いじめの重大事態の対応フロー(ロール別) © 安竹洋平(小平市議会議員)/公立学校版・私立学校版とも CC BY-ND 4.0 出典 yasutakeyohei.com/ijime-judai-jitai/flow/ 文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」(令和6年8月改訂版)に基づく整理 / 私立学校の場合 / 「§」は根拠箇所、「p.」は同ガイドラインのページ 【重大事態の要件(法28条1項)と判断のルール】 根拠:ガイドライン第4章(p.12-15)/法第28条第1項 ① 1号重大事態(生命心身財産重大事態):いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあるとき 〔法28条1項1号〕 ② 2号重大事態(不登校重大事態):いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間(年間30日を目安)学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあるとき 〔法28条1項2号〕 ●「疑い」の段階で重大事態として扱う(事実関係が確定した段階ではない)。判断は特定の教職員ではなく、学校の設置者又は学校として行う。〔第4章第1節 p.12〕 ●児童生徒・保護者から「重大事態として扱ってほしい」旨の申立て・要望があったときは、その時点で重大事態が発生したものとして報告・調査を行う  〔第4章第2節 p.14-15(学校が「いじめの結果ではない」「重大事態とはいえない」と考えたとしても同じ。調査をしないまま重大事態ではないと断言してはならない)〕 ●「重大事態に当たらないことが明らか」というには、いじめの事実が確認できなかっただけでは足りない。いじめが起こり得ないことを客観的・合理的な  資料等を用いて説明できない限り、重大事態調査を行う。〔第4章第2節 p.14-15〕 ●重行事例(別添資料1 p.48):自殺を企図/自傷行為/骨折・脳震盪・歯が折れる/PTSDの診断/裸にされる/わいせつ画像の拡散/金銭の強要/物を壊される/転学を余儀なくされた 等 【参考】申立ての類型と留意点 根拠:第3章第4節(p.11)、第4章第2節(p.14-15)、別添資料2(p.49) ●転学・退学後の申立て:重大事態が発生した前在籍校で調査を行うが、聴き取り等には現在籍校の協力が不可欠。前在籍校と現在籍校それぞれの設置者が積極的に関与し、連携して調査を進める。〔第4章第2節 p.15〕 ●卒業後の申立て:記憶の曖昧化、資料の保存期間経過、関係者への連絡困難などから調査は困難を伴うが、重大事態の場合には調査を行う必要があり、再発防止のため可能な調査を検討する(例:卒業生の保護者を通じて協力を求める)。〔同〕 ●申立様式(別添資料2)の活用:保護者に具体的な状況を記入してもらい、訴えを正確に把握して迅速な対応につなげる。ただし書面の記入がないことを理由に、電話や口頭の相談に対応しないことがあってはならない。〔第4章第2節 p.14-15〕 ●対象児童生徒・保護者が重大事態調査を望まない場合であっても、重大事態として取り扱わないことは決してあってはならない(支援や関係児童生徒への対応は継続する)。〔第3章第4節 p.11〕 ●発生報告・調査結果の報告・再調査報告書の提供は、いずれも各学校の設置者から文部科学省へも行う。〔第5章第1節 p.17/第9章第3節 p.40/第12章第3節 p.47〕 【参考】学校種別による報告先の違い(重大事態の発生報告) 根拠:法第29条〜第32条/参考(p.51-64) ●公立学校:当該地方公共団体の教育委員会を経由して、当該地方公共団体の長に報告(法30条1項)。地方公共団体の長等は、必要があると認めるときに再調査を行い(同2項)、  再調査を行ったときはその結果を議会に報告する(同3項)。 ●国立大学附属学校:国立大学法人の学長又は理事長を経由して、文部科学大臣に報告(法29条1項)。●公立大学附属学校:公立大学法人の学長又は理事長を経由して、  当該公立大学法人を設立する地方公共団体の長に報告(法30条の2・29条準用)。 ●私立学校:当該学校を所轄する都道府県知事に報告(法31条1項)。●学校設置会社が設置する学校:代表取締役又は代表執行役を経由して、認定地方公共団体の長に報告(法32条1項)。 ●再調査は、報告を受けた文部科学大臣・都道府県知事・地方公共団体の長等が、必要があると認めるときに行う(法29条2項・30条2項・31条2項・32条2項)。 【私立学校の課題について】本図では記載していません 私立学校のいじめ重大事態の課題については、当方で詳細を把握していないため、本図では記載していません。公立版に記載した課題のいくつかは、私立学校にもそのまま適用されると考えられます。 ① 端緒(起点)と 重大事態の判断 (第4章) ② 重大事態の 発生報告 (第5章) ③ 初動対応 (第5章) ④ 調査組織の 設置(第6章) ⑤ 事前説明 (第7章) ⑥ 調査の実施 (第8章) ⑦ 説明・報告・ 公表(第9章) ⑧ 再調査の判断 (第12章) ⑨ 調査結果を 踏まえた対応 (第11章) 対象児童生徒・保護者 教員(担任・学年主任等) 学校(校長・管理職/ 学校いじめ対策組織) 学校法人(学校の設置者) 都教育委員会・私立学校所管課 都道府県知事 (私立学校を所轄) いじめの申立て・相談 ・「重大事態として扱って  ほしい」旨の要望 ・「いじめ」という言葉を  使わない訴えも含む 【宛先】教員/管理職/ 学校法人のいずれも可 §第4章第2節(p.14-15)/別添資料2 起点1 ※起点1〜3は並列の入口  です(相互に前提なし)。  受付(教員・学校法人・  都教委)は、届いた申立て  等を学校へつなぐ窓口。 学校(教職員)が把握 ・日常の観察・気づき ・定期アンケート・教育相談 §第2章第1節(p.6)/第4章第1節 起点2 受付(教員・管理職) 校長・副校長など管理職もここで 受付・申立て・相談を受け止め、 抱え込まず学校いじめ対策組織へ §第4章第2節(p.14)/第2章第1節 受付 学校いじめ対策組織で事実確認 (法23条2項)。重大事態の 要件(法28条1項)に該当する 疑いがあるか判断 ★「重大事態として扱って」  ほしい」旨の要望があれば、  その時点で重大事態とする §第4章第1節・2節(p.12-15) 判定 設置者(学校法人)による 定期的な状況確認(重大な 被害の疑い・欠席の増加を 把握) §第2章第2節(p.7-8) 起点3 受付(学校法人) ・児童生徒・保護者からの  申立て・相談の受理 ・都教委等からの連絡 →学校へ通報(法23条1項) §法23条1項/第2章第2節(p.7-8) 受付 判断に迷う場合は 設置者に相談・協議 §第4章第1節(p.13) 受付(都教委・私立学校所 管課) ・相談等の受理 →学校への通報等・連絡 (法23条1項) §法23条1項 受付 【報告先】設置者(学校法 人)へ重大事態の発生を報 告し、支援を要請 §第5章第1節(p.16) 学校法人(設置者)の対応 ・理事長・理事会へ説明 ・理事会で進捗報告 ・文部科学省へ発生報告 ・調査主体の検討/初動準備 §第5章第1節(p.16-17) 学校法人を経由して 重大事態の発生を知事へ 報告(法31条1項) §法31条1項 私立学校所管課が支援し、 都教委に助言・支援を求め 連携(第5章第2節 p.18) §法31条・第5章第2節 緊急の場合は、所轄警察署 と連携して対応 §法23条6項 対象児童生徒の安全確保 ・心のケア ・窓口担当者を決め、  保護者と連絡・調整 ・報道対応の窓口(管理職) §第5章第2節(p.17-18) 校内資料(アンケート・教育 相談・いじめ記録等)の収集・ 整理(保存5年) §第5章第2節(p.18) 学校へ、学校法人・都教委 等が職員を派遣し支援 §第5章第1節(p.16) 調査主体を決定(設置者) ・原則:学校主体 ・不登校重大事態は学校主体 ・自殺事案は設置者主体 §第6章第1節(p.20-21) 調査主体が調査組織を設置( 第三者・専門家(弁護士・医師・ 心理・福祉等)を加える/第三 者委員会) §第6章第1節(p.21)/第2節(p.22) 学校法人・都教委の調査の進 め方・組織構成について指導 助言(調査経験のある人材) §第5章第2節(p.18) 調査実施前に、対象児童生徒・ 保護者へ事前説明を実施 (2段階) §第7章(p.25-30) 事前説明を受ける(調査の目的 ・方法・調査組織の構成等) §第7章第2節(p.26-) 調査組織による調査 ・アンケート・聴き取り ・事実関係の確認・整理 ・調査報告書の作成 §第8章(p.31-38) 調査組織の聴き取り等に協力 (心理的負担に配慮) §第8章(p.31-38) 調査組織の聴き取り・アンケー トに協力 §第8章(p.31-38) 調査結果の説明 ・対象児童生徒・保護者へ  (法28条2項) ・いじめを行った児童生徒・  保護者へも説明 §第9章第1節・2節(p.39-40) 調査結果の説明を受ける (法28条2項) 【所見書】長等への報告の 際に提出でき、意向確認と 提出期限の目安の提示あり §第9章第1節(2)(p.40) 調査結果を知事へ報告 (原則設置者が説明。所見書が あれば併せて説明) 文部科学省へ報告書を提供 §第9章第3節(p.40) 調査結果の報告を受ける (所見書があれば併せて) §第9章第3節(p.40) 調査報告書の公表 (特段の支障がなければ公表が 望ましい) §第9章第3節(p.40)/第10章第3節 再調査の必要性を判断 (調査が不十分・新事実・ 公平性への疑義 等) §第12章第1節(p.46)/法31条2項 再調査を実施(別組織) 対象児童生徒・保護者へ説明 §第12章第2節・3節(p.47)/法31条 知事・設置者による必要な 措置(再発防止策の実施等) §第11章(p.44-45)/法31条3項 調査結果を踏まえた対応 ・対象児童生徒への支援  (心のケア・学習支援) ・いじめを行った児童生徒への  指導及び支援 ・再発防止策の実施・検証 ・教職員の懲戒処分等 §第11章第1節〜3節(p.44-45) 学びの継続・登校支援 (転学等の弾力的な対応を 含む) §第11章第1節(p.44) 日常の見守りと継続的な支援、 学校間の引継ぎ §第11章第1節(p.44) 申立て 学校法人へ 通報 相談 連絡 重大事態として報告 発生報告 報告(法31条1項) 相談・支援依頼 緊急の場合 事前説明(2段階) 協力依頼 説明(法28条2項) 所見書の提出 調査結果の報告 必要あり 必要なし ※1 本図は私立学校の場合。「学校の設置者」=学校法人、「地方公共団体の長等」=都道府県知事(私立学校を所轄)。公立学校の場合は別図参照。 ※2 起点1〜3(青緑の太枠)は重大事態を把握する入口。3つは並列の入口で相互に前提関係はない。受付(教員・学校法人・都教委等)は、届いた申立て等を学校へつなぐ窓口。 ※3 法23条1項により、学校の教職員、地方公共団体の職員その他の相談に応じる者及び保護者は、いじめの事実があると思われるときは学校への通報等の措置をとる。 ※4 不登校重大事態は年間30日の欠席を目安とするが、連続欠席などいじめが要因と考えられる場合は、30日に達する前から迅速に調査に着手する(第4章第1節 p.13)。 ※5 実線の矢印は求められる対応、破線の矢印は「望ましい」「考えられる」対応を示す。所見書は、調査主体が調査結果を長等へ報告する際に併せて提出される(⑦)。 ※6 赤い「課題N」は、その枠に【課題・論点】の同じ番号の項目があることを示す。クリックすると下の該当項目へ移動する(SVG版のみ)。 《出典》文部科学省「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」令和6年8月改訂版(令和6年8月30日公表/作成時に使用したファイル:20240830-mext_jidou01-1336275_3.pdf、全67頁)。ページ表記は同ガイドラインの本文ページに対応。課題欄のリンク先:yasutakeyohei.com このフロー図の解説ページ:https://yasutakeyohei.com/ijime-judai-jitai/flow/ © 安竹洋平(小平市議会議員)/公立学校版・私立学校版とも CC BY-ND 4.0(表示—改変禁止)です。内容を変えず、出典 yasutakeyohei.com/ijime-judai-jitai/flow/ を表示してご利用ください。 この図は正確を期して作成していますが、誤りが含まれている可能性があります。この図を利用したことによって生じたいかなる損害についても、作成者は責任を負いません。