 同左 | +| 学科 | 総合学科(普通科目の他に選択科目が選べる) | 普通科 | +| 学校内のクラス編成 | 全員がチャレンジスクール生 | 普通枠:8クラス、チャレンジ枠:2クラス。選択科目は両枠の生徒が同一の授業を受ける | + +## エンカレッジスクールとは + +エンカレッジスクールは、東京都教育委員会が、「これまで力を発揮できなかった生徒のやる気を育て、社会生活を送る上で必要な基礎的・基本的学力を身に付けることを目的」として、既存の全日制都立高校を改編して設置した学校です。 + +平成14年10月の「[都立高校改革推進計画 新たな実施計画](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/administration/action_and_budget/plan/reformation/new_plan_contents.html)」で計画され、これまでに6校が指定されています。 + +エンカレッジスクールの特徴は、『東京都のエンカレッジスクールにみる 学び直しの実状と課題(政策研究大学院大学・2017)』というレポート([PDFアーカイブ](https://web.archive.org/web/20210727144522/http://www3.grips.ac.jp/~education/epc/wp-content/uploads/2017/04/MJE16207miyakoshi.pdf))によれば、主に次の5点あります。 + +1. 入学時の知識や技能を問わず、生徒の学びたいという意欲を重視した選考を行うため、入学者選抜で学力検査を行わない +2. 集中力が保たれるよう、30分授業や習熟度別授業、少人数授業が導入されている +3. 生徒の興味、関心を喚起するため、体験学習を取り入れている +4. 成績評価には観点別評価を推進しており、授業態度や提出物、小テストなどを考慮して総合的な評価を実施する。定期テストも当初は行っていなかった +5. よりきめ細やかなクラス運営を行うために2人担任制を導入している + +*上記レポートには、これ以外にも、エンカレッジスクールの日々の状況が描かれています。 + +### エンカレッジスクール一覧 + +| 学校名 | 所在地 | 学年ごとの定員(分割前期分のみ) | R1年度 応募倍率 | R2年度 応募倍率 | R3年度 応募倍率 | +|---|---|---|---|---|---| +| [蒲田高等学校](https://www.metro.ed.jp/kamata-h/) | 大田区 | 87名~109名 | 0.76 | 1.31 | 0.83 | +| [足立東高等学校](https://www.metro.ed.jp/adachihigashi-h/) | 足立区 | 88名~119名 | 1.07 | 1.55 | 0.91 | +| [東村山高等学校](https://www.metro.ed.jp/higashimurayama-h/) | 東村山市 | 118名 | 1.41 | 1.69 | 1.50 | +| [秋留台高等学校](https://www.metro.ed.jp/akirudai-h/) | あきるの市 | 110名~131名 | 1.30 | 1.34 | 1.23 | +| [中野工科高等学校](https://www.metro.ed.jp/nakanokogyo-h/) | 中野区 | 63名~97名 | 0.70 | 0.95 | 0.68 | +| [練馬工科高等学校](https://www.metro.ed.jp/nerimakogyo-h/) | 練馬区 | 88名~106名 | 0.94 | 1.28 | 1.01 | + +:::note +##### 校名変更について +中野工業高等学校は「中野工科高等学校」に、練馬工業高等学校は「練馬工科高等学校」に校名が変更されています。 +::: + +### チャレンジスクールとエンカレッジスクールの違い + +| 項目 | チャレンジスクール | エンカレッジスクール | +|---|---|---| +| 募集 | 2月と8月に2回募集。2月は2学年相当以上も | 2月に推薦・前期・後期の募集 | +| 入試の学力検査 | なし | なし | +| 入試の選抜方法 | 志願申告書・作文・面接 | 調査書・作文か小論文・面接・実技試験 | +| 過程 | 三部制(昼夜間定時制) | 全日制 | +| 方式 | 単位制。原級留置がない | 学年制。原級留置がある | +| 学科 | 総合学科(普通科目の他に選択科目が選べる) | 普通科・工業科 | +| 体験学習 | ない? | 設けられている | +| 授業時間 | 45分 | 50分、1年次は一部30分 | +| 卒業までの期間 | 4年が基本。3年での卒業も可能 | 3年が基本 | +| 学級担任 | 1年次は2名 | 2名 | +| 学級定員 | 1クラス30名以内 | 1クラス33人から40人? | + +## チャレンジスクールやエンカレッジスクールは発達障害の子に適しているか + +チャレンジスクールやエンカレッジスクールは、発達障害のことが広く知られる前に計画・設置されています。そのため、発達障害の生徒が十分な支援を受けられる仕組みになっているかというと、そこまで期待できる状況ではないようです。 + +いずれの学校も、私が調べた限りでは、「発達障害のことをしっかり理解している」印象がありませんでした。一部の学校ではむしろ、「発達障害に分類されるはずの生徒に、不適切な対応がなされているのではないか」という印象も持ちました。 + +もちろん、発達障害のことをよく理解されており、熱意をもって対応されている先生方もいらっしゃるとは思いますが、前面に見えている状況ではありません。 + +そのため、願書を出す前に、しっかりそれぞれの学校を調査されることをお勧めします。 + +発達障害をサポートするために、これらの学校に期待される役割は大きいと思います。都には、合理的配慮の徹底や、教職員の研修を必須化するなど、制度として発達障害を支援する体制を組み入れるよう、早急に対応してもらいたいと願います。 diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/index.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/index.mdx new file mode 100644 index 0000000..3a80a92 --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/index.mdx @@ -0,0 +1,77 @@ +--- +title: ディスレクシアについて +description: ディスレクシア(読み書き障害)をはじめとする発達障害と、特別支援教育に関する情報をまとめています。 +--- + +## 経緯 + +このまとめを作るに至った経緯を、順を追ってお話しします。 + +### ① まれな障害と思っていた + +私は、恥ずかしながらディスレクシアについてはほとんど何も知りませんでした。俳優のトム・クルーズのことを何かの記事で読んだくらいで、自分も含めて周りにもそのような状況の人はいないと思っていたため、まれで特殊な障害だと思っていました。実際は、単に気付かなかっただけですが…。 + +### ② 保護者の方からご相談いただき、一般質問をする + +小平市にお住まいの、ディスレクシアのお子様がいらっしゃる保護者の方からご相談いただき、多くのことを教えていただきました。 + +ディスレクシアは、本人も周りもなかなか気付けない障害であること。小学校に通って初めて、障害があるのではと気付くこと。周りの人が理解しない限り、本人はとてもつらい状況におかれてしまうこと。頑張っていても「怠けている」とみなされ、やる気を失って不登校になってしまう可能性があること。そして潜在数が多いにもかかわらず、判明している人数は少ないこと。そもそもこういったすべてが、社会的に表面化していないこと。 + +なんとかしなければならないと思い、まず小平市議会の一般質問で取り上げました。市の答弁は、当初は「検討を進める」という消極的な内容でした。「問題があること自体や、問題の大きさを、部課長クラスがご存じないこと」、「多くの人がディスレクシアを知らないこと」が背景にあると感じました。そのため、一般質問([ディスレクシアの環境整備を](/ippan-situmon/r1d/3gatu/1-dyslexia-kankyo/)や[GIGAスクール構想を](/ippan-situmon/r2d/6gatu/1-giga-school-dyslexia/))や、そのほかの委員会において、継続して取り上げています。 + +また、ご相談くださった方が、審議会の委員として問題点を訴えてこられました。小平市は少しずつよい方向に進んでいると感じています。進捗には時間がかかりますが、まだ多くの課題が残っています。 + +> [→ 小平市における経緯の詳細はこちら](./kodaira/) + +### ③ 小平市立の小・中学校だけでも340名以上が困難を抱えている可能性がある + +潜在的な人数の多さには驚かされます。文部科学省による[二回に及ぶ大規模な調査](./potential-number/)により、「読む」または「書く」に著しい困難を示す子どもは、全児童・生徒の数に対して少なくとも2.4%から2.5%の割合で存在することが判明しています。 + +小平市の場合、市立小・中学校の、普通学級児童・生徒数は合計14,155名(令和2年5月1日現在)ですから、2.4%は340名です。少なくともこれだけの子どもが、読み書きに困難さを抱えている可能性があります。しかし実際に判明しているのは、そのうち56名だけ(令和2年2月時点)であり、多くの子どもが見過ごされている状況にあります。 + +市立の小・中学校だけでも、多くの子どもたちが苦しんでいるはずなのに、なぜディスレクシアという用語すら一般に知られておらず、問題が表面化していないのでしょうか。 + +### ④ ディスレクシアの子どもたちは見過ごされているのでは + +保護者の方からお話を伺い、私なりに調べた限りでは、問題が表面化していない理由は複数考えられます。中でも一番大きな原因は **「知られていない」** ことです。ディスレクシアという障害があることや、少なくとも2.4%の割合で存在することが人々に知られていません。 + +そのほかにも、保護者には「自分の子どもに障害があることを認めたくない」バイアスがあることや「本人の知的能力が低い」という誤った理由で納得し、それ以上の追求を諦めるケースなども考えられます。さまざまな理由が複合的に作用することで、問題が表面化していないものと考えられます。 + +**問題が表面化していない原因** + +- 本人も周りも、ディスレクシアのことを知らないので見つけられない +- 知的能力が低いなどの理由をつけることで対応してしまうケースが多い +- 二次障害で不登校などになり、別問題とみなされてしまう +- 診断のためのテストには時間的・労力的なハードルがあり、なかなか診断まで至らない +- 保護者は「わが子に障害がある」と認めたがらない + +### ⑤ 少しでも周知につなげたい + +この問題は、速やかに、継続して着手することが必要な問題です。小平市・教育委員会の動きにはまだ時間がかかっていますが、私ができることとして、少しでもディスレクシアの周知につながればと思い、まとめを作りました。 + +前述の保護者の方からいただいた貴重な情報をもとに、自分でも調査して作成しています。 + +> [→ ディスレクシア対応の軌跡(実績ページ)](/dislexia-taiou/) + +--- + +## 各ページの内容 + +- **[ディスレクシアとは](./what-is-dyslexia/)** — 定義、さまざまなケース、ICD/DSM分類、二次障害、診断 +- **[ディスレクシアの著名人](./celebrities/)** — 国内外の著名人、本人の声、動画 +- **[本人や保護者の声](./voices/)** — 見えない障害の実態を伝える生の声 +- **[潜在的人数と文部科学省調査](./potential-number/)** — 2.4%の根拠、H14・H24調査の詳細 +- **[誰も見過ごさないためのアセスメント](./assessment/)** — 早期発見の手法と東京都のツール +- **[デイジー教科書と音声教材](./daisy-and-onsei/)** — 学習を支えるデジタル教材の種類と課題 +- **[合理的配慮と関連法律](./reasonable-accommodation/)** — 差別解消法・発達障害者支援法・受験配慮・障害者手帳 +- **[小平市の状況](./kodaira/)** — 小平市における現状と議会での取り組み +- **[就学相談・通級指導について](./school-consultation/)** — 就学相談の流れ、通級指導が不適当とされる理由 +- **[自閉症・情緒障害特別支援学級(情緒固定級)とは](./emotional-support-class/)** — 法的根拠、全国の設置状況、東京都の通級偏重 +- **[チャレンジスクール・エンカレッジスクール](./high-school-options/)** — 発達障害の子の進学先としての各校の特徴 +- **[長期欠席児童・生徒支援シート](./support-sheet/)** — 文科省・都・小平市の各種支援シート +- **[支援リソース・参考情報](./support-resources/)** — サポート組織、フォント、専門家、他自治体の事例、書籍 + +:::note +##### 情報の更新について +本ページの統計データや設置状況は、主に令和2〜3年度時点のものです。最新の情報については各自治体や東京都教育委員会の公式サイトをご確認ください。誤りや古い情報にお気づきの際は、各ページ下部のコメント欄よりご連絡いただければ幸いです。 +::: diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/kodaira.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/kodaira.mdx new file mode 100644 index 0000000..3ab8706 --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/kodaira.mdx @@ -0,0 +1,65 @@ +--- +title: 小平市の状況 +description: 小平市におけるディスレクシア対応の現状と課題をまとめています。 +--- + +## 多くの子どもが見過ごされている + +小平市立の小・中学校児童・生徒数は令和2年5月1日の時点で約14,155人です。文部科学省の調査結果に基づいて2.4%で計算すると、実に**340人の児童・生徒**が、読み書きに著しい困難を抱えている可能性が高いです。 + +しかし実際に判明しているのはそのうち**56名だけ**(令和2年2月時点)であり、多くの子どもが見過ごされている状況にあります(なお、私立の小・中学校や高校についても同様ですが、この計算には含んでいません)。 + +## 見つけるために何をしているか + +現在小平市では、東京都教育委員会が提示しているような包括的なアセスメントは実施されていません。学校現場の教諭により判断されているようです。 + +## サポート施設 + +- **きこえとことばの教室** — 言語障害や難聴のある児童を対象 +- **特別支援教室「わかば」** — 通級による指導。申し込みにWISC-IVの検査結果提出が必要 +- **教育相談室**(小平元気村おがわ東内) +- **スクールカウンセラー** — 臨床心理士が配置。診断はできず、アセスメント・面接・援助・調査研究を担う + +## 小平市議会において + +小平市議会の会議録から、「ディスレクシア」という用語は平成18年頃から何度か触れられていましたが、細かい部分まで踏み込んだ質疑は、安竹洋平の一般質問(令和元年度〜)が初めてでした。 + +以下は小平市議会の会議録を「ディスレクシア」で検索した結果です(令和2年11月時点)。 + +| 年 | 月日 | 会議種類 | 備考 | +|---|---|---|---| +| 令和2年 | 6月4日 | 定例会 | 安竹議員 一般質問 | +| 令和2年 | 3月26日 | 定例会 | 橋本(久雄)議員 一般会計予算討論 | +| 令和2年 | 3月17日 | 一般会計予算特別委員会 | 安竹議員 | +| 令和2年 | 2月26日 | 定例会 | 安竹議員 一般質問(初の網羅的質問) | +| 令和元年 | 11月29日 | 定例会 | 安竹議員 一般質問 | +| 平成25年 | 6月7日 | 定例会 | 磯山議員 一般質問 | +| 平成25年 | 2月28日 | 定例会 | — | +| 平成23年 | 12月2日 | 定例会 | 立花議員 一般質問 | +| 平成23年 | 11月30日 | 定例会 | 虻川議員 一般質問 | +| 平成18年 | 6月8日 | 定例会 | 斉藤議員 一般質問 | + +令和2年以降も、安竹洋平はデイジー教科書の一括申請、情緒固定級の設置、GIGAスクール構想など、ディスレクシアに関連するテーマで継続的に一般質問を行っています。 + +> [→ ディスレクシア対応の軌跡(実績ページ)](/dislexia-taiou/) + +## 関連計画・資料 + +- [小平市:小・中学校への入学・転学、就学相談](https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/000/000147.html) +- [小平市立学校 自閉症・情緒障がい特別支援学級について](https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/109/109138.html) — 第四小(R5〜)・第二中(R7.4〜)に設置 +- [小平市特別支援教育総合推進計画(第二期後期計画)](https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/126/126119.html) +- [小平市障がい者福祉計画・第六期障害福祉計画・第二期障害児福祉計画](https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/089/089124.html)(第五期は計画期間終了のため第六期に移行) + +## 今後の課題 + +### GIGAスクール構想とデジタル教科書 + +令和2年度以降のGIGAスクール構想により、小平市でも全児童・生徒に1人1台のタブレット端末が配備されました。これはディスレクシアの子どもたちにとって画期的な環境改善です。 + +しかし、以下の課題は依然として残っています。 + +- **デイジー教科書の普及が不十分** — タブレットが配備されても、読み上げに対応したデジタル教材の整備は遅れています。デイジー教科書の一括申請や無償の音声教材(AccessReading、BEAM等)の活用が十分に進んでいません +- **統一アセスメントが未実施** — タブレットを使えば学習できる子も、そもそもディスレクシアと気付かれなければ支援にたどり着けません。入学時等に全児童を対象としたアセスメントの実施が必要です +- **教員研修の継続的充実** — 読み書き障害への理解を深め、授業での合理的配慮を徹底すること +- **保護者・当事者との協働** — ガイドラインや教材選定に当事者の声を反映する仕組みの構築 +- **スピード感のある対応** — 「一年審議」は子どもにとって大きなダメージ。合理的配慮は迅速に diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/potential-number.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/potential-number.mdx new file mode 100644 index 0000000..667fa33 --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/potential-number.mdx @@ -0,0 +1,60 @@ +--- +title: 潜在的人数と文部科学省調査 +description: ディスレクシアの子どもはどれくらいの割合で存在するのか。文部科学省の大規模調査の結果を詳しく紹介します。 +--- + +## 潜在的人数はどれくらいか + +ディスレクシアの子どもはどれくらいの割合で存在するのでしょうか。文部科学省の調査結果では「読む」または「書く」に著しい困難を示す児童・生徒は**2.4%〜2.5%** という数字が出ています。 + +海外では、アメリカ20%、ドイツ4%といった数値も出ています。言語体系や試験方法の違いによる差異と考えられます。「誰も見過ごさない」ためには、最大の割合である20%を念頭におく必要があります。 + +## 平成24年12月の文部科学省調査 + +平成24年に、発達障害の可能性がある児童・生徒の状況を調べるため、文科省が全国的に大規模な調査をしました。 + +### 調査結果 + +> **「読む」または「書く」に著しい困難を示す:2.4%(2.3%〜2.6%:95%信頼区間)** + +- **調査時期**: 平成24年2月〜3月 +- **標本数**: 53,882人(小学校35,892人、中学校17,990人)— 岩手・宮城・福島を除く全国 +- **回答数**: 52,272人 +- **方法**: 担任教員が記入し、特別支援教育コーディネーターまたは教頭(副校長)の確認を経て提出 + +### 調査の限界と留意点 + +- あくまで「担任教員の回答に基づく」もので、専門家チームや医師の診断によるものではない +- 学習面の困難についての質問項目が「小学校3、4年生までに表面化する困難」を意識して作成されたため、**学年が上がるにつれ該当する行動が観察されにくくなる**傾向がある(困難自体が解消したわけではない) +- 2.4%という数値は「**最低限の割合**」ととらえるのが妥当 + +> 小平市立の小・中学校に通う児童・生徒数で計算すると440人以上にもなります。小平市の教育委員会は、潜在数を見積もることは現時点では行っていません。 + +### 平成25年6月 国立特別支援教育総合研究所 補足調査 + +平成24年調査の補足として、特総研がより詳細な調査を実施しています。 + +## 平成14年2月の文部科学省調査 + +平成14年にも同様の大規模調査が行われています。 + +### 調査結果 + +> **「読む」または「書く」に著しい困難を示す:2.5%** + +- **調査時期**: 平成14年2月〜3月 +- **標本数**: 41,579人(全国5地域の公立小・中学校の通常の学級) +- **方法**: 学級担任と教務主任等の複数の教員で判断 + +約10年の間隔をあけて実施された2つの調査で、ほぼ同じ割合(2.5%/2.4%)が出ていることから、**高い信頼性がある**と言えます。 + +### 参考 + +- [通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果について(平成24年12月5日)](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/2012/12/10/1328729_01.pdf) + +--- + +:::note +##### 小平市での計算 +小平市立の小・中学校の通常学級の児童・生徒数 約14,155人(令和2年5月1日現在)で計算すると、2.4%は**約340人**。しかし令和2年2月時点で把握できていたのは**わずか56人**です。 +::: diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/reasonable-accommodation.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/reasonable-accommodation.mdx new file mode 100644 index 0000000..ba0883e --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/reasonable-accommodation.mdx @@ -0,0 +1,83 @@ +--- +title: 合理的配慮と関連法律 +description: 合理的配慮の考え方、障害者差別解消法・発達障害者支援法の概要、受験時の配慮、障害者手帳についてまとめています。 +--- + +## 合理的配慮とは + +合理的配慮とは、障害者から何らかの助けを求める意思の表明があった場合、過度な負担になり過ぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために必要な便宜のことです。 + +国連「障害者の権利に関する条約」第2条で定義され、日本では障害者基本法、障害者差別解消法に記述があります。 + +> 「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。(外務省訳) + +:::tip +##### 合理的配慮を求めるときは「目的」を伝える + +合理的配慮は「手段」を訴えるのではなく、あくまでも「**目的**」を伝えることが重要です。たとえば「タブレットを使いたい」ではなく「**教科書を使った授業に参加したい**」と伝える。配慮する側に「過度な負担のない範囲」というただし書きがあるため、目的にフォーカスするのが最もスムーズです。 +::: + +## 障害者差別解消法(抜粋) + +平成25年法律第65号。全ての障害者が、障害者でない者と等しく基本的人権を享有することを目的としています。 + +### 重要なポイント + +- **障害者の定義**に「精神障害(発達障害を含む)」が明記 — ディスレクシアもこれに含まれる +- **行政機関等**(国・地方公共団体等)は合理的配慮を「しなければならない」(**義務規定**) +- **事業者**(民間)は合理的配慮をするように「努めなければならない」(**努力義務規定**) +- ただし、東京都では『東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例(H30.10施行)』により、事業者であっても合理的配慮は**義務規定**に上書きされています + +### 環境整備と啓発 + +> 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、**関係職員に対する研修**その他の必要な環境の整備に努めなければならない。(第5条) + +ディスレクシアに対応した環境整備についても、職員への研修が努力義務とされています。 + +### 障害者差別解消支援地域協議会 + +国及び地方公共団体の関係機関により構成される協議会を組織することができます。**小平市ではまだ設置されていない**ようです。 + +## 発達障害者支援法(抜粋) + +平成16年法律第167号。令和2年時点の条文から主なポイントを紹介します。 + +- **定義**: 「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、**学習障害**、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害 +- **基本理念**: 全ての発達障害者が社会参加の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと +- **教育**(第8条): 可能な限り発達障害児が発達障害児でない児童と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、適切な教育的支援、**個別の教育支援計画**の作成、いじめ防止等の対策を講じる +- **早期発見**(第5条): 市町村は健康診査・健康診断に当たり発達障害の早期発見に十分留意しなければならない +- **就労支援**(第10条): 個々の発達障害者の特性に応じた適切な就労の機会の確保、就労の定着のための支援 + +## 障害者手帳 + +障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類です。 + +ディスレクシアは発達障害に分類されており、申請できるのは **「精神障害者保健福祉手帳」** になります。発達障害が「精神障害」に含まれることには違和感があり、「発達障害者(児)専用の手帳が必要」という声もあります。 + +> 「精神障害」という言葉に対する偏見は根強く、申請に対する障壁になっています。統合失調症や薬物中毒の人と発達障害の人に同じ福祉サービスが必要とも思えません。 + +## 受験における合理的配慮(大学入試センター) + +大学入試センターの受験上の配慮事項のうち、ディスレクシアに関係するもの: + +- **試験時間の延長**(1.3倍)— 文字解答・チェック解答・代筆回答で適用 +- **別室の設定** +- **拡大文字問題冊子の配布**(14ポイント・22ポイント) +- **チェック解答の許可** +- **注意事項等の文書による伝達** +- **パソコンの使用**(事前相談が必要) + +申請には**診断書**(診断名・心理認知検査等の履歴)、**状況報告書**(在学期間・高等学校等で行った配慮内容)が必要です。 + +:::note +##### 最新情報は大学入試センター公式サイトで +独立行政法人 大学入試センター「受験上の配慮案内」は毎年更新されます。最新情報は[大学入試センター公式サイト](https://www.dnc.ac.jp/)でご確認ください。 +::: + +## その他の関連法律 + +- **障害者基本法** — 障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本理念を定める +- **障害者総合支援法** — 障害者の日常生活・社会生活の総合的な支援 +- **読書バリアフリー法** — 視覚障害者等の読書環境の整備 +- **学校教育法等の一部を改正する法律** — 特別支援教育に関する規定 +- **教科書無償法・教科書無償措置法** — 教科書の無償給与 diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/school-consultation.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/school-consultation.mdx new file mode 100644 index 0000000..6b43d72 --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/school-consultation.mdx @@ -0,0 +1,156 @@ +--- +title: 就学相談・通級指導について +description: 就学相談の報告書、医師診察記録の必要性、通級による指導が不適当とされる理由などをまとめています。 +--- + +## 就学相談員が作成する報告書とは + +就学相談の進め方とスケジュールについては、次のサイトに資料があります。 + +- [小平市:小・中学校への入学・転学、就学相談](https://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/000/000147.html) + +就学相談員が、就学支援委員会に相談内容を報告する際、報告書を作成します。その報告書の様式は東京都教育委員会が定めており、次のサイトに資料があります。 + +- [東京都特別支援教育推進室:就学相談](https://www.shugaku.metro.tokyo.lg.jp/syuugaku.html) + +## 特別支援教室申し込みに医師診察記録が必須とされている理由 + +東京都教育委員会が定めた「就学相談の手引き」に、必要な資料のひとつとして医師診察記録が記載されています。 + +- [東京都特別支援教育推進室:就学相談の手引き](https://www.shugaku.metro.tokyo.lg.jp/syuugaku.html) + +また、「[令和3年度 就学・転学相談手続及び留意点について](https://web.archive.org/web/20210724141948/http://www.shugaku.metro.tokyo.jp/File/syuugakunyuugakusoudan/SyuNyusSetumei.pdf)」というスライド資料(P18)には、次のように記載されています。 + +> **就学支援ファイル作成の留意点** +> +> 様式3 医師診察記録の提出について +> +> 総合的な判断の一つである専門家(医師)からの意見を確認するための書類であるため必ず提出すること。 +> +> 検査結果、行動観察記録等では代用はできない。 +> +> 愛の手帳など障害の有無が分かる書類の写しがある場合は、受理のみ。 +> +> 様式3の提出後、都の相談と手続きを開始する。様式3は、就学相談のために取得した最新のものを提出。 + +様式3は、上記サイトに掲載されている[こちらの様式集](https://web.archive.org/web/20210728014650/http://www.shugaku.metro.tokyo.jp/File/tebiki/Tebiki5_Format.pdf)にあります。 + +なぜ医師診察記録が必要とされているのか、それ以上の理由が書かれているところは見つかりません。客観性を確保するために必要としている可能性があります。 + +小平市は、この手引きにしたがって、学校施行令(?要確認)を作成しているそうです。 + +## 通級による指導が不適当とされる理由 + +通級による指導に関しては、たとえば次のサイトにまとめられています。 + +- [文部科学省:3 通級による指導の制度的位置付け](https://www.mext.go.jp/tsukyu-guide/institutional/index.html) +- [東京都教育委員会:特別支援教室の運営ガイドライン](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/primary_and_junior_high/special_class/guideline.html) + +通級による指導が不適当(不可)という判断が出る理由を、私がこれらの資料を読み、また担当課に聞いた範囲で解釈すると、次の6点になります。 + +1. 知的障害の場合 +2. 障害の状態・状況が変わり、通常の学級での指導が適切と判断された場合 +3. その他環境が変化し、通常の学級での指導が適切と判断された場合 +4. 今後1年間の具体的な指導方針や指導計画が明確にならない場合 +5. 今後1年間、通級に通っても指導目標が達成できないと判断された場合 +6. 不登校になった場合 + +それぞれについて解説します。 + +--- + +### 1. 知的障害の場合 + +次のように「知的障害者は通級指導の対象ではない」とされています。 + +> なお、知的障害者については、知的障害者に対する学習上又は生活上の困難の改善・克服に必要な指導は、生活に結びつく実際的・具体的な内容を継続して指導することが必要であることから、一定の時間のみ取り出して行うことにはなじまないことを踏まえ、現在、通級による指導の対象とはなっていません。 +> +> — [文部科学省:3 通級による指導の制度的位置付け](https://www.mext.go.jp/tsukyu-guide/institutional/index.html) + +そのため、知的障害があると判断された場合、通級での指導は不適当となるようです。その後、知的の固定級に通うかどうかは、本人や保護者の意向が最も重視されます。知的の固定級に通わない場合、通常の学級に通うことになります。 + +### 2. 障害の状態・状況が変わり、通常の学級での指導が適切と判断された場合 + +次のように、「通常の学級で指導が受けられる状態になった」と判断された場合も、通級による指導が終了となります。 + +> 次に、通級による指導を受けている場合に、その児童生徒の障害の状態等を適切に把握し、その変化等に応じて、柔軟に教育措置の変更を行うことができるように配慮することが必要です。つまり、仮に言語障害者の場合であれば、その障害の状態が改善され、通常の学級でほぼ支障なく授業を受けることができるようになった場合には、通級による指導を終了して、通常の学級ですべての授業を受けるようにするということです。 +> +> — [文部科学省:3 通級による指導の制度的位置付け](https://www.mext.go.jp/tsukyu-guide/institutional/index.html) + +なお、この理由により通級指導が終了する(退室する)児童・生徒の割合は、自治体によって0%から20%の範囲だそうです。小平市の割合がどれくらいなのかは分かりませんので、今後確認します。 + +> 特別支援教室は、学校での学習上又は生活上の困難さを改善・克服し、通常の学級のみで学校生活を送れるようにすること(退室すること)を目的としているが、目標を達成して退室する児童・生徒の割合は、おおむね0%から20%まで、区市町村によって大きな差がある。 +> +> — [東京都教育委員会:特別支援教室の運営ガイドライン](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/primary_and_junior_high/special_class/guideline.html)/[参考資料・特別支援教室の入退室等検討委員会報告書(令和2年12月)](https://web.archive.org/web/*/https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/primary_and_junior_high/special_class/files/guideline/sanko.pdf) + +### 3. その他環境が変化し、通常の学級での指導が適切と判断された場合 + +また、資料には次のようにも記されています。 + +> なお、通級による指導の対象とすることが適当な児童生徒の判断に当たっては、障害のある児童生徒に対する教育の経験のある教師等による観察・検査、専門医による診断等に基づき教育学、医学、心理学等の観点から総合的かつ慎重に行うことが必要です。 +> +> — [文部科学省:3 通級による指導の制度的位置付け](https://www.mext.go.jp/tsukyu-guide/institutional/index.html) + +「観察・検査・診断等により」という部分は、さまざまなケースがあると思われます。聞くところによると、たとえば多動性障害のように見えても、発達障害ではなく、その子を取り巻く環境が原因になっている場合もあるそうです。そういう場合、環境が変わって落ち着く可能性が考えられるようだと、通級による指導が適当ではないと判断されることもあるようです。 + +### 4. 今後1年間の具体的な指導方針や指導計画が明確にならない場合 + +### 5. 今後1年間、通級に通っても指導目標が達成できないと判断された場合 + +この4と5は、かなり重要なポイントだと思います。通級での指導には「原則1年間」という縛りがあります。1年を超え、延長して通級に通うためには、次の要件をすべて満たさなければなりません。 + +> 1. 当年度の指導目標が未達成であり、同様の指導目標で指導を継続する必要がある。 +> 2. 指導期間延長後の具体的な指導方針や指導計画等が明確である。 +> 3. 延長後1年以内で指導目標が達成できる見込みである。 +> +> — [特別支援教室の入退室等検討委員会報告書(令和2年12月)](https://web.archive.org/web/*/https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/primary_and_junior_high/special_class/files/guideline/sanko.pdf) + +つまり、何らかの理由により、「延長後の具体的な指導方針や指導計画が明確にならない」場合や、「指導目標が達成できないと判断された」場合は、その1年間で通級による指導は終了し、通常の学級へ移行することになります。 + +しかし、この条件に当てはまらず、退室となった子どもたちの行き場については、資料にはなにも記載されていません。どういうことでしょうか…。 + +### 6. 不登校になった場合 + +不登校児について、次のように記されています。 + +> 不登校である児童・生徒の特別支援教室の利用について、文部科学省は、特別支援教室の対象となるのは「通常の学級の授業におおむね参加しており、障害により一部特別な指導を必要とする場合である」という見解を示しており、また、「不登校の解消を主たる目的に置く場合は、別室登校等の『通級による指導』以外の枠組みによる登校支援を行うことが適当」との見解を示している。 +> +> 不登校に対する支援のニーズが生じた時、それを特別支援教室の専門性で対応するというよりは、在籍する学校の登校支援等に関して、専門性を有する機関につなげたり学校全体として対応したりするなどの取組が求められる。特別支援教室の制度や事業趣旨をしっかり押さえたうえで、不登校の児童・生徒に対してはどのような支援が用意できるのか、各区市町村の不登校対応の部署等と連携を図って適切に対応する必要がある。 +> +> — [特別支援教室の入退室等検討委員会報告書(令和2年12月)](https://web.archive.org/web/*/https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/primary_and_junior_high/special_class/files/guideline/sanko.pdf) + +つまり、不登校児については、各市区町村の対応によるものの、文部科学省の見解としては「通級による指導は適当ではない」としているため、多くの自治体では通級での指導は不適当としていると思います。 + +--- + +以上の6点が、私がいまのところ把握している、通級での指導が不可と判断される理由です。これ以外にもあるかもしれません。 + +### それ以外に、通級での指導が終了する場合 + +また、本人や保護者が通級での指導を受けたくないと判断した場合も、通級での指導は行わないことになります。 + +### 本人と保護者がその理由を理解・納得できるように + +通級での指導が不適当(不可)と判断した際には、次のことが非常に重要です。 + +- その判断に至った情報を可能な限り保護者に開示すること +- 本人と保護者がしっかり理由を理解・納得できるまで説明を行うこと + +時間をかけて説明しても、本人と保護者が理解・納得できないような場合は、制度自体に問題があるのではないでしょうか。 + +次の資料(再掲)には、さまざまな課題も示されています。 + +- [文部科学省:3 通級による指導の制度的位置付け](https://www.mext.go.jp/tsukyu-guide/institutional/index.html) +- [東京都教育委員会:特別支援教室の運営ガイドライン](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/primary_and_junior_high/special_class/guideline.html) + +## 就学指導から教育支援に + +次に引用するとおり、文部科学省は平成24年の時点で、自治体が設置している「就学指導委員会」の名称を「教育支援委員会」に変更することを推奨しています。 + +> 現在、多くの市町村教育委員会に設置されている「就学指導委員会」については、早期からの教育相談・支援や就学先決定時のみならず、その後の一貫した支援についても助言を行うという観点から、「教育支援委員会」(仮称)といった名称とすることが適当である。「教育支援委員会」(仮称)については、機能を拡充し、一貫した支援を目指す上で重要な役割を果たすことが期待される。 +> +> — [共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)](https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1321669.htm) + +小平市ももともと「就学指導委員会」だったものが、平成23年あたりから「就学支援委員会」という名称に変更されたようです。 + +聞くところによると、「指導」のときは、どちらかというと本人や保護者の意向ではなく指導上の観点から就学先が決められるというイメージでした。それが「支援」になってからは、本人や保護者の意向が重視されるようになっているとのことです。 diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/support-resources.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/support-resources.mdx new file mode 100644 index 0000000..ea64ebc --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/support-resources.mdx @@ -0,0 +1,123 @@ +--- +title: 支援リソース・参考情報 +description: サポート組織、読みやすいフォント、専門家、他自治体の取り組み事例、書籍などの参考情報をまとめています。 +--- + +## サポート組織・活動 + +### 国内 + +- **[国際ディスレクシア協会(IDA)](https://dyslexiaida.org/)** — ディスレクシアの定義策定にも関わった国際的組織 +- **[NPO法人 EDGE](https://www.npo-edge.jp/)** — ディスレクシアの人が活きる社会を目指す。音声教材BEAMの提供 +- **[日本ディスレクシア協会(JDA)](https://dyslexia.or.jp/)** — 日本におけるディスレクシアの啓発・支援 +- **[NPO法人 LD・Dyslexiaセンター](https://ld-dyslexia.jp/)** — 理事長は宇野彰氏(筑波大学名誉教授) +- **[NPO法人 全国LD親の会](https://www.jpald.net/)** — 学習障害のある子どもの親の会 +- **[発達性ディスレクシア研究会](https://square.umin.ac.jp/dyslexia/)** — 医学的観点からの研究 +- **[独立行政法人 国立特別支援教育総合研究所](https://www.nise.go.jp/)** — 発達障害教育に関する調査研究 +- **[DO-IT Japan](https://doit-japan.org/)** — 東京大学先端科学技術研究センター。障害のある学生の高等教育への移行支援 +- **[日本DAISYコンソーシアム](https://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/)** — デイジー図書の普及・啓発 +- **[大阪マルチメディアDAISY研究会](https://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/)** — DAISY教材の研究・製作 + +### 海外 + +- **[DyslexiaHelp(ミシガン大学)](http://dyslexiahelp.umich.edu/)** — ディスレクシアの総合情報サイト + +## 読みやすいフォント + +### Windows 10標準搭載 + +- **UDデジタル教科書体** — Windows 10に標準搭載。教育現場での使用を想定して設計されたフォント + +### 無償フォント + +- **[MORISAWA BIZ+ 無償版](https://www.morisawa.co.jp/products/fonts/bizplus/)** — BIZ UDゴシック、BIZ UD明朝 全3書体が無償で利用可能(要会員登録)。有償版(月330円)は全60書体 +- **[OpenDyslexic](https://opendyslexic.org/)** — オープンソースのディスレクシア向け欧文フォント + +:::note +##### フォントの商用利用について +Windows標準フォントの商用利用は、商用利用可能なOfficeライセンス(Office 365 Solo等)を保持し、そのソフトを使用して編集する場合に限られます。フォントファイルそのものの再配布は不可。詳細は各フォントのライセンスをご確認ください。 +::: + +## 専門家 + +ディスレクシア研究・臨床の第一線で活躍されている方々です。所属や役職は令和2年時点を中心に、可能な範囲で最新情報を反映しています。 + +### 日本(名前順) + +- **稲垣真澄 氏** — [鳥取県立鳥取療育園](https://www.pref.tottori.lg.jp/95785.htm) 園長。ディスレクシア研究の第一人者。元国立精神・神経医療研究センター +- **岩波明 氏** — こいしかわ発達障害センター センター長。昭和大学医学部 客員教授(令和6年3月に昭和大学を定年退職)。『高学歴発達障害』(文藝春秋、令和7年)等の著書多数 +- **宇野彰 氏** — NPO法人 LD・Dyslexiaセンター 理事長。筑波大学名誉教授。発達性ディスレクシア研究会 元理事長 +- **加藤醇子 氏** — NPO法人エッジ 代表理事。音声教材BEAM事業の推進。ディスレクシア啓発の第一人者 +- **小池敏英 氏** — 尚絅学院大学 教授。東京学芸大学 名誉教授 +- **小枝達也 氏** — 国立成育医療研究センター 副院長。発達評価・支援の専門家 +- **田中裕一 氏** — 文部科学省 初等中等教育局 特別支援教育課 特別支援教育調査官(発達障害専門) +- **村上加代子 氏** — 甲南女子大学 人間科学部総合子ども学科 准教授 +- **若宮英司 氏** — 藍野大学 医療保健学部 教授。発達性ディスレクシアの医学的評価・診断 +- **小林玄 氏** — 東京大学 先端科学技術研究センター 特任講師。DO-IT Japanプログラム運営 + +:::note +##### 専門家情報について +上記は安竹洋平が把握している方々です。ほかにも多くの専門家がいらっしゃいます。追加情報や修正がございましたら、本ページ下部のコメント欄よりお寄せいただければ幸いです。 +::: + +## 他自治体の取り組み + +地方公共団体がどれだけディスレクシアへの配慮があるかは、以下の観点から評価できます。 + +- 一括アセスメントなどによってディスレクシアの児童生徒数を把握しようと努めているか +- デイジー教科書の一括提供申請を行っているか +- 職員への周知徹底が行えているか + +### 取り組み事例 + +- **大阪市教育委員会** — デイジー教科書の活用を推進 +- **長野市立南部小学校** — ICTを活用した読み書き支援の実践 +- **上田市立丸子中央小学校** — ユニバーサルデザインの授業づくり +- **東京都 渋谷区** — タブレット端末を活用した先進的なICT教育 +- **東京都 調布市** — 特別支援教育の充実 +- **東京都 日野市** — インクルーシブ教育の推進 +- **東京学芸大学附属小金井小学校** — 読み書きアセスメントの研究実践 + +## 書籍・マンガ・映画 + +:::note +##### 書籍リンクについて +本ページの書籍リンクは楽天ブックスのアフィリエイトリンクです。リンクからの収益は、ディスレクシアの周知活動およびサイト運営費に充てられます。 +::: + +### 書籍 + +| タイトル | 著者 | +|---|---| +| 私のディスレクシア | フィリップ・シュルツ | +| 僕が手に入れた発達障害という止まり木 | 柳家花緑 | +| 鈍足だったら、速く走るな | 中竹竜二 | +| 怠けてなんかない! | 品川裕香 | +| 発達障害の子を育てる本 スマホ・タブレット活用編 | 中邑賢龍・近藤武夫 監修 | +| 読み書きが苦手な子を見守るあなたへ | 関口裕昭(著)宇野彰(監修) | +| 14歳、字を書けない私が「書く」喜びを手にするまで | 当事者中学生 | +| 読み書き障害(ディスレクシア)のすべて | サリー・シュイウィッツ | +| 読み書き障害(ディスレクシア)のある人へのサポート入門 | 河野俊寛・平林ルミ | +| ディスレクシア・ディスグラフィアの理解と支援 | 川﨑聡大 | +| ディスレクシア 発達性読み書き障害 トレーニング・ブック | 平岩幹男 | + +### マンガ + +| タイトル | 著者 | +|---|---| +| うちの子は字が書けない | 千葉リョウコ・宇野彰 | +| 「うちの子は字が書けないかも」と思ったら | 千葉リョウコ・宇野彰 | +| なまけてなんかない! | 品川裕香・北原明日香 | +| ディスレクシアってなあに? | — | +| ぼくの素晴らしい人生 | 愛本みずほ | +| ファンタジウム | 杉本亜未 | + +### 映画・ドキュメンタリー + +| タイトル | 公開年 | 説明 | +|---|---|---| +| **Taare Zameen Par(地上の星たち)** 🇮🇳 | 2007 | ディスレクシアの少年が美術教師との出会いで自信を取り戻すインド映画の名作 | +| **The Big Picture: Rethinking Dyslexia** 🇺🇸 | 2012 | HBO制作。リチャード・ブランソンら著名人へのインタビューを通じてディスレクシアへの理解を深めるドキュメンタリー | +| **Dislecksia: The Movie** 🇺🇸 | 2012 | 監督自身がディスレクシア。ユーモアを交えてディスレクシアの世界を探求するドキュメンタリー | +| **Embracing Dyslexia** 🇺🇸 | 2013 | 保護者と教育者の視点からディスレクシアを捉え、早期発見・支援の重要性を訴えるドキュメンタリー | +| **みんなの学校** 🇯🇵 | 2015 | 大阪の公立小学校を舞台に、発達障害を含む様々な特性を持つ子どもたちの日常を描くドキュメンタリー | diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/support-sheet.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/support-sheet.mdx new file mode 100644 index 0000000..ca15e3e --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/support-sheet.mdx @@ -0,0 +1,23 @@ +--- +title: 長期欠席児童・生徒支援シート +description: 文科省・東京都・小平市の各種支援シートの比較と、情報公開についての考察です。 +--- + +議会で話題に出てきたものとして、次の3つのシートがあります。 + +- **文科省の「[児童生徒理解・支援シート](https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2018/05/24/1405493_002.pdf)」** + さまざまな児童・生徒を、統一様式で指導する形式のもの + +- **東京都の「[学校生活支援シート](https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/school/document/special_needs_education/coming_plan.html)」** + 特別な配慮が必要な子どもについてのもの + +- **小平市の「長期欠席児童・生徒支援シート」** + 不登校の子について、東京都の資料をもとに小平市が独自に作成したもので、毎年更新している + +小平市では、特別支援と不登校児で同じ様式では対応できないため、これらを使い分けるとのことです。 + +小平市の「長期欠席児童・生徒支援シート」を見せてもらいました。「長期欠席となった直接のきっかけ」という欄には、14項目くらい選択肢があり、また「その他のきっかけ」という、任意で記載する部分もあります。つまり、「病欠」、「家庭の事情」、「慶弔」の3種類からしか選べない、ということはありませんでした。 + +こういったシート(の様式)も、本来はすべて公開すればよいと思います。公開していない理由は、推測ですが、保護者から「何を書いたか見せなさい!」といった要求があることなどを過度に恐れているからでしょう。そのような理屈も分かるところはあります。しかし、一方で、「すべて見せてもよい」という前提や信頼関係の中でシートを作成し、それをお互いで確認しながら、話し合えるようにしたらよいのでは、とも思います。 + +いずれにしろ、「こういった項目で把握していますよ」くらいは、公開しても問題がなさそうですが…。 diff --git a/src/content/docs/about-dyslexia/voices.mdx b/src/content/docs/about-dyslexia/voices.mdx new file mode 100644 index 0000000..1578a23 --- /dev/null +++ b/src/content/docs/about-dyslexia/voices.mdx @@ -0,0 +1,248 @@ +--- +title: 本人や保護者の声 +description: ディスレクシアの本人や保護者の生の声を集めました。見えない障害の実態と、支援の必要性を伝えます。 +--- + +ディスレクシアのことを知るうえで最も大切なのが、**本人や保護者の生の声**です。ここでは書籍や報道から、印象的な言葉を引用して紹介します。 + +## 本人の声 + +### 読むことの困難 + +画像提供:PIXTA(購入のうえ使用)
+ +ディスレクシアそのものよりも深刻なのが、周囲の無理解から生じる二次障害です。 + +たとえば、読み書きに困難さを抱えている子どもが通常の紙教材を使う場合、どんなに頑張っても思うように学習が進まないことがあります。授業中、自分一人だけ筆が進まなかったり、教科書をうまく読めなかったり——本人は「頑張っても勉強ができない」と悩み、同級生や先生からも「できない子」と見られてしまいます。家では親から怠けていると叱責される場合もあります。 + +そうして徐々に自信を失い、学ぶことに意欲がもてなくなります。ときには**不登校**につながり、**うつ病**になることもあります。 + +IDAの定義にも「二次的な結果として、読解力に問題が生じたり、読む機会が減るなどし、語彙や背景知識における成長を阻害することがある」と記載されています。 + +### 二次障害の連鎖 + +``` +自尊心の低下 → 学習意欲の喪失 → 不登校 → うつ病 +``` + +二次障害を防ぐためには、**本来の障害を早期発見すること**に加え、**自分自身と周囲の人々の、障害に対する十分な理解**が必要です。 + +## 診断について + +ディスレクシアの診断には、以下の要素が総合的に評価されます。 + +- **知能検査(WISC-IV など)** — 知的障害がないことの確認と、認知特性の把握 +- **読み書きの検査** — 音読速度、正確性、書字能力の評価。URAWSS、STRAW-R などのツールが用いられる +- **医師による診察** — 神経学的・医学的観点からの評価 + +### 主な診断機関 + +- **国立成育医療研究センター ディスレクシア外来** — スクールカウンセラー等からの紹介状が必要(令和2年時点) -- cgit v1.2.3-54-g00ecf